日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
3 巻, 4 号
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  • I 飼養試験および代謝エネルギーについて
    森本 宏, 窪田 大作, 赤井 直利
    1966 年 3 巻 4 号 p. 167-170
    発行日: 1966/10/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    30羽の白色レグホーン種産卵鶏を15羽あて2区に分ち, 対照区と添加区とした。対照区には大麦を約50%配合した基礎飼料を給与し, 添加区には基礎飼料にセルラーゼを0.4%添加したものを給与した。試験期間は12週間とし7週目からはセルラーゼ添加の反転を行なった。
    前半では, 対照区の体重, 飼料摂取量は低下し産卵率も急激に低下したが, 添加区では体重はやや増加し飼料摂取量は1羽1日当り平均103gであり, 産卵率も60%以上を維持した。また, 代謝エネルギーを測定したところセルラーゼ添加区がやや高い傾向となった。卵重, 卵殼の厚さ, 卵白の高さ, ハウ単位は両区の間に統計的な差異はなかった。
    反転後の対照区 (前半6週間では添加区) の産卵率は, 前半の対照区の場合と同様なカーブで急激に低下した。体重は添加区がやや増加し, 対照区はやや減少した。飼料摂取量は4週間の範囲内では両区とも差異がなかった。
  • II 消化率及びTDNに対する影響
    森本 宏, 窪田 大作, 前島 洋
    1966 年 3 巻 4 号 p. 171-173
    発行日: 1966/10/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1) 人工肛門を設置した産卵鶏5羽を用いて消化試験を行い大麦飼料に対するセルラーゼ添加の効果及び練餌にした場合の効果について検討した。
    2) 大麦を67.5%含む飼料にセルラーゼを0.3%添加すると供試飼料 (乾物) の消化率は2.5~3.5%高くなった。この差は危険率1%水準で有意であった。
    3) 消化率が改善されたのはNEEであった。
    4) 大麦のTDNは, 練餌では68%, 乾餌では67%となったが, セルラーゼを添加することによりそれそれ70, 71%それに増大した。
    5) 練餌で給与すると供試飼料の消化率は若干高くなるが, その差は統計的に見て有意ではなかった。
  • 吉田 実, 星井 博, 大塚 茂, 森本 宏
    1966 年 3 巻 4 号 p. 174-180
    発行日: 1966/10/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    種鶏用飼料に関する研究の過程において, 異常ヒナの発生が認められた。これは, ふ化直後において, 横転, 起立不能, 麻痺症状, 臍部の出血などの症状を呈するもので, ふ化後死亡する例もあり, 解剖検査の結果, 一部に脳軟化巣が認められた。種鶏に与えた飼料は, 昭和39年8月下旬に製造し, 倉庫内で室温で貯蔵したもので, 製造後6カ月以降に異常ヒナが多発した。また, 受精率, ふ化率も飼料給与期間が長くなるにつれて漸減する傾向が認められた。
    供試飼料に, ビタミン群 (ビタミンA, B群, D, E, K) およびBHTを添加すると, 受精率, ふ化率を向上し, 異常ヒナの発生を防止する点で有効であった。ビタミン群のうち, ビタミンEのみを添加すると同様に有効であった。ビタミンB群, ビタミンK, BHTには効果が認められないので, 受精率, ふ化率の向上, 異常ヒナの発生防止に対する効果は主としてビタミンEによるものといえる。
    ふ化したヒナにビタミンEを含む良質な飼料を与えると, 正常に発育し, 産卵する。したがって, 異常ヒナの発生はビタミンEが関与する比較的単純な栄養障害によるものと考えられる。
  • 山田 行雄, 伊藤 俊一郎, 石田 栄助
    1966 年 3 巻 4 号 p. 181-191
    発行日: 1966/10/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    同一鶏群から由来する, 毎月孵化育成された鶏について各種性能を調査した結果, 次の諸点が明かにされた。
