日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
30 巻, 6 号
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  • 菅原 道煕, 服部 貴次, 中島 泰治
    1993 年 30 巻 6 号 p. 389-395
    発行日: 1993/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ジゼロシン(gizzerosine; GIZZ)の飼料中許容濃度を知ることは,ブロイラー産業にとって重要なことと考え,以下の実験を行った。DL-GIZZを,0, 0.4, 0.5及び0.6ppm含有する飼料で,ブロイラー雛を各区80羽,4週間飼育した。その結果,対照区を含あて,飼料摂取量と増体量には,飼料間に統計的な有意差は認められなかった。体重が前日より減少し,または等しい雛を,成育停滞雛と規定した。その発生羽数と成育停滞延日数は各々,対照区:4羽,4日,0.4ppm区:10羽,10日,0.5ppm区:12羽,22日,0.6ppm区:15羽,19日であった。0.5及び0.6ppm区では,成育停滞が2~3日継続するもの,或は間を置いて停滞を2度繰り返す雛が発生した。0.4ppm区は,飼育27日目までは,対照区と同様な傾向を示していたが,試験最終日に5羽の成育停滞雛が発生した。現実のブロイラー飼育は6~10週間であるから,試験が実際のブロイラー飼育に準じた期間断続された場合には,相当数の成育停滞雛が発生する可能性があることが示唆された。従って,本実験の結果からはGIZZの飼料中許容濃度は0.2ppm(L)以下であるということ以外,推測出来るいかなるデーターも得られなかった。確認のためには,供試濃度範囲を0.2ppm(L)以下にまで拡大し,現実のブロイラー飼育期間に準じた期間での実験を行う必要がある。実験結果の解析に当たっては,飼料中のGIZZ濃度と飼育期間の相対的関係を,十分に考慮する必要がある。
    飼料摂取量と増体量に,統計的有意差は認あられなかったが,0.4及び0.5ppm区は対照区より多くの成育停滞雛が発生したにも拘らず,平均増体量は対照区に比べて,それぞれ40.3g及び26.1g大であった。飼料要求率には差は見られなかった。このことは,0.4及び0.5ppm区では,大部分の雛は,成育停滞を示さず,飼料摂取量と増体量が促進されたことを示している。低濃度のGIZZが成育促進効果を示すか否かを確認するためには,更に実験を反復する必要があると考えられた。
  • 森 誠, 須藤 大介
    1993 年 30 巻 6 号 p. 396-402
    発行日: 1993/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ウズラの顆粒膜細胞は基底膜と卵黄膜にはさまれた一層の細胞であり,そのままの形状で生体から取り出すことができる。この特殊性を利用して,顆粒膜細胞の表面と裏面の接する培養液が直接混じりあわないような装置を製作し,これを用いてプロゲステロンの分泌の方向性を調べた。
    本来卵黄と接していた側の培養液にLH(5ng/ml)を添加し,39°Cで3時間インキュベーションし,両側の培養液を回収してプロゲステロン含量をラジオイノムアッセイで測定した。その結果,プロゲステロンは両側にほぼ均等に分泌され,分泌の方向性は特に認められなかった。逆に卵胞膜と接していた側の培養液にLHを添加すると,添加した側の培養液により多くのプロゲステロンが分泌されるという方向性を示した。
    顆粒膜細胞がLHの刺激によってプロゲステロンを合成分泌することはすでに知られている。また卵胞膜細胞はプロゲステロンを基質にしてエストロゲンやアンドロゲンを合成することができる。本研究の結果は,LHが血管分布の豊富な卵胞膜側から顆粒膜細胞を刺激し,卵胞膜細胞の方向にプロゲステロンを分泌することを示しているとともに,細胞のステロイドホルモン分泌の方向性を探る上で,ウズラの顆粒膜細胞が非常に適切なモデルであることを示唆している。
  • 安藤 洋介, 富田 武
    1993 年 30 巻 6 号 p. 403-412
    発行日: 1993/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    パルスフィールドゲル電気泳動を用いてニワトリおよびニホンウズラのW染色体DNA分子をアガロースゲル中でバンドとして分離し,ニワトリのW染色体特異的な反復DNA配列をプローブとしてW染色体のDNA構成を研究した。
    DNA試料は赤血球からゲルブロック法により調製した。パルスフィールドゲル電気泳動後,エチジウムプロマイド染色によりニワトリおよびニホンウズラにおいて数百Kbから数Mb(数千Kb)の範囲でバンドとして明瞭な分離パターンが検出された。そのうち,W染色体DNAに由来するバンドは1ペアーの親とそれらから得たF1およびF2個体の雌雄のパターンの比較により判定した。その結果,ニワトリでは20種類の制限酵素のうち14種類においてW染色体DNAに由来するバンドが1~8本検出され,それらのバンドの多くは2.2Mbを超える巨大なDNAの断片であった。しかし,ニホンウズラでは明瞭なW染色体DNAに由来するバンドは検出されず,W染色体のDNA構成においてニワトリとかなり異なっていると考えられた。
