日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
32 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 小出 和之, 石橋 晃
    1995 年 32 巻 6 号 p. 371-378
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    現在報告されているブロイラーの飼料中%で示されたトリプトファン要求量は,その値に大きな幅がある。要求量は種々の要因の影響を受ける。本試験では,その要因のうち,加齢と飼料中蛋白質水準の影響を調べた。
    実験には加齢と飼料中蛋白質(アミノ酸)含量がトリプトファン要求量に及ぼす影響を調べるため,4段階の蛋白質(アミノ酸)含量の基礎飼料を用い,それぞれトリプトファン含量を5段階に変化させた試験飼料を10日間,日齢の異なるブロイラー雌雛(8, 25,および42日齢)に給与し,試験終了時に体重と飼料摂取量を記録した。
    最大成績を得るための増体量から計算した飼料中トリプトファン含量は明確に得られたが,飼料効率から計算した飼料中トリプトファン含量は信頼区間の幅が大きく不確かな値であった。増体量から計算した飼料中トリプトファン含量は0.111-0.159%となり,その値は加齢に伴って減少する傾向を示し,飼料中蛋白質含量の増加に伴って増加した。しかし,その値を飼料中蛋白質(アミノ酸)含量当たりのパーセントで示すとほぼ一定となった。
  • Gariba DANBARO, 大山 憲二, 向井 文雄, 辻 荘一, 立石 智宣, 前 理雄
    1995 年 32 巻 6 号 p. 379-386
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    家畜改良センター兵庫牧場において選抜•維持されていたホワイトプリマスロック5系統およびホワイトコーニッシュ4系統の7週齢体重,30週齢体重,卵重および初産日齢の育種価をアニマルモデルBLUP法により評価した。分析モデルには年次,群および性別を母数効果として考慮し,各個体の近交係数を回帰として取り上げた。近交および育種価の趨勢は,世代に対する各世代内でのそれぞれの平均値の回帰として考えた。
    近交個体の割合は,系統ごとに異なり,1.2%から65.5%の範囲であったが,最も新しい世代においても近交の度合は低く,最も高い系統の近交個体の平均は0.07程度で,その趨勢は有意ではなかった。年次の効果からみた環境趨勢は,ほとんどの系統の7週齢体重,卵重および初産日齢では増加,30週齢体重では減少を示したが,有意な変化を示したのは7週齢体重における3系統のみであった。育種価予測値では,ほとんどの系統の7週齢および30週齢体重は増加し,初産日齢は減少した。また卵重は4系統で増加,5系統で減少していた。その中で有意な変化を示したのは,6系統における7週齢体重のみであった。
    選抜差に対する選抜反応の回帰として考えた7週齢体重の実現遺伝率は,雄の2系統を除きREML推定値に比べわずかに低く,0.04から0.45の範囲で推定された。
  • 檜垣 邦昭, 吉村 幸則, 田村 達堂, 岡本 敏一
    1995 年 32 巻 6 号 p. 387-393
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    日本ウズラ卵管内で,自然交配後に精子が減少する機構について検討した。交配前,交配0.5, 1, 3および6時間後の腔部と子宮腔移行部(UVJ)を組織学的に観察した。交配後,管腔内精子は,膣中部および同前部に比べて,膣後部およびUVJで早く減少した。管腔内の精子の一部は,エオジン好性を伴う変性像を示していた。一方,交配後の膣部およびUVJの管腔内で白血球(多型核白血球およびリンパ球)が増加し,一部の白血球は精子に近接する像が観察された。また,交配0.5から6時間後の間にUVJの粘膜上皮内および粘膜固有層内に精子が認められた。これらの結果から,交配後の卵管管腔内において精子が減少する原因の一つとして,卵管内免疫反応が関与することが示唆された。
  • 三好 俊三, 鈴木 三義, 光本 孝次
    1995 年 32 巻 6 号 p. 394-401
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    採卵鶏の週毎の体重記録にBrody, Bertalanffy, Logistic, Gompertz,及び第二段階までのMultiphasicモデルを当てはめ,その適合度を比較した。さらに,推定されたパラメータと産卵など生産記録との関係を検討した。
    用いた鶏は卵構成を変化させる目的で,卵黄•卵白比に対し,高および低方向へ選抜させた系統である。これら高および低系統で成体重の類似する雌鶏から種卵を採取した。卵構成をさらに変更する目的で種卵の半数には,その推定卵白量の約20%を抜取る処理を加えた。分析には産卵記録のある個体を用いた。モデルの適合度は決定係数および赤池の情報量基準によって判定した。
    卵白を抜取る処理により,有意に小さい雛が得られた。高系統で6.2g,低系統で6.9gであった孵化時体重での差は約2~4週齢時に消失した。
    週毎の平均体重に対して,全般的にBrodyモデルは最も適合度が低く,Logistic, Bertalanffyモデルの順であった。GompertzとMultiphasicモデルは相対的に良い当てはまりを示したが,後者は初期の成長を過大評価する傾向にあった。Multiphasicモデルにおいて,孵化から約100日齢と,その後の成長との2段階の成長様式が認められた。この現象は成長率の推移に顕著に見られ,低系統では明確な二峰性を示したが,高系統には第2段階の成長が明らかでなかった。
