日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
3 巻, 3 号
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  • 田先 威和夫, 茗荷 澄
    1966 年 3 巻 3 号 p. 115-120
    発行日: 1966/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリヒナの発育に対するテレフタール酸 (TPA) の添加効果を知るために, TPAとCTCとを併用した場合と, TPAを単独に添加した場合とにつき, ロックホーン (単冠白色レグホーン種♂×横斑プリマスロック種♀) 雄を用いて, 9回の発育試験をおこない, 次のごとき結果が得られた。
    (1) 本試験に用いた全植物性の基礎飼料に対し, ヒナの発育促進を示さない程低濃度のCTCにTPAを併用した場合は, TPAがニワトリヒナの発育を促進する効果を示した。さらにTPAの単独添加でも発育促進効果が認められた。また飼料要求率についても若干の改善が認められた場合もあった。
    (2) 上記の基礎飼料に対し, TPAを単独に添加した場合に, ヒナの発育促進効果は0.4%添加の場合が最大となった。
    (3) なお, ここに用いた植物性飼料の含有成分を詳細に検討した結果, ミネラル組成に若干の失宜があることが判明した。したがって上に述べた効果は, このような飼料条件下における結果であり, ミネラル組成の失宜を矯正した場合にも同一の効果を期待しうるかどうかは不明であり, 今後の研究にまたなければならない。
    (4) 本試験に用いた魚粉とアルファルファミールを含む基礎飼料に対し, TPAを単独に0.4%添加した場合は, TPAの発育促進効果を示す場合と示さない場合があった。その原因は不明であるが, この点を解明するためには, TPAがニワトリヒナの発育を促進する機序を究明しなければならないと考える。
  • 田中 耕作, 陳 其康, 岡本 正幹
    1966 年 3 巻 3 号 p. 121-124
    発行日: 1966/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    抗生物質を含むりん酸緩衝液で鶏精液を4倍に希釈し, 2°Cから-6°Cの範囲における保存温度の影響を, 精子の運動性, 奇形率ならびに受精率について検討した。なお, 本実験における精液の保存期間は2日および4日であった。その結果はつぎのとおりである。
    1. 2°C, 0°Cおよび-2°C (過冷却温度) で保存した精子の受精率には有意差は認められなかった。
    2. -4°Cならびに-6°Cの過冷却温度で保存した希釈精液は, 0°Cならびに-2°C保存に比較して, 精子の運動性および奇形率にほとんど差は認められなかったが, 著しく低い受精率を示した。-6°Cで保存中の希釈精液は, きわめて不安定な状態にあるので, 試料のあるものは保存中に凍結していた。この凍結精液を15°Cで融解したのち検鏡したところ, 精子の運動性は0であった。
    3. -6°C保存において, 精液を氷点降下度が-0.97°Cの高張りん酸緩衝液で希釈すると, 等張液の場合に比較して, その保存温度における精子の受精率は高くなることが知られた。
  • II. 数品種およびそれらの交配種の成長分析と解体成績
    坂井田 節, 西田 周作
    1966 年 3 巻 3 号 p. 125-132
    発行日: 1966/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Experiment was conducted with several breeds and their crossbreds to analyze the differences of their normal growths and those under restricted diet by which their increases of body weights were interrupted for a week. And the patterns of recovery of growth under full diet following the restrictions were also studied.
    Experiment was carried out with 185 cockerels hatched on July, 1963. Chickens used came from cockerels of four pure breeds; White Leghorn (WL), Barred Plymouth Rock (BPR), White Cornish (WC) and White Rock (WPR), and their crossbreds; WC _??_ _??_ × WL _??_ _??_ , WC _??_ _??_ ×BPR _??_ _??_, and WC _??_ _??_ ×WPR _??_ _??_, The experimental groups were fed with the restricted diet for a week starting at a week of age, and thereafter with full diet. The control groups were fed ad lib. consistently. Six cockerels from the control groups were chosen at random and dissected at ten weeks of age. Body weight, food consumption, feathering, keel length and length of metatarsal bone were measured.
    1) The average body weights of WC and WPR were 1,586gms. and 1,528gms., respectively, at 10 weeks of age, and were larger than those of the other breeds. The body weight of F1 showed intermediate between their parents. Heterosis over midparent value was observed in WC×WL. More efficient feed conversion at 10 weeks of age was obtained in cockerels of the heavier breeds. The ratios were 3.48 in WL, 2.88 in BPR, 2.85 in WPR, 2.84 in WC×WPR, 2.83 in WC×WL, 2.75 in WC×BPR and 2.73 in WC, respectively. Two different types of the ratios were observed between WC×WL and WC× BPR after the period of the restriction of diet. These differences might be resulted from genetical differences of their breeds.
    2) Length of keel at ten weeks of age was longer in the heavy breeds than in the lighter. In general, the longer the keel length, the more meat production. Consequently, in this experiment, dressing percentage was higher in the heavy and their F1 breeds than in the other breeds. BPR and their F1 had a defect of late feathering though they had the highest percentage of dressing.
    3) No difference ameng light (WL), intermediate (BPR), Heavy breed (WC, WPR) and their F1 cockerels was observed with the effect of the restriction and of recovery from the restriction upon growth rate despite of the difference in their growth patterns.
    4) Since the length of metatarsal bone and second primary flight develop at earlier age, the effect of the restricted diet on both characters was not so much as those on live weight. Returning from the restriction to full diet, the recovering rate of live weight immediately increased, while those of metatarsal bone and second primary flight increased a week after from full feeding. This fact may be regarded to indicate that viscera and muscle which are major conformation of live weight recover from the influence of the restricted diet prior to the other characters.