    W染色体DNAに由来するバンドを判定した後,ニワトリのW染色体特異的な反復DNA配列をプローブとしてケミルミネセンスによるサザンハイブリダイゼーションを行った。その結果,ニワトリにおいて16種類の制限酵素で3~5Mbの範囲に1~3本のハイブリダイゼーションシグナルがほぼ共通して検出され,W染色体特異的な反復DNA配列が3~5Mbもの巨大なサイズの高度反復領域を形成していることが示唆された。制限酵素HindIII, PstIおよびXbaIではハイブリダイゼーションシグナルがそれぞれ9本,7本および9本と多数検出され,品種,系統の比較に有効であると考えられた。また,制限酵素DraIおよびEcoRIではハイブリダイゼーションシグナルが対応していないW染色体DNAに由来するバンドが3本および5本検出され,これらのバンドは現在報告されているW染色体特異的な反復DNA配列を含んでいないDNA領域であると考えられた。
  • 加来 篤, Chawmshang CHANG, 田村 達堂, 岡本 敏一, 吉村 幸則
    1993 年 30 巻 6 号 p. 413-418
    発行日: 1993/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリ,シチメンチョウ,アヒル,ウズラ等の排泄腔背部には,排泄腔腺が存在するが,特に雄ウズラでは性成熟に伴って顕著に発達し,白色泡沫液を分泌する。雄ウズラ排泄腔腺の発達と分泌が,アンドロジェンの刺激によって起こることは既に報告されている。本研究では新たに,雄ニホンウズラ排泄腔腺のアンドロジェンレセプター(AR)の局在について追求した。即ち艀卵15日目の雄ウズラ胚,20日齢の未成熟,80日齢の成熟,孵化1日後からテストステロンを0または10μg/羽/日の割合で5日間連続投与した雄ウズラをそれぞれ3~4羽供試し,抗ヒトARポリクローナル抗体を用いて免疫組織化学的検索を行った。15日胚では,肛門洞粘膜上皮の細胞がその下部の結合組織に陥入して排泄腔腺構造の形成を開始していた。肛門洞粘膜上皮細胞及び腺細胞の核には,AR陽性反応が弱く認められた。20日齢及び80日齢では,排泄腔腺腺細胞及び肛門洞粘膜上皮細胞の核にAR陽性反応が認あられた。80日齢では,20日齢に比較してAR陽性反応はより強く認められた。テストステロン投与ウズラでは非投与のものに比較して,排泄腔腺を構成する単位腺の数の著しい増加が認あられた。テストストロン投与,非投与の何れでも,排泄腔腺腺細胞及び肛門洞粘膜上皮細胞にAR陽性反応が認められた。以上の結果は,雄ウズラ排泄腔腺では,少なくとも15日胚で腺細胞と肛門洞粘膜上皮細胞にARが存在することを証明し,排泄腔腺の発達と腺の分泌機能は,ARを介在するアンドロジェンの調節機構下に置かれていることが明らかとなった。
  • 新里 玄徳, 古田 賢治, 比嘉 博文, 友寄 隆優, 新城 明久
    1993 年 30 巻 6 号 p. 419-423
    発行日: 1993/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1987年から1990年までの4年間に宮崎県の種鶏場から沖縄本島の孵卵場に輸送されたブロイラーの種卵約540万の孵化成績を検討した。種鶏場から鹿児島港まで約60kmを自動車で,同港から那覇港まで約610kmは5,000tないし6,000tの貨物船で,那覇港から孵卵場まで約10kmは別の自動車で輸送した。輸送距離は合計680km,その所要時間は約35時間であった。6月から10月までの輸送に際しては貨物船内でのみ温度を20℃に保ったが,その他の月及び自動車内においては温度制御はしなかった。種卵が生産されてから入卵までの日数は7日以内であった。
    輸送された種卵の年度別孵化率は80.0-88.1%の範囲にあり,平均83.6%であった。孵化羽数に対する健康雛羽数の割合は97.1-98.6%の範囲にあった。種卵の孵化率には季節の影響がみられ,冬と春が高く夏に低かった。また,種卵を生産した母鶏の週齢の影響も認められた。孵化率は28-30週齢で87.7%,36-40週齢で最も高く88.8%であり,以後週齢の経過に伴って低下した。これらの成績は同銘柄の種鶏の飼養管理マニュアルの記載値と比較して同程度であった。
    これらの結果から種卵を上記の条件で輸送しても孵化に悪影響が及ばないことが知られた。
  • 三好 昌史, 楠原 征治
    1993 年 30 巻 6 号 p. 424-429
    発行日: 1993/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,成熟した雄のウズラにエストロジェンを投与することによって出現するアルカリフォスファターゼ(ALP)陽性の骨形成系細胞を分離し,それらの細胞の増殖に対するエストロジェンの作用を調べた。エストロジェン処理後,大腿骨骨内膜表面および骨髄内に多数出現した骨形成系細胞を,酵素処理と培養皿に付着する性質を利用して分離した。分離した細胞の60%は,ALP陽性の骨形成系細胞であった。これら得られた細胞はエストロジェンを10-9,10-8および10-7M含む培地で144時間培養したところ,エストロジェンの濃度に依存してALP陽性細胞の割合が増加した。また,オートラジオグラフィーの結果でもエストロジェンの濃度に依存して,骨形成系細胞の3H-チミジン取り込みが促進され,抗エストロジェン剤であるタモキシフェンによりその作用が抑えられた。以上のことから,エストロジェンは骨形成系細胞の増殖を刺激することが示唆された。
