日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
32 巻, 5 号
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  • 前田 芳實
    1995 年 32 巻 5 号 p. 311-319
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 小出 和之, 石橋 晃
    1995 年 32 巻 5 号 p. 320-328
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    年々ブロイラーは改良されてきたが,同一MEレベルでの体組成と飼料中蛋白質含量との関連をしらべた肥育前期の報告は殆どないので,ブロイラーのアミノ酸要求量を,増体量を主たる指標として求める一連の試験に先立ち,ME 3,200kcal/kgの飼料を給与した時のプロイラーの屠体組成に及ぼす飼料中粗蛋白質含量(CP)の影響を調べた。トウモロコシを主体とするME 3,200kcal/kgの飼料に,良質な蛋白質源として全卵蛋白質を加えて,CPレベルが12.1と21.1%の2種類の飼料を配合しそれらを比例配合し,CPが等間隔に6段階になる飼料を調製した。その飼料と水を残留卵黄の影響が少なくなる5日齢から15日齢まで各区5羽に自由摂取させた。15日齢時に体重,飼料摂取量を測定後,屠殺して体組成を調べた。増体量はCPの増加と共に増加し,その後ほぼ一定となった。その増体量の折曲点はCP 16.2%であった。飼料効率の場合はCP 15.0%で折曲点が観察された。CPレベル(%)をXとすると,体水分含量(%,Y1),体蛋白質含量(%,Y2)および体灰分含量(%,Y3)はCPレベルの増加と共に直線的に増加したが,体脂肪含量(%,Y4)は直線的に減少した。
    Y1=0.284X+61.27(r2=0.658)
    Y2=0.236X+11.50(r2=0.606)
    Y3=0.266X-0.86(r2=0.939)
    Y4=-0.786X+28.09(r2=-0.935)
    蛋白効率もCPが低い範囲ではCPの増加とともに直線的に増加したが,CP15.8以上では減少した。摂取CP量に対する蓄積蛋白質の割合はCP14.9%で最大71.9%となった。一方摂取MEに対する蓄積エネルギーの割合はCP14.9%で最大52.6%となった。
    消化管内容物の量(g)はCPおよび体重の増加に伴って増加した。しかし,それは要求量を計算するに当たって,影響をもたなかった。
  • 小出 和之, 石橋 晃
    1995 年 32 巻 5 号 p. 329-336
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    現在報告されているブロイラーのトレオニン要求量は,その値に大きな幅があり,その原因を調べるために2回の実験を行った。
    実験1では加齢による影響を調べるため,トレオニン含量を段階的に変化させた同一の試験飼料を,異なる日齢(5, 15, 25及び35日齢)のブロイラー雌雛に10日間給与し,試験終了時に体重と飼料摂取量を記録した。
    実験2では加齢と飼料中蛋白質(アミノ酸)含量による影響を調べるため,2段階の蛋白質含量の基礎飼料を用い,それぞれトレオニン含量を段階的に変化させた試験飼料を,異なる口齢(8及び28日齢)のブロイラー雌雛に10日間給与し,試験終了時に体重と飼料摂取量を記録した。
    最大成績を得るための飼料中トレオニン含量(%)および飼料蛋白質中のトレオニン含量(%)は加齢とともに減少し,飼料中蛋白質含量の増加に伴って増加する傾向を示した。また,最大成績を得るための単位増体(kg)当たりのトレオニン摂取量(g)は,加齢とともに増加したが,飼料中蛋白質含量の影響については明らかではなかった。
  • 新里 玄徳, 秋好 禎一, 泉 秀司, 新城 明久, 古田 賢治
    1995 年 32 巻 5 号 p. 337-341
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ブロイラー養鶏場で使用した作業靴の細菌汚染の実態を調査し,次いで汚染を除去するために必要とする紫外線の照射量について検討した。作業靴の素材は軟質塩化ビニールで,靴の表面には透明エナメル樹脂が塗布されていた。
