ジゼロシン(gizzerosine; GIZZ)の飼料中許容濃度を知ることは,ブロイラー産業にとって重要なことと考え,以下の実験を行った。DL-GIZZを,0, 0.4, 0.5及び0.6ppm含有する飼料で,ブロイラー雛を各区80羽,4週間飼育した。その結果,対照区を含あて,飼料摂取量と増体量には,飼料間に統計的な有意差は認められなかった。体重が前日より減少し,または等しい雛を,成育停滞雛と規定した。その発生羽数と成育停滞延日数は各々,対照区:4羽,4日,0.4ppm区:10羽,10日,0.5ppm区:12羽,22日,0.6ppm区:15羽,19日であった。0.5及び0.6ppm区では,成育停滞が2~3日継続するもの,或は間を置いて停滞を2度繰り返す雛が発生した。0.4ppm区は,飼育27日目までは,対照区と同様な傾向を示していたが,試験最終日に5羽の成育停滞雛が発生した。現実のブロイラー飼育は6~10週間であるから,試験が実際のブロイラー飼育に準じた期間断続された場合には,相当数の成育停滞雛が発生する可能性があることが示唆された。従って,本実験の結果からはGIZZの飼料中許容濃度は0.2ppm(L)以下であるということ以外,推測出来るいかなるデーターも得られなかった。確認のためには,供試濃度範囲を0.2ppm(L)以下にまで拡大し,現実のブロイラー飼育期間に準じた期間での実験を行う必要がある。実験結果の解析に当たっては,飼料中のGIZZ濃度と飼育期間の相対的関係を,十分に考慮する必要がある。
飼料摂取量と増体量に,統計的有意差は認あられなかったが,0.4及び0.5ppm区は対照区より多くの成育停滞雛が発生したにも拘らず,平均増体量は対照区に比べて,それぞれ40.3g及び26.1g大であった。飼料要求率には差は見られなかった。このことは,0.4及び0.5ppm区では,大部分の雛は,成育停滞を示さず,飼料摂取量と増体量が促進されたことを示している。低濃度のGIZZが成育促進効果を示すか否かを確認するためには,更に実験を反復する必要があると考えられた。
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