日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
31 巻, 5 号
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  • Seno JOHARI, 前田 芳實, 岡本 新, 橋口 勉
    1994 年 31 巻 5 号 p. 307-312
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究は,筋肉中のカルパインおよびカルパスタチン活性値と成長速度との関係について分析を行った。材料には薩摩鶏を用い,成長速度(FGR)は初期体重に対する増大量2週齢から3週齢までの増体量で表した。成長速度と酵素活性値との関連をより正確に評価するために同一初期体重の個体を供試した。すなわち,175羽のヒナから110gの2週齢体重を示す14羽の雄個体を選抜した。
    3週齢時の体重と2-3週齢時の増体量はそれぞれ207.5±11.9gおよび12.66±1.54%/dayであった。3週齢時のカルパイン活性値は1.023±0.093 units/g muscleおよび0.024±0.004 units/mg proteinであった。またカルパスタチン活性値は0.287±0.027 units/g muscleおよび0.013±0.003 units/g proteinであった。成長速度と筋肉重量当りのカルパイン活性値との相関(-0.66)は有意であった(P<0.01)。一方,成長速度と蛋白質当りのカルパイン活性値およびカルパスタチン活性値との相関は低かった。
  • 村松 達夫, 川村 悌志, 田中 ゆみ, 奥村 純市
    1994 年 31 巻 5 号 p. 313-326
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏の産卵および成長成績を予測するためのコンピューターシミュレーションモデルを作製するため,広範な文献調査を行った。予測すべき鶏の反応としては飼料摂取量,体重変化量,体蛋白質および体脂肪蓄積量,日産卵量,卵重,産卵率,および飼料効率を設定した。これらの成績を予測するため考慮にいれた要因としては,飼料のCPおよびME含量,飼料蛋白質の質,飼料摂取量制限の程度,環境温度,産卵期以前および産卵期における照明条件,日齢並びに鶏種を取り上げた。経験的に求められた連立方程式をパーソナルコンピューターによって1日単位で解いた。結果の統計分析から予測値と報告値とがよく一致することが示された。従って,本シミュレーションモデルは産卵鶏経営における管理意志決定のために優れた道具として役立つものと結論された。
  • 近藤 康博, 岡 宏昭, 阿部 浅樹, 田辺 昭
    1994 年 31 巻 5 号 p. 327-334
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    T細胞マイトジェンであるフィトヘマグルチニン(PHA)誘導性のニワトリ末梢血リンパ球(PBL)の活性化に対するβ-エストラジオールの影響をin vitroで追究した。同じ濃度範囲のテストステロンやコルチコステロンの影響も調査した。さらに,PHAで刺激されたPBLによるインターロイキン2 (IL2)の産生,およびIL2材料に対するPBLの反応性に対する低濃度(10-9M)と高濃度(10-5M)のβ-エストラジオールの影響についても追究した。10-9Mから10-7Mの濃度のβ-エストラジオールはPHA誘導性のPBL活性化を促進する作用を示したが,一方,最も高濃度のβ-エストラジオール(10-5M)は逆にその活性化を抑制した。テストステロンとコルチコステロンはそれぞれ高濃度において,PHA誘導性のPBL活性化に対する抑制作用しか示さなかった。β-エストラジオールはPHA刺激PBLによるIL2産生に影響し,10-9Mでは促進作用を,10-5Mでは逆に抑制作用を示した。一方,β-エストラジオールは高濃度,低濃度の両方においてIL2に対するPBLの反応性には有意に影響しなかった。以上の結果から,マイトジェン誘導性のT細胞活性化に対するβ-エストラジオールの濃度依存的な作用とマイトジェン刺激T細胞によるIL2産生に対するβ-エストラジオールの作用の間には密接な関連があると考えられる。
  • 山下 秀次, 岡本 新, 前田 芳實, 橋口 勉
    1994 年 31 巻 5 号 p. 335-344
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,DNAフィンガープリントを遺伝指標として,家鶏と野鶏との遺伝的類似性について分析を行い,それにもとづいて種や品種相互間の遺伝的距離を推定した。供試鶏には,家鶏として日本在来鶏2品種(岐阜地鶏および薩摩鶏),中国在来鶏3品種(茶花鶏,武定鶏および西双版納闘鶏)および白色レグホーン種を用い,野鶏としては赤色野鶏,灰色野鶏,セイロン野鶏および緑襟野鶏の4種を用いた。DNAは赤血球より抽出し,各集団ごとに個体のDNAを等量ずつ混合した後,制限酵素Hinf Iで切断した。DNAフィンガープリント法のプローブには(TG) nを用いた。DNAフィンガープリントの遺伝的類似性の評価には,BS値を算出した。また,遺伝的距離の推定には,BS値より算出したサイトあたりの塩基置換数を用い,さらにこの結果から非加重結合法によってデンドログラムを作成した。