    卵重が小さいことにより,飼料効率が高系統で有意に低いことを除き,他の生産形質には有意差が認められなかったが,初産日齢は高系統が約6~8日早い傾向にあった。Multiphasicモデルにおける第2段階での成長速度と産卵数(率)とは正の相関関係にあったが,第一段階やGompertzモデルでの成長速度とは負の関係にあった。また,成熟体重を示すパラメータとは負の相関係数が推定される傾向にあった。
  • 三好 宏幸, 上曽山 博, 橋口 峰雄, 一色 泰
    1995 年 32 巻 6 号 p. 402-407
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏の腸管内容物から飼料の消化率を測定することができるかどうかを調べるため,鶏に慣用配合飼料を強制給与し,その後1.5時間より8.0時間まで30分間隔で回腸遠位(後回盲腸動•静脈分枝部より遠位)および直腸の両内容物を採取した。これらの内容物から両部位における飼料消化率の経時的変化を調査し,人工肛門設着鶏による飼料の消化率と比較検討した。
    1. 腸管内容物量は,回腸遠位では給与後2.5時間までと7.5時間以降で少なかったが,3.0時間後から7.0時間後までは全個体に分析可能な内容物量が採取できた。直腸では個体差が大きく,採取時間による一定の傾向はみられなかった。
    2. 回腸遠位における飼料の消化率は,各成分とも1.5時間後から2.5時間後にかけて急激に上昇し,3.0時間後から7.0時間後までは粗繊維以外の飼料成分で人工肛門設着鶏による飼料の消化率と近似の値を示した。給与後7.5時間以降は全成分で低くなる傾向を示した。
    3. 直腸における飼料の消化率は,いずれの成分も個体差が大きく,採取時間によって変動した。また,可溶無窒素物以外の飼料成分は人工肛門設着鶏による飼料の消化率よりも低くなる傾向を示した。
    以上の結果から,強制給餌後3.0時間から7.0時間までの間に採取した回腸遠位内容物は,飼料の消化率を測定するのに実用的な価値のあることが示唆された。
  • 三好 俊三, 光本 孝次
    1995 年 32 巻 6 号 p. 408-414
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    種卵の卵白を抜取ることによる成分構成の人為的な変更が,孵化および雛の体構成に及ぼす影響を検討した。
    卵黄•卵白比の高および低方向へ選抜し,卵構成が有意に異なる高低2系統を用いた。各系統内においても卵構成の異なる母鶏を得るため,卵白量の多少により,各系統で上位8羽を抽出し,1羽当たり9~12個の種卵を実験に用いた。孵化前にその2/3(6~8個)から卵白を抜取る処理を加え(処理区),通常の艀卵を行った。種卵の構成は,その卵重と母鶏の持つ卵構成比から推定した。卵白抜取り量は処理後の卵構成が系統内で類似するように配慮し,卵白量の多い群では推定卵白量の30~35%を(実験I),少ない群では20~25%を目安に(実験II)卵白を抜取った。孵化時間は孵卵20日目から調査し,21日目を0時間として示した。雛は体重を測定後,屠殺•解剖し,その主な体構成臓器重量を計測した。
    種卵重および推定卵白重は,低系統が両実験とも有意に大きく,卵黄重は有意に小さく推定されたが,各系統内で処理区と対照区間に有意差は認められなかった。
    孵化率は対照区において系統間に両実験とも有意な相異が認められなかったが,処理区で有意な低下が認められ,高系統はさらに顕著な低下を示した。また,抜取り率が高いほど孵化率が低下する傾向にあった。孵化時間は高系統の処理区でわずかに短縮されたが,低系統では遅れる傾向を示した。
    雛体重は両系統および実験とも処理区が有意に減少した(高系統で約6~10g,低系統で7~8g)。この減少量は抜取った卵白量に近似するものであった。また,体重の減少に比例して各臓器量も有意に減少したが,高系統の残存卵黄重の減少は有意でなかった。
  • 椎名 隆, 半澤 恵, 水谷 誠, 渡邉 誠喜
    1995 年 32 巻 6 号 p. 415-419
    発行日: 1995/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニホンウズラ(Coturnix japonica)の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)並びにその抗原型に関する研究報告はないが,ニホンウズラのLyシステムは赤白血球共通抗原型であることから,MHCクラスI抗原と密接な関係があるものとも考えられている。そこで,本研究では,ニワトリMHCクラスI抗原cDNAをプローブに用いて検出されるニホンウズラのRFLP分析に対するECL法の応用並びにRFLP像とLyシステムとの関連性を追求すると共に,ニホンウズラのゲノミックDNAの簡便抽出法も併せて検討した。(1)赤血球にNaCl-Saponin溶液を用いて溶血させ,抽出•精製したゲノミックDNAの純度(260nm/280nm)は1.866±0.034,その濃度も2.83±0.76mg/mlでそれぞれ高い値を示した。また血液1μl当たり,3.78μgのゲノミックDNAが得られた。(2)RWL系(Ly1/ly1),PNN系(Ly2/Ly2)およびSBPN系(Ly3/Ly3)ゲノミックDNAをPvu IIにて切断したRFLP像に18~19本のバンドが観察され,8.3kbにRWL系特異的と思われる1本のバンドが観察された。(3)この8.3kbのバンドの遺伝性は認められたが,RWL系と同じLy1/Ly1型であるWEP系にはこのバンドは観察されなかった。従って,8.3kbのバンドはLy1/Ly1型特異的ではないことが明らかにされた。(4)ECL法を用いることにより,RI施設以外のコールド実験室にて,ゲノミックDNAのRFLP分析が可能であることを確認した。
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