日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
30 巻, 5 号
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  • 古田 賢治
    1993 年 30 巻 5 号 p. 325-335
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 近藤 康博, 木村 茂, 阿部 浅樹, 田辺 昭
    1993 年 30 巻 5 号 p. 336-345
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ヒナの腹腔マクロファージにおけるスーパーオキサイド(O2-)産生能,IgG-Fcレセプター(FcR)およびT細胞への抗原提示能について,一日の時間的経過を調査して,それらのリズム性を追究した。これらのマクロファジーの活性にはそれぞれ明確な日内変動が認められた。O2-産生はザイモザン刺激および無刺激マクロファージのいずれにおいても明期にピークを示す変動を示した。この変動パターンはニワトリマクロファージの静菌活性の変動パターンとは一致しなかった。FcRの陽性率は明期と暗期にそれぞれのピークを持つ変動を示した。このパターンはマクロファージの静菌活性の変動とほぼ完全に一致したが,貪食活性の変動とは一致しなかった。リンパ球とリステリア菌の混合培養にマクロファージを添加すると,リンパ球によるチミジンの取り込みが上昇し,マクロファージによるTリンパ球への抗原提示が観察された。マクロファージの抗原提示能は明期に二つのピークを持つ変動を示した。この変動パターンはフィトヘマグルチニン刺激ニワトリ末梢血リンパ球のin vitroの活性化パターンには同期しなかった。従って,マクロファージの抗原提示はTリンパ球活性化リズムの形成にはあまり寄与しておらず,Tリンパ球の活性化のリズムは他の要因あるいはT細胞活性の固有の変化によるものと思われる。
  • 星野 貞夫, 森下 大介, 脇田 正彰
    1993 年 30 巻 5 号 p. 346-350
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    インスリン様成長因子-1(IGF-1)を酸エタノールで抽出し,凍結乾燥してラジオイムノアッセイ(RIA)に供した。標準ホルモン及び標識ホルモンには組換えヒトIGF-1(rhIGF-1)を用い,その抗血清はNIDDK (the National Institute of Diabetes and Digestive, and Kidney Diseases)から供与された。連続2倍希釈した鶏血清の抽出物による阻止曲線はスタンダードまたはヒト血清のそれとおおむね平行であった。鶏血清に添加したrhIGF-1の回収率は,100.1±0.7%(n=30)であった。このRIAの測定内及び測定間の変動係数(CV)はそれぞれ6.9%(n=10)及び7.6%(n=3)であった。鶏血清から抽出したIGF-1の測定限界はアッセイあたり5pgであった。下垂体摘出は血清中IGF-1濃度を対照鶏のそれより80%低下させた。わい性鶏の血清IGF-1濃度は正常鶏に比べ89%低かった。これらの結果は,この異種RIAが血清中のIGF-1濃度の測定に有効であることを示している。
  • 李 哲煕, 杉山 道雄, 小栗 克之
    1993 年 30 巻 5 号 p. 351-358
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    韓国における激しい畜産物価格の騰落は畜産の安定的発展を妨げている主な要因である。これはブロイラー産業の生産•流通においての構造的な問題である。現在日本のブロイラーの生産•流通システムは発展初期に比べかなり変化をみせているが,韓国のブロイラー産業は,その発展初期の様子をみせている。本文では,発展段階が異なる両国の生産•流通構造の比較により韓国と日本のブロイラー産業の特徴を明らかにすることができた。
    1) 日本のブロイラーヒナ生産は,種鶏業者や飼育者との間の契約生産により,価格は安定しているが,韓国はヒナの生産羽数の調節機能の不備のため年中ヒナの価格の変動が激しい。