    本研究に供試した家鶏と野鶏についてその関連性を調べると,まず家鶏では,日本在来鶏および中国在来鶏それぞれにおいて近い関係を示し,白色レグホーン種は中国在来鶏に比べて日本在来鶏との関係が比較的近いことが明らかとなった。一方,野鶏においては灰色野鶏とセイロン野鶏が近い関係にあり,これらはまた赤色野鶏とも比較的近いが,緑襟野鶏とは類縁関係が遠いことが判明した。さらに4種野鶏および家鶏間では,赤色野鶏が家鶏に最も近く,緑襟野鶏は家鶏とはかなり遠いことが示唆された。
  • 三好 俊三, 光本 孝次
    1994 年 31 巻 5 号 p. 345-353
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    前回の報告(三好•光本,1994)において市販採卵用鶏種(以下,系種と略す)の卵質および卵構成の差異を明らかにした。本報では卵黄の脂質,特に,コレステロール含量と脂肪酸組成における差異を調査した。前報で調査した白色卵8系種(WA~WH)および褐色卵5系種(BI~BM)それぞれよりランダムに10卵の卵黄を用いた。卵黄の全脂質の抽出および脂肪酸とコレステロールの分析はNAKANOとFISCHER(1977)の方法に従い,ガスクロマトグラフィーで分析した。
    その結果を要約すれば次の通りである。
    卵黄の全脂質含有率と量およびコレステロール含有率には卵殻色の違いにより有意差が認められた。各系種の卵黄全脂質含有率および量,コレステロール含有率および量,さらに構成脂肪酸含有率の平均値には有意差が認められた。脂質含有率は28.5~35.4%(湿重量当たり)であったが,卵黄の総脂質量は卵黄の大きさに依存する傾向にあった。
    卵黄のコレステロール含有率は13.0~16.8mg/gと推定されたが,卵黄中の総コレステロール含量は卵黄の大きさに依存せず,212~318mgと推定された。特に,相対的に卵黄の大きいWB系種が低い含有量を示し,中位の卵黄重であったWF系種で高い含有量が推定された。
    卵黄脂質の脂肪酸組成は各系種で類似し,C18:1が約44%, C16:0が約25%, C18:2が約13%,ついで,C16:1とC18:0がそれぞれ5~7%を占める構成であった。系種間に認められた各脂肪酸の含有率の有意差は2~3系種での異なる推定値によるものであった。飽和脂肪酸に対する不飽和脂肪酸の比は1.8~2.4であったが,主にC16:0とC18:1の含有率に左右されるものであった。
  • ゴンザレス シルビアM.T., 川島 光夫, 上吉 道治, 桑山 岳人, 田中 克英, 一戸 健司
    1994 年 31 巻 5 号 p. 354-357
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    白色レグホーン種の休産鶏にプロジェステロン,エストラジオール-17β, 5α-ジヒドロテストステロンをそれぞれ単独で1回筋肉内に注射し,その2時間後に下垂体前葉を採取して前部腺体並びに後部腺体におけるVIPレセプターの特異的結合量を放射性ヨード標識ニワトリ血管作用性腸ペプチド(VIP)を用いたラジオリガンド•アッセイによって測定した。その結果,プロジェステロンを注射した場合のみにおいて両腺体における特異的結合量の増加が認められた。
  • 仲田 正, 宗 知紀, 塩田 鉄朗, 田中 耕作
    1994 年 31 巻 5 号 p. 358-362
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    連産中の鶏及びウズラを用いてアルギニン•バゾトシン(AVT)の放卵に関連する役割を検討した。推定放卵時刻の1~2時間前に雌鶏の下垂体後葉を除去した。しかしすべての個体が推定放卵時刻に放卵した。また,推定放卵時刻の8時間前にAVT抗血清1mlを鶏に,0.3mlをウズラにそれぞれ靜脈投与したが,放卵時刻に影響は無かった。これらの結果から,下垂体後葉から放出されるAVTは放卵を直接誘起する作用はないものと推察された。
  • ピノントアン レインハード, 奥村 純市, 村松 達夫
    1994 年 31 巻 5 号 p. 363-367
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では全胚培養系を用い,杜仲葉抽出物がニワトリ胚における全身蛋白質合成を促進するかどうかを検討した。孵卵7日目のニワトリ胚を10ないし30分間,段階的な杜仲葉抽出物のレベル(0, 0.02, 0.11または0.56μg/ml)を添加した無血清培養液中で培養した。全身蛋白質合成は遊離と蛋白質結合L-[4-3H]フェニルアラニン比放射能の経時的変化から求めた。実験結果から杜仲抽出物はニワトリ胚の全身蛋白質合成には影響を及ぼさないものと結論された。
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