    1. 性成熟日齢 (y) は日長律, 特に性成熟時の日長時間 (dM) と孵化時の日長時間 (dH) の差に依存し, その関係は,
    y=160.7-2.05(dM-dH)+0.25(dM-dH)2
    で最もよく表わされる。
    性成熟までに要する日齢の最も長いのは夏至に近く孵化された鶏で, 最も短い鶏は冬至に近く孵化された鶏である。
    2. 初産時体重は初産日齢と極めて高い相関をもつが, 父親別のこれら2形質の対応順位からみると, 必ずしも強い対応があるとは考えられず, 従って遺伝相関, 環境相関と表現型相関とはかなり異るものと思われる。
    3. 10カ月卵重においては, 最も大きいのが2月孵化区で, 最小が9月であり, その差は7g余りであった。この形質は日長律の影響をうけないが, 測定時期の季節的差異, 殊に暑気温に影響されるようである。
    4. 満1カ年の体重については, 5月孵化区が最大で, 7月孵化区が最小であり, その差は約400gであった。
    5. 初産から1カ年間の産卵数は4月孵化区が最高で9月孵化区が最低であったが, 卵重を考慮した総生産量においては2月孵化区が最も高かった。
    6. 初産開始から540日までの, 各孵化月別平均産卵率の推移を産卵型と定義して, 産卵型と孵化月との関係をみると, 産卵型は孵化月の推移と密接に関係があり, 冬期休産にもとづく産卵率の低下の程度および有無と最高産卵率の出現する時期とによって特徴づけられる。
    7. 父親と孵化月とによる遺伝と環境の相互作用の存在は, 満1カ年体重における場合を除き重要でない。この場合に, 強い相互作用を認めた理由としては, 他形質との関連や季節的変化に対する, 異なる遺伝子型の, 異なる反応のしかたが考えられた。
    8. 以上の事実にもとづいて, 実際面への応用について考察が行われた。
  • 田中 耕作, F. H. WILCOX
    1966 年 3 巻 4 号 p. 192-196
    発行日: 1966/10/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    高張液および精子の運動性復活のための各種処理法の影響を, 3倍希釈で保存した鶏精液について検討した。注入直前に用いた処理法はつぎのとおりである (a) 保存精液を遠心分離し, 上澄液をすて, フラクトース (4mg/ml)-りん酸緩衝液で原精液量にもどす, (b) 保存精液を上述の緩衝液でさらに5倍に希釈し, (a) と同様に濃縮する, (c) 保存精液対蒸留水を2:1の割合で混合したのち, (a) と同様に濃縮する。得られた結果はつぎのとおりである。
    1. 精液を等張濃度の2~5倍のりん酸緩衝液で希釈し, 室温で6時間保存後の精子の運動性の復活は, 等張濃度の2倍の緩衝液で保存した精液1容に, 4容の等張フラクトース-りん酸緩衝液, あるいは0.67容の蒸留水添加処理の試料においてもっともすぐれていた。これに反し, 等張濃度の5倍の緩衝液で保存した精液では, 処理後, 精子の運動性の復活は観察されなかった。
    2. 高張SGF-りん酸緩衝液で, 2°Cで2日間保存した精液における授精試験の結果, 必ずしも注入直前に精子の運動性を復活させる必要はないものと推定された。しかし, 精子の運動性を復活させたのち, それを原精液量に濃縮すると, 受精率は高くなることが観察された。一方, 高張液で保存し, 注入直前濃縮処理を行なった精液と, 等張りん酸緩衝液で保存した精液 (注入直前, 同様に濃縮) との間に顕著な差は認められなかった。
    3. 受精率について, 高張りん酸緩衝液と高張SGF-りん酸緩衝液を比較検討した結果, 平均受精率は前者においてややすぐれていた。
  • I. ロードアイランドレツド雄×ロードアイランドホワイト雌のF1について
    一戸 健司, 吉本 邦泰, 鈴木 正三
    1966 年 3 巻 4 号 p. 197-200
    発行日: 1966/10/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ロードアイランドレッド種♂Xロードアイランドホワイト種♀のF1の雛10,206羽を用い, ふ化所要時間を10段階に分けて雌雄別によの発生状況を調査し, 次の結果を得た。
    1. ふ化開始の初期には明らかに雌雛の発生が多く, 雄雛との間に1%水準で有意差が認められた。
