日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
33 巻, 3 号
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  • 1.去勢とテストステロン投与が体成長に及ぼす影響
    丸山 公明, Helene C. CECIL, 尾野 喜孝
    1996 年 33 巻 3 号 p. 141-152
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    雄七面鳥におけるテストステロンの成長促進作用を明らかにするために,テストステロン処理(投与あるいは無投与)と生殖腺の状態(去勢あるいは正常)の2つの主要因による2×2要因配置法に基づく試験区を設定し,20週齢まで体重,脛骨長,飼料摂取量及び血清テストステロン濃度についての検討を3つの実験で行った。テストステロンの投与はコレステロールと混合したペレットの皮下埋没法とし,実験1では9週齢時に体重1kg当たり15.0mg,実験2では13週齢時に体重1kg当たり15.6mg,そして実験3では11週齢時に体重1kg当たり10.1あるいは20.0mgとなるように設定した。去勢手術はテストステロン投与の約10日前に行った。ペレットから血中へのテストステロン放出の半減期は2.8日であった。テストステロン埋没を9週齢時に行った実験1において,9~12週齢の体重の増加速度はテストステロン投与によって増加した(P<0.05)が,16~20週齢での体重の増加速度は去勢のため低下した(P<0.05)。テストステロンペレットを13週齢時に埋没した実験2では,13~16週齢における体重の増加速度がテストステロン投与により増加した(P<0.05)。また,実験3においてテストステロンの投与量を3段階(0, 10.1, 20.0mg/体重1kg)に設定した場合,処理後の最初の3週間の体重の増加速度はテストステロン投与により二次曲線的に増加した(P<0.05)が,16週齢から20週齢間においては去勢のために低下した(P<0.05)。全投与期間(11-20週齢)での体重の増加速度はテストステロン投与により二次曲線的に増加し(P<0.05),去勢によって低下した(P<0.05)。また飼料効率は最初の3週間ではテストステロン投与によって改善された(P<0.05)が,全実験期間にわたってみた場合,改善効果は認められなかった。
  • 2.去勢とテストステロン投与がと体歩留,と体構成,及び成分組成に及ぼす影響
    丸山 公明, Morse B. SOLOMON, 尾野 喜孝
    1996 年 33 巻 3 号 p. 153-161
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    七面鳥のと体歩留,と体構成,と体成分組成及び精肉の成分組成に及ぼす影響を検討した。試験区の設定にはテストステロン投与と去勢の2要因による2×2要因配置法をとった。去勢手術は9.5週齢時に行い,テストステロン埋没処理は11週齢時に体重1kg当たり20.0mgになるように行った。試験区当たり6羽を21週齢時にと殺し,と体特性及び化学的成分組成を調べた。と体歩留はテストステロン投与により増加した(P<0.05)が,去勢はと体歩留には影響を及ぼさなかった。腹腔内脂肪はテストステロン投与により減少した(P<0.05)が,去勢には影響されなかった。一方,皮膚重量はテストステロン投与で増加し,去勢で減少した。と体を各部分肉に分け,それらの歩留と精肉の歩留をみてみると,手羽肉の歩留はテストステロン投与により減少し(P<0.05),逆に去勢により増加した(P<0.05)。むね肉の精肉歩留がテストステロン投与によって増加し(P<0.05),したもも肉とその精肉歩留が去勢によって減少した(P<0.05)のを除き,部分肉とその精肉歩留はテストステロン投与あるいは去勢の影響を受けなかった。去勢はと体成分組成には影響を及ぼさなかったが,テストステロン投与はと体の水分含量を増加させた(P<0.05)。部分肉の成分組成では,むね,うわもも及びしたもも肉は去勢の影響を受けなかったが,むね肉の水分含量だけはテストステロン投与によって増加した。
  • 丸山 公明, Morse B. SOLOMON, 尾野 喜孝
    1996 年 33 巻 3 号 p. 162-169
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    外因性テストステロンと17β-エストラジオール投与が七面鳥の成長に及ぼす影響を検討するために,11(実験1)あるいは15(実験2)週齢時に卵巣除去と偽手術をそれぞれ72羽の雌七面鳥について行った。これらの七面鳥を手術後1週目に,テストステロンあるいは17β-エストラジオールを含むペレット,及びホルモンを含まないペレットを埋没投与する3試験区に分けた。投与量は12週齢の七面鳥(実験1)には体重1kg当たりそれぞれ8.2mgとなるように,また16週齢の七面鳥(実験2)には同じく10.8mgとなるように設定した。体重測定は毎週1回行い,と体の成分組成の測定は21週齢時に行った。卵巣除去は,除去手術を15週齢時に行ったときには成長速度を増加させた(P<0.05)が,11週齢時に行ったときには影響を及ぼさなかった。17β-エストラジオールは成長速度には影響を及ぼさなかったが,テストステロンは16週齢時に投与した場合成長速度を減少させた。実験1において,ステロイド投与と卵巣除去は相互に作用し合い,と体の成分組成に影響を及ぼした。つまり,17β-エストラジオールは正常雌のと体の水分量を減少させ,脂肪量の増加をもたらした(P<0.05)が,卵巣除去雌ではそのような効果は見られなかった。以上の結果から,17β-エストラジオールは体脂肪蓄積にのみ関与し,卵巣の発達が雌七面鳥特有の成長様式に影響するものと推察された。