  • 李 権隆, 縣 和則, 森 誠
    1993 年 30 巻 6 号 p. 430-436
    発行日: 1993/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    家禽の卵胞顆粒膜細胞は卵胞の成熟とともに増殖するが,卵胞が最大になると黄体形成ホルモン(LH)の刺激によりプロゲステロンを産生できるように分化する。この機構を探るためにウズラの顆粒膜細胞を培養し,その増殖と分化におよぼす各種ホルモンの効果について検討した。培養液はグルタミン,ヘペス,抗生物質を含んだマッコイ5aとハムF12の等量混合液で,培養開始後6時間までは牛胎児血清を10%添加して細胞を接着させ,その後は1%として培養した。培養終了時の細胞のLHに対する反応性を調べるにあたっては,クレブスリンガー溶液中で細胞を3時間インキュベーションし,次にLHを添加した溶液で3時間インキューベーションし,それぞれの溶液中のプロゲステロン量を測定した。
    その結果,卵胞刺激ホルモン(FSH)を添加した培養液で72時間培養しても細胞の増殖には効果は認められなかったが,LHにする反応性は卵胞の大きさとは無関係に増加した。一方,上皮成長因子(EGF)を添加すると細胞の著しい増殖が観察されたが,これらの細胞ではLHに対する反応性が消失していた。以上の結果からEGFは細胞の増殖に作用し,FSHは細胞の分化に作用していると推察され,両ホルモンが卵胞の成熟過程における顆粒膜細胞の増殖と分化の制御に関与している可能性が示唆された。
  • 板津 智明, 高橋 哲也, 川島 光夫, 上吉 道治, 田中 克英
    1993 年 30 巻 6 号 p. 437-442
    発行日: 1993/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏下垂体前葉の前部腺体と後部腺体からそれぞれ粗細胞膜を調製し,それらの粗細胞膜におけるアルギニン•バソトシン(AVT)に対する結合性を放射性ヨードで標識したAVT(125I•AVT)を用いて検討した。前部と後部の何れの腺体においても,125I•AVTに対する結合特異性と結合飽和性が認められ,しかもScatchard法により算定した結合物質の解離定数(Kd)は10-10Mのオーダーと小さく,最大結合部位数(NBSmax)は蛋白質1mg当たり10-13moleのオーダーであった。これらのことから,ニワトリの下垂体前葉の前部腺体と後部腺体にAVTのレセプターと見倣し得る物質が存在することが明らかとなった。
    又,産卵鶏と雄鶏の前部腺体と後部腺体においてKd値とNBSmax値をそれぞれ比較検討したところ,Kd値には有意差は認められなかったが,NBSmax値は産卵鶏と雄鶏の間で差が認められ,産卵鶏の方が大であり,しかも産卵鶏では前部腺体より後部腺体の方が大であった。
  • 萬田 正治, 内田 秀臣, 中釜 明紀, 松元 里志, 下敷領 耕一, 渡邉 昭三
    1993 年 30 巻 6 号 p. 443-447
    発行日: 1993/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    合鴨の水田放飼が稲の生育および収量に及ぼす影響について検討した。試験田を無農薬•合鴨無放飼の対照区5a,農薬散布区(以下農薬区に略)15aおよび合鴨放飼区(以下合鴨区に略)10aの3区に分け,田植え2週間後に4週齢の合鴨の雛35羽を放飼した(最終的には17羽に調整)。放飼期間は稲の出穂期までの約2ヵ月間とした。
    1.稲の草丈は農薬区で前半期に高い傾向を示したが,後半期では3区間に差は認められなかった。
    2.稲の茎数は多い順に合鴨区,対照区,農薬区であった。
    3.稲の葉面積は農薬区が最も大きく,次いで合鴨区,対照区の順となった。また稲の高度別の相対照度は,草丈60~70cmでは3区間に差異は認められなかったが,草丈50cm以下では農薬区で低い傾向を示した。
    4.合鴨区の水田内の欠株数は446株で欠株率は4.5%を示した。
    5.1株穂数,1株登熟粒数および1株収量は,合鴨区,対照区,農薬区の順に多い傾向を示した。しかしながら10a当たり収量では,合鴨区と農薬区では有意な差は認あられなかった。
  • 1993 年 30 巻 6 号 p. 448-468
    発行日: 1993/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 30 巻 6 号 p. 473
    発行日: 1993年
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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