    2. ふ化開始後8~16時間の間においては, 雌雄の数はほぼ同様であった。
    3. ふ化開始後16時間以後には雄雛の発生が増加し, 雌雛との間に1%水準で有意差が認められた。
    4. 雌雛のふ化所要時間は, 雄雛より平均2.2時間早かった。
    以上の結果は一代交配種を供試雛に用いた場合であり, また夏期に限定した実験であるため疑問の点が多く存在するので, 目下他品種を用いて年間を通じての同様な調査をし, 更に卵重, 貯卵時間とふ化時間の関係などについても調査を継続中である。
  • II. 卵重と他の形質との間の相関
    佐伯 祐弌, 秋田 富士, 関寺 章八, 大川 勇三郎
    1966 年 3 巻 4 号 p. 201-205
    発行日: 1966/10/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    3月と4月にふ化した白色レグホン (WL-D, WL-Eの2系), 横斑ロック(BPR), ニューハンプシャー(NH)およびロードアイランドレッド (RIR) の3カ年のデータについて, 卵重と他の形質との間の相関関係を分析した。
    まず初産卵重と年平均卵重との間には0.2~0.6の正相関が認められた。卵重 (初産卵重および年平均卵重) と初産時体重との間には, NHおよびRIRを除く他の鶏種において遺伝相関 (rG) 表型相関 (rP) ともに0.3~0.5の正相関値が得られた。また卵重と初産日齢との間にも鶏種によってわずかの差はあるが大体0.3~0.6の正相関値が求められた。
    卵重と年間産卵数との間には, 鶏種によって差はあるが0.2~0.4の負相関が認められた。卵重と“初産から年平均卵重に達するまでの期間”との間には多くの場合に負相関が得られ, 産卵開始当初の卵重の大きいものは早く年平均卵重に達することがわった。
  • V. 人工授精実施鶏における血清中精子凝集素の消長と受精率との関係
    阿部 恒夫, 伊東 郁雄, 内野 健志, 細田 達雄
    1966 年 3 巻 4 号 p. 206-210
    発行日: 1966/10/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    人工授精によって鶏血清中に精子凝集素が産生されるか, また受精率とどのような関係があるかを明らかにするために, 過去において人工授精を継続実施したところ著るしい受精率低下の現象がみられたと報告のあった2養鶏場の鶏群について実験を行なった。すなわちY養鶏場ではふ化期ならびに人工授精実施期間の異なる3鶏群 (100羽) につき調査し, K養鶏場においては同一ふ化期の鶏群100羽を3分し, 40羽は約6カ月人工授精を継続実施し, 40羽は2カ月実施2カ月中止さらに2カ月実施の方法で人工授精を行ない, さらに20羽は処女鶏のまま放置し, 人工授精継続区の受精率が低下した時に人工授精を開始し, 血清中の精子凝集素の産生と受精率との関係について調査した。その成績を要約するとつぎのとおりである。
    1. 人工授精を継続実施すると, 血中精子凝集素所有鶏の羽数は漸次増加し, 抗体力価も高くなるが, 人工授精を実施しない処女鶏においても凝集素所有鶏が存在し, 月令が進むにつれて陽性率, 抗体価ともに上昇していることから, 血中精子凝集素の産生は人工授精によってのみ起るとは言い難い。
    2. 血中精子凝集素の力価と受精率との関係について, 受精率 (Y) の抗体価 (X) に対する回帰式を求めたところ,
    Y養鶏場ではY=-4.89X+77.22
    K養鶏場ではY=-2.55X+67.16が推計され, 抗体価と受精率の表型相関は,
    Y養鶏場ではr=-0.27
    K養鶏場ではr=-0.30
    で, 危険率5%で有意の相関が認められたが, その値は小さかった。
    以上のことから, 長期間人工授精を継続実施した場合にみられるといわれている著るしい受精率低下の直接的な原因として, 血清中精子凝集素の産生, 増加をあげることは本実験からは困難であった。
  • 1966 年 3 巻 4 号 p. 211-223
    発行日: 1966/10/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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