同一鶏群から由来する, 毎月孵化育成された鶏について各種性能を調査した結果, 次の諸点が明かにされた。
1. 性成熟日齢 (
y) は日長律, 特に性成熟時の日長時間 (
dM) と孵化時の日長時間 (
dH) の差に依存し, その関係は,
y=160.7-2.05(
dM-
dH)+0.25(
dM-
dH)
2で最もよく表わされる。
性成熟までに要する日齢の最も長いのは夏至に近く孵化された鶏で, 最も短い鶏は冬至に近く孵化された鶏である。
2. 初産時体重は初産日齢と極めて高い相関をもつが, 父親別のこれら2形質の対応順位からみると, 必ずしも強い対応があるとは考えられず, 従って遺伝相関, 環境相関と表現型相関とはかなり異るものと思われる。
3. 10カ月卵重においては, 最も大きいのが2月孵化区で, 最小が9月であり, その差は7g余りであった。この形質は日長律の影響をうけないが, 測定時期の季節的差異, 殊に暑気温に影響されるようである。
4. 満1カ年の体重については, 5月孵化区が最大で, 7月孵化区が最小であり, その差は約400gであった。
5. 初産から1カ年間の産卵数は4月孵化区が最高で9月孵化区が最低であったが, 卵重を考慮した総生産量においては2月孵化区が最も高かった。
6. 初産開始から540日までの, 各孵化月別平均産卵率の推移を産卵型と定義して, 産卵型と孵化月との関係をみると, 産卵型は孵化月の推移と密接に関係があり, 冬期休産にもとづく産卵率の低下の程度および有無と最高産卵率の出現する時期とによって特徴づけられる。
7. 父親と孵化月とによる遺伝と環境の相互作用の存在は, 満1カ年体重における場合を除き重要でない。この場合に, 強い相互作用を認めた理由としては, 他形質との関連や季節的変化に対する, 異なる遺伝子型の, 異なる反応のしかたが考えられた。
8. 以上の事実にもとづいて, 実際面への応用について考察が行われた。
抄録全体を表示