    入雛準備作業に使用した靴の汚染の程度が低く,底,踵,爪先及び脛の各部位から検出された菌数は101.5-106.1/cm2の範囲にあった。ブロイラーを出荷後に,汚れた敷料(木材チップ)を搬出する作業に使用した靴の汚染が高く102.7-106.2/cm2の菌が検出され,日常管理作業の靴の汚染はその中間にあり,検出された菌数は102.0-106.0/cm2の範囲にあった。菌数の平均値で比較すると,敷料搬出作業に使用した靴の汚染は入雛準備及び日常管理作業の靴より有意に高かった。しかし,検出された菌数の最大値は作業による差はなく,いずれも106/cm2程度であった。また,靴の部位では底と踵の汚染が爪先と脛の汚染より有意に高かった。水洗した作業靴の底,踵,爪先及び脛から検出された菌数の最大値はそれぞれ104.5,105.1,104.0及び102.8/cm2であった。
    水洗後の作業靴の底及び踵に,波長250-260nmの紫外線を放射する10wの殺菌灯を照射して細菌を除去した。紫外線の照射量が多くなるに従い検出される菌数が減少し,照射量を104.75J/m2以上とすると照射後に検出される細菌は101.0/cm2以下となった。
  • 武政 正明, 村上 斉
    1995 年 32 巻 5 号 p. 342-349
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    実験1では,トウモロコシに比べてフィターゼ活性の高い大麦および小麦の使用による雛の排泄リン量低減の可能性を調べるため,飼養試験と出納試験を行った。非フィチンリン(NPP)を0.40, 0.36, 0.32あるいは0.28%含む大麦飼料,小麦飼料,およびNPP0.40%を含むトウモロコシ飼料を6日齢の白色レグホン種雄雛に2週間給与した。試験終了前の4日間にはリンの出納試験を実施した。その結果,NPP0.40%, 0.36%および0.32%の大麦飼料および小麦飼料を給与した雛の飼養成績および趾灰分含量は,トウモロコシ飼料の場合とほとんど同じであった。大麦飼料および小麦飼料を給与した雛のリン蓄積率は,トウモロコシ飼料を給与した雛に比べて高い傾向であった。雛のリン排泄量は大麦飼料,小麦飼料ともにNPP水準が低くなるほど有意に少なくなった。以上の結果から,麦類を飼料中に50%配合することにより,NPP水準を0.40から0.32%にまで低下することができ,これにより雛の排泄リン量を約20%低減することが可能であることが示唆された。
    実験2では,大麦および小麦に含まれるフィターゼ活性の消化管における消失を調べた。大麦飼料,小麦飼料あるいはトウモロコシ飼料を給与した雛を,飼料給与停止後,0, 10, 30, 60および150分後に屠殺し,そ襄内容物の無機リン含量および消化管内容物のフィターゼ活性を測定した。その結果,そ嚢内容物の無機リン含量(mg/g乾物)は,トウモロコシ飼料を給与した雛では時間の経過とともにわずかに漸減する傾向を示した。一方,大麦飼料および小麦飼料を給与した雛では時間の経過とともに明らかに増加し,飼料給与停止後60分および150分におけるそ嚢中の無機リン含量は,飼料摂取後10分の値に比べて約2倍となった。大麦飼料,小麦飼料を給与した雛の筋胃内容物中のフィターゼ活性は認められなかった。また,筋胃内容物を小腸pHに近いpH7に調整しても,フィターゼ活性は認められなかった。以上の結果から,大麦,小麦に含まれるフィターゼは主にそ嚢において作用すること,その活性は胃においてほとんど活性を失うことが示唆された。
  • 王 秀武, 上曽山 博, 三好 宏幸, 神 勝紀, 一色 泰, 山内 高円
    1995 年 32 巻 5 号 p. 350-358
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    段違いフリーケージ飼育鶏の夏期における産卵性低下を防止する目的で,単冠白色レグホーン種雌を132日齢時から9段の段違いフリーケージに移し,慣用の採卵用飼料を水ともに自由に摂取させた。7月6日(171日齢)からフリーケージの最上部より小型クーラー(HITACHI RA-2204)を用い,0.65m/sの冷風を10週間送入し,冷風送入中止後も12週間産卵性を調査した。
    冷風送入によるフリーケージ各段の温度は対照区より14時の9段,5段,1段ではそれぞれ0.7°C, 0.4°C, 0.3°C, 21時では0.4°C, 0.4°C, 0.1°C低下した。湿度は冷風送入によって14時の9段,5段で3.2%, 0.9%低く,1段で4.8%高く,21時では9段,1段は1.3%, 1.4%高く,5段は0.1%低くなった。
    産卵性では冷風送入によって産卵率が9.7%有意に高く,卵重は逆に約1g軽くなった。日産卵量は4.3g多く,飼料摂取量は0.7g減少したため,飼料効率は4.9%も有意に高くなった。
