段違いフリーケージ飼育鶏の夏期における産卵性低下を防止する目的で,単冠白色レグホーン種雌を132日齢時から9段の段違いフリーケージに移し,慣用の採卵用飼料を水ともに自由に摂取させた。7月6日(171日齢)からフリーケージの最上部より小型クーラー(HITACHI RA-2204)を用い,0.65m/sの冷風を10週間送入し,冷風送入中止後も12週間産卵性を調査した。
冷風送入によるフリーケージ各段の温度は対照区より14時の9段,5段,1段ではそれぞれ0.7°C, 0.4°C, 0.3°C, 21時では0.4°C, 0.4°C, 0.1°C低下した。湿度は冷風送入によって14時の9段,5段で3.2%, 0.9%低く,1段で4.8%高く,21時では9段,1段は1.3%, 1.4%高く,5段は0.1%低くなった。
産卵性では冷風送入によって産卵率が9.7%有意に高く,卵重は逆に約1g軽くなった。日産卵量は4.3g多く,飼料摂取量は0.7g減少したため,飼料効率は4.9%も有意に高くなった。
鶏の段別分布は14時で8月中旬まで冷風区は8, 9段目が2倍以上多くなった以外は,いずれの時刻も両区で同様の傾向がみられ,夜間には殆ど上部3段に集中した。段別における産卵は両区共に1, 8, 9段に著しく多く,他の段は少なかった。
冷風送入中止後,12週間の産卵性については,産卵率,日産卵量,飼料効率は対照区に対してそれぞれ6.8%, 3g, 2.9%高く,卵重,飼料摂取量は逆に1.3g, 0.9g減少した。
以上の結果からフリーケージ飼育鶏に対する夏期高温時の冷風送入は,産卵性の改善効果が顕著であり,その効果は冷風送入中止後12週間経っても持続された。
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