韓国における激しい畜産物価格の騰落は畜産の安定的発展を妨げている主な要因である。これはブロイラー産業の生産•流通においての構造的な問題である。現在日本のブロイラーの生産•流通システムは発展初期に比べかなり変化をみせているが,韓国のブロイラー産業は,その発展初期の様子をみせている。本文では,発展段階が異なる両国の生産•流通構造の比較により韓国と日本のブロイラー産業の特徴を明らかにすることができた。
1) 日本のブロイラーヒナ生産は,種鶏業者や飼育者との間の契約生産により,価格は安定しているが,韓国はヒナの生産羽数の調節機能の不備のため年中ヒナの価格の変動が激しい。
2) 韓国のブロイラー飼育羽数は約2千7百万羽で年間出荷羽数は1億8百万羽と推定され,出荷体重は1.3~1.8kg,出荷日齢は約40日である。日本の飼育羽数は1億5千万羽,年間出荷羽数は約7億3千万羽で,出荷体重は2.5~3kg,出荷日齢は56日である。
3) 韓国のブロイラー飼育は地方,処理は大都市及びその周辺で行われるため生鳥の輸送であり,日本は遠隔産地で飼育,処理するため解体品輸送である。
4) ブロイラーの経営所得率は,韓国17.5%,日本8.4%であり韓国の方が2倍も高い。
5) 韓国の生鳥の農家販売価格は,不規則な変動の上,4年毎の大暴落の周期をみせているが,日本の場合,安定しているし,なお低下する傾向にある。
6) 韓国の処理場において生鳥の契約生産は23.1%に過ぎないが,日本は契約及び委託生産57%,直営生産25%等である。
7) 韓国の生鳥出荷は生鳥集出荷商人が主導しており,と体流通中心で,卸売段階の流通マージン率が高く,日本は解体品流通であり,小売段階の流通マージン率が高い。
8) 日本の生鳥処理場の処理加工の集中度は韓国より高い。
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