採卵鶏の週毎の体重記録にBrody, Bertalanffy, Logistic, Gompertz,及び第二段階までのMultiphasicモデルを当てはめ,その適合度を比較した。さらに,推定されたパラメータと産卵など生産記録との関係を検討した。
用いた鶏は卵構成を変化させる目的で,卵黄•卵白比に対し,高および低方向へ選抜させた系統である。これら高および低系統で成体重の類似する雌鶏から種卵を採取した。卵構成をさらに変更する目的で種卵の半数には,その推定卵白量の約20%を抜取る処理を加えた。分析には産卵記録のある個体を用いた。モデルの適合度は決定係数および赤池の情報量基準によって判定した。
卵白を抜取る処理により,有意に小さい雛が得られた。高系統で6.2g,低系統で6.9gであった孵化時体重での差は約2~4週齢時に消失した。
週毎の平均体重に対して,全般的にBrodyモデルは最も適合度が低く,Logistic, Bertalanffyモデルの順であった。GompertzとMultiphasicモデルは相対的に良い当てはまりを示したが,後者は初期の成長を過大評価する傾向にあった。Multiphasicモデルにおいて,孵化から約100日齢と,その後の成長との2段階の成長様式が認められた。この現象は成長率の推移に顕著に見られ,低系統では明確な二峰性を示したが,高系統には第2段階の成長が明らかでなかった。
卵重が小さいことにより,飼料効率が高系統で有意に低いことを除き,他の生産形質には有意差が認められなかったが,初産日齢は高系統が約6~8日早い傾向にあった。Multiphasicモデルにおける第2段階での成長速度と産卵数(率)とは正の相関関係にあったが,第一段階やGompertzモデルでの成長速度とは負の関係にあった。また,成熟体重を示すパラメータとは負の相関係数が推定される傾向にあった。
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