    2) 韓国のブロイラー飼育羽数は約2千7百万羽で年間出荷羽数は1億8百万羽と推定され,出荷体重は1.3~1.8kg,出荷日齢は約40日である。日本の飼育羽数は1億5千万羽,年間出荷羽数は約7億3千万羽で,出荷体重は2.5~3kg,出荷日齢は56日である。
    3) 韓国のブロイラー飼育は地方,処理は大都市及びその周辺で行われるため生鳥の輸送であり,日本は遠隔産地で飼育,処理するため解体品輸送である。
    4) ブロイラーの経営所得率は,韓国17.5%,日本8.4%であり韓国の方が2倍も高い。
    5) 韓国の生鳥の農家販売価格は,不規則な変動の上,4年毎の大暴落の周期をみせているが,日本の場合,安定しているし,なお低下する傾向にある。
    6) 韓国の処理場において生鳥の契約生産は23.1%に過ぎないが,日本は契約及び委託生産57%,直営生産25%等である。
    7) 韓国の生鳥出荷は生鳥集出荷商人が主導しており,と体流通中心で,卸売段階の流通マージン率が高く,日本は解体品流通であり,小売段階の流通マージン率が高い。
    8) 日本の生鳥処理場の処理加工の集中度は韓国より高い。
  • 古澤 直人, 向井 孝夫, 伊藤 宏
    1993 年 30 巻 5 号 p. 359-364
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,鶏の組織(血液,筋肉,肝臓,腎臓,卵巣および脂肪)中の3種のサルファ剤,スルファモノメトキシン(SMM),スルファジメトキシン(SDM)およびスルファキノキサリン(SQ)の簡便,迅速かつ高感度な分析法を高速液体クロマトグラフィーを用いて検討した。
    試料からのサルファ剤の抽出は,脂肪の抽出を最小限に抑えるために80%(v/v)アセトニトリル溶液とn-ヘキサンを同時に用いて行った。また,抽出液中の夾雑物質の除去をアルミナA(酸性),N(中性),B(塩基性)およびシリカゲルを充填した4種類のカラムクロマトグラフィーにより検討した結果,アルミナBが最も有効であった。カラムからのサルファ剤の溶出は,90%(v/v)アセトニトリル溶液30mlでいずれも97.1~104.0%回収された。精製された試料をフルオレスカミンによりラベル化し,カラムにLiChrosorb RP-18を用いたHPLCに注入した。鶏の6組織中からのSMM, SDMおよびSQの添加(各1ppm)回収率は85.2~101.9%の範囲で,変動係数は4.9%以内であった。検出限界は,SMMおよびSDMは2ppb, SQは4ppbであった。
  • 萬田 正治, 内田 秀臣, 中釜 明紀, 松元 里志, 下敷領 耕一, 渡邉 昭三
    1993 年 30 巻 5 号 p. 365-370
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    合鴨の水田放飼による雑草および害虫の防除効果を検討した。試験田を無農薬•合鴨無放飼の対照区5a,農薬散布区(以下農薬区に略)15aおよび合鴨放飼区(以下合鴨区に略)10aの3区に分け,供試動物としてカーキーキャンベルとマガモの交雑種である合鴨の雛を用いた。田植え2週間後に4週齢の合鴨35羽を放飼し,最終的には17羽に調整した。放飼期間は稲の出穂期までの約2ヶ月間とした。
    1. 雑草は田植え約1ヶ月後に,120cm方形当たり,農薬区は雑草が皆無であるのに対して,対照区は3種114本および合鴨区は2種18本であった。田植え約2ヶ月後の雑草は,対照区が4種52本に対して,農薬区は2種15本および合鴨区は1種1本であった。以上のことから,合鴨放飼による除草効果は放飼期間が進行するにつれて,農薬区に比較してより顕著であることが明らかとなった。
    2. ウンカ類は発生ピークの7月前半期に,合鴨区において顕著な防虫効果が見られたが,7月後半期からは対照区とほぼ同様の傾向を示しその防虫効果は減退した。なお農薬区ではウンカ類の発生は見られず,農薬散布の効果は顕著であった。
    3. 合鴨区におけるッマグロヨコバイの発生数は対照区と変わらず,合鴨放飼による防虫効果はほとんど認あられなかった。農薬区ではッマグロヨコバイの発生は見られず,農薬散布の効果はウンカ類と同様であった。
    4. コブノメイガによる被害株数は,対照区と合鴨区では大きな差異は見られず,合鴨放飼による防虫効果は認あられなかった。なお農薬区ではコブノメイガによる被害株数は皆無で,農薬散布による効果は顕著であった。