  • 吉田 実, 星井 博, 小坂 清巳, 森本 宏
    1966 年 3 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 1966/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    噴霧乾燥したクロレラを初生ヒナおよびラットに与えてその飼料価値を検討した。その結果つぎのような成績をえた。
    1. ラットによるクロレラ蛋白質の消化率は64±2%であって, 従来の文献値と大差はないものであった。
    2. 飼料中に1%配合してヒナに給与したが, 発育促進効果を示したとはいえなかった。
    3. 飼料中に10%配合してヒナに与えると, 対照区にほぼ等しい発育を示した。場合により軽度の下痢をおこす例もあり, クロレラ蛋白質の消化率は, 76~65%で, 条件により変動するようであるが, 大豆蛋白質に劣っていた。クロレラの窒素補正代謝エネルギーは, 乾物1gあたり1.99kcalであって, その総エネルギー5.34kcalの利用率は低い。
    4. 飼料中に20%配合してヒナに与えると, 下痢をし, 発育は劣った。
  • 卵黄中の蛋白分解酵素 (Proteinase) について
    細田 達雄, 森 純一, 阿部 恒夫
    1966 年 3 巻 3 号 p. 139-143
    発行日: 1966/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    著者らは鶏卵黄及び卵白中に蛋白分解酵素が存在するか否か, また萎縮濾胞中の蛋白分解酵素が如何に変動するかを知る目的で本実験を行った。実験に用いたのはいづれも白色レグホン種のもので, 放卵された卵黄および卵白, 卵巣において発育中の大小各種の卵黄である。又萎縮濾胞は産卵鶏を4~5日間絶食させることによって作り出した。蛋白分解酵素の測定法は変性ヘモグロビンを基質とし, その分解産物を280mμの波長で測定して吸光度の増加を酵素活性値とした。
    得られた結果は次の通りである。
    1. 鶏の卵黄中にはpH4において至適値をもつ蛋白分解酵素作用が認められた。その活性値は平均0.014であった。pH8.2の蛋白分解酵素作用は本実験においては陰性であった。
    2. 同一個体が産卵した卵黄或は同一個体の卵巣において発育中の卵黄の蛋白分解酵素活性値は卵黄の大小にかかわらずほぼ一定の値を示した。然し個体間には或る程度の差異がみられた。
    3. 卵白にはpH8.2の至適値において極めて低く, pH4においては陰性の蛋白分解酵素の作用であった。
    4. 産卵鶏を絶食させて卵巣に実験的に誘起した萎縮濾胞の卵黄における蛋白分解酵素活性値は正常に産卵された卵の卵黄に比較し著るしく高く平均0.130で, 特に出血性のもの及び小さい萎縮濾胞ほどその値は大であった。
  • 佐藤 孝二, 長谷川 功, 五島 治郎
    1966 年 3 巻 3 号 p. 144-145
    発行日: 1966/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    フタオビツヤゴミムシダマシ (Alphitophagus bifasciatus (Say)) の腹部に, 有輪条虫の野外感染像 (擬嚢尾虫) を発見した。更にこの甲虫をニワトリに経口投与することにより, 有輪条虫の成熟体節片の排出を認めることができた。
    得られた体節片を用いて, 人工感染の実験を試み, フタオビツヤゴミムシダマシは, 有輪条虫の中間宿主であることを明らかにした。
  • I. ケージ鶏舎の防寒法および冬期の気温と産卵の関係
    古田 賢治
    1966 年 3 巻 3 号 p. 146-150
    発行日: 1966/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏用ケージ鶏舎の冬期における鶏舎被覆材の保温効果, および鶏舎内の平均気温と産卵率との関係を調査した。1961年より3か年, 毎年12月より翌年2月まで毎日の気温と産卵を記録した。防寒のため鶏舎を第1年度は厚さ0.1mmのポリエチレン幕を一重で, 第2年度は同じ幕を二重にして, 第3年度は厚さ0.8mmの塩化ビニール波板で被覆した。
    ケージ鶏舎はモニター式屋根を備えた開放式で, 開口4.00m, 奥行19.40m, 高さ2.75mのものである。側壁は金網張りで, この上から被覆材で覆ったがモニター部は覆わなかった。鶏舎には毎年初産後1~2か月を経過した白色レグホーン種と横斑プリマスロック種計210羽を収容した。鶏舎内の平均最低気温は舎外より1~2°C高く, 平均最高気温は舎外が1~2°C高かった。鶏舎内の気温低下を防止するのに特に効果的な被覆材は見当らず, 被覆方法を合理的に改善することが必要と考えられた。
    白色レグホーン種の産卵記録により平均気温と産卵率との相関を調べた。材料鶏の羽数は年度順に113, 123, 93羽である。相関が著しく高かった場合も相関係数が負となった場合もあり, 年度により差が大きく一定の傾向を認めなかった。3か年を通じて低温のためクラッチが乱れた場合は少なく, 産卵率が低かった年度は2週間以上に渡って休産する鶏が多かった。本調査の場合のごとく最低気温が-3°C以下となることはまれで, 低温継続日数も比較的短かい場合には, ケージ鶏舎内の気温は高いことが望ましいが, 最低気温を3~5°C以上に保つことが必須ではないと考えられる。
  • 1966 年 3 巻 3 号 p. 151-163
    発行日: 1966/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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