    鶏の段別分布は14時で8月中旬まで冷風区は8, 9段目が2倍以上多くなった以外は,いずれの時刻も両区で同様の傾向がみられ,夜間には殆ど上部3段に集中した。段別における産卵は両区共に1, 8, 9段に著しく多く,他の段は少なかった。
    冷風送入中止後,12週間の産卵性については,産卵率,日産卵量,飼料効率は対照区に対してそれぞれ6.8%, 3g, 2.9%高く,卵重,飼料摂取量は逆に1.3g, 0.9g減少した。
    以上の結果からフリーケージ飼育鶏に対する夏期高温時の冷風送入は,産卵性の改善効果が顕著であり,その効果は冷風送入中止後12週間経っても持続された。
  • 樋口 浩二, 林 國興, 大塚 彰, 冨田 祐一郎
    1995 年 32 巻 5 号 p. 359-362
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    The induction of heat shock proteins in chicken lymphocytes was investigated. Separated lymphocytes were incubated with 9μCi of L-[35S] methionine at 37°C (control) or 45°C (heat shock) for 3h. and the cell lysates were then applied to SDS-polyacrylamide gel to separate the heat shock proteins. The heat shock proteins were determined by fluorography. Three polypeptides having molecular masses (Mrs) of 100, 76, and 26 kilo daltons were clearly induced when exposed to 45°C.
  • 山上 善久, 笹子 謙治
    1995 年 32 巻 5 号 p. 363-369
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    凍結乾燥した数種類の野菜屑および人工乾燥アルファルファミールを産卵鶏に定量給与(5g/日•羽)して,卵黄色および卵黄中のレチノール含量を調べた。
    また,ニンジン茎葉を牧草乾燥成形機(伊達鉄工所製)でウエファーにしたものを粉砕し,飼料中に3, 6, 9%添加して産卵鶏の生産能,卵黄色および鶏卵の風味などに対する影響を検討した。
    1. 卵黄色は,低カロチノイド飼料を給与すると退色がおこり,約2週間経過したところで淡い黄色に一定した。次に,この低カロチノイド飼料に野菜屑,アルファルファファミールなどを添加して給与すると,卵黄は濃厚な黄色に着色されていき,約10日間経過した時点から後の卵黄色調は安定した。
    2. 生卵黄色のロッシュ•カラーファンナンバーによる評点は,ジャガイモ茎葉>ダイコン茎葉≧ニンジン茎葉•ブロッコリー茎葉>サツマイモ茎葉>アルファルファミール>ニンジン根の順となり,これらは統計的に有意であった。また,ゆで卵にしたときの卵黄色およびプリンの色調は,給与飼料によるb*値のばらつきが生卵黄に比べ大きくなったが,その黄色の濃さの順位は生卵黄と同じ傾向にあった。
    3. 卵黄レチノール含量は低カロチノイド飼料の370μg%に対しニンジン根は最高の600μg%を示し,サツマイモ茎葉•ジャガイモ茎葉•アルファルファミール•ダイコン茎葉•ニンジン茎葉•プロッコリー茎葉などは500~460μg%の範囲にあり,ニンジン根や各種茎葉の添加により著しく増加した。
    4. ニンジン茎葉ウエファーを飼料に3, 6, 9%添加したところ生産卵量は変化しなかったが,飼料摂取量は添加率を高めるにつれて増加する傾向がみられた。
    5. 黄色トウモロコシ59.3%,コーングルテンフィード1.53%を含む飼料にニンジン茎葉ウエファーを3~6%添加することによって卵黄色はロッシュ•カラーファンで8.4~8.8となり,市販の鶏卵と同じくらいの色調が得られた。
    6. 卵豆腐の3点比較法による識別試験により,ニンジン茎葉ウエファー9%給与鶏卵とその無給与鶏卵との間に風味の違いが統計的に有意になったが,嗜好選択傾向は明確でなかった。ゆで卵の風味に対するニンジン茎葉給与の影響は明らかにならなかった。
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