    5. イネツトムシによる被害の程度は,対照区に比較して合鴨区では小さく,合鴨放飼による防虫効果が認あられた。なお農薬区ではイネツトネシによる被害株数は皆無で,農薬散布による効果は顕著であった。
    6. ジャンボタニシの発生数は合鴨区のみ皆無であり,合鴨放飼による防除効果は顕著であった。なお農薬区ではジャンボタニシの発生数は対照区と同様に多い傾向を示し,農薬による防除効果は認あられなかった。
  • 近藤 康博
    1993 年 30 巻 5 号 p. 371-376
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    24時間あるいは48時間の絶食がヒナの好異球のニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元能とペルオキシダーゼ量に及ぼす影響を追究した。腹腔浸出好異球では,NBTの還元能は絶食時間に比例して低下したが,末梢血好異球では,絶食によるNBT還元能の低下は観察されなかった。一方,ミエロペルオキシダーゼ量は腹腔浸出好異球,末梢血好異球ともに絶食の影響は顕著ではなかった。NBT還元能,ペルオキシダーゼ量の両方において,腹腔浸出好異球と末梢血好異球の間には値に大きな差が見られ,ニワトリの好異球におけるサブポピュレーションの存在が示唆された。以上の結果から,絶食によるヒナの殺菌能力の低下は腹腔の好異球のスーパーオキサイド生成に対する絶食ストレスの特異的作用である可能性が示唆された。
  • 松本 伸一, 楠原 征治
    1993 年 30 巻 5 号 p. 377-382
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの成長過程における肝臓の脂肪貯蔵細胞について塩化金反応,ビタミンA一次蛍光および微細構造を観察し,ビタミンAの動態について検討した。
    ニワトリ肝臓において,艀卵15日にすでに脂肪貯蔵細胞が発するビタミンA一次蛍光が認められ,また孵化後10日に塩化金に反応した脂肪貯蔵細胞がはじめて観察された。その後これらの細胞は徐々に増加し,孵化後120から150日において多数認められた。しかしながら,産卵鶏においてはこれらは少数観察されるのみであった。
    微細構造の観察から,肝臓の脂肪貯蔵細胞内にはビタミンAを含有する脂肪滴が孵卵15日から少数認められ,孵化後90から150日においては,これらが多数認められた。しかしながら,産卵鶏においてはこれらの脂肪滴はわずかであった。
    これらのことから,孵化前後では,脂肪貯蔵細胞によって貯蔵されているビタミンAはわずかであるが,成長期後半においては,ビタミンAは脂肪貯蔵細胞に積極的に貯蔵されていることが窺われた。
  • 萬田 正治, 内田 秀臣, 中釜 明紀, 渡邉 昭三
    1993 年 30 巻 5 号 p. 383-387
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    水田内に放飼した合鴨の成長と行動について検討した。試験田10aを用い,田植え2週間後に4週齢の合鴨30羽を放飼した。一方,22羽をブロイラー用後期配合飼料で舎飼し対照区とした。水田放飼区と舎飼区の合鴨の体重,脛長,嘴長および体長を毎週1回測定した。また,水田放飼区の合鴨群から5羽を任意に抽出し,行動型を24時間にわたって調査した。
    終了時の体重は水田放飼区976g,舎飼区970gを示し,1日当たり増体量はそれぞれ8.3gおよび8.2gとなり,両区間に有意な差は認められなかった。また,終了時の体長,脛長および嘴長等のいずれの部位も両区間で有意差は認められなかった。
    24時間の採食行動は14時~16時,9時~11時および2時~7時の3つのピークが見られたが,中でも2時から7時までの採食行動が最も大きなピークを示した。休息行動は8時~10時と17時~2時の2つのピークが見られたが,中でも17時から2時までの休息行動が最も大きなピークを示した。以上のことから,合鴨の一日の行動パターンは野鴨と同様に夜行性であることが明らかとなった。
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