  • 園田 豊, 佐藤 隆之, 今井 清
    1996 年 33 巻 3 号 p. 170-177
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    日本ウズラの卵巣卵胞の急速成長パターンに及ぼす年齢の影響について検討し,さらに産卵パターンによる卵胞成長型の比較を行った。2から10か月齢の産卵ウズラに脂溶性色素を経口投与し,色素輪が形成された卵黄を用いて卵胞の急速成長に関する4形質(卵胞の急速成長期間,排卵時の卵胞体積,卵巣内の成長卵胞数,1日当たり卵黄総蓄積量)を求めた。
    産卵ウズラにおける卵胞の急速成長期間は2か月齢で最も長く,4か月齢で最も短くなった。その後,加齢に伴いわずかに伸長する傾向を示した。排卵時の卵胞体積の連続的な増加が加齢に伴って認められた。1日当たり卵黄総蓄積量も8か月齢まで増加し続けた。一方,卵巣内の成長卵胞数は2から6か月齢の期間で比較的一定であったが,8か月齢で増加した。
    長いクラッチを示すタイプBの産卵ウズラにおいて,卵胞の急速成長期間は実験期間を通じて短縮する傾向を示したが,排卵時の卵胞体積と1日当たり卵黄総蓄積量は他の産卵タイプに比べて高かった。また,卵巣内の成長卵胞数は加齢に伴い増加する傾向を示したが,他のタイプではこの傾向がみられなかった。
  • 三好 俊三, ルック キィウミン, 口田 圭吾, 光本 孝次
    1996 年 33 巻 3 号 p. 178-184
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏の産卵記録を種々の産卵様相に区分し,compartmentalモデル(C),修正compartmentalモデル(MC), Woodモデル(W)およびAdams-Bellモデル(AB)の非線形モデルを当てはめ,その適合度を比較した。
    産卵記録は卵構成を変化させる目的で選抜育種された鶏から得られた。それら個体の記録は大別して6種類の産卵パターンに分類された。各パターンについて,初産を揃えた10日毎の産卵率を産出し,モデル当てはめのデータとした。モデルの適合度の比較は自由度修正決定係数および赤池の情報量基準によった。
    鶏の一般的な産卵様相を示すデータに対しては,C, MCおよびABモデルが同等の適合度を示したが,産卵後期において急激な産卵率の低下を示すパターンに当てはめた場合には,収束解が得られなかった。また,短期間で産卵最盛期に達し,その後,直線的な推移を示すパターンに対するモデルの適合度は劣るものであった。Wモデルは,分類した6種の産卵パターンに対し収束解が得られたが,その適合度は他のモデルより顕著に劣るものであった。
  • ダンバロ ガリバ, 大山 憲二, 向井 文雄, 辻 荘一, 宮田 透
    1996 年 33 巻 3 号 p. 185-192
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    家畜改良センター岡崎牧場で選抜されている卵用鶏の256日齢体重(BW),初産日齢(SM),252日齢卵重(EW),169日齢から280日齢までの産卵率(EPA)および初産から280日齢までの産卵率(EPB)の5形質についで遺伝的パラメーターの推定を行なった。分析には1986年から1994年までのホワイトレグホーン種3系統(E1, E4およびS46),劣性ホワイトロック種1系統(L17)およびロードアイランドレッド種1系統(Y8)の計5系統のデータを用いた。分散成分は,年次,群,近交係数および遺伝の効果を考慮したモデルにより,EMREMLによる多形質アニマルモデルを用いて推定した。
    遺伝率は系統により若干の差異が認められ,BW, SM, EW, EPAおよびEPBでそれぞれ0.51-0.65, 0.35-0.47, 0.51-0.60, 0.13-0.19および0.20-0.27の範囲で推定された。またこれら遺伝率推定値の加重平均は,それぞれ0.58, 0.44, 0.56, 0.17および0.23であった。EPAとEPB間の遺伝相関は,0.80-0.93と予想どおり高く推定されたが,これら産卵率と他の形質との遺伝相関は,BWと正の低い値を示したほかは,負の低い値であった。本報告で得られた推定値,特に遺伝相関は系統ごとに異なった様相を示しており,また改良量にもとづく選抜指数式作成で実際に用いられている値とも異なっているため,系統ごとに分散•共分散成分を推定する必要性が示唆された。
  • 孫 章豪, 唐澤 豊, 神 勝紀
    1996 年 33 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本実験では,蛋白質10%飼料あるいは同飼料プラス尿素給与時のニワトリの窒素利用と排泄に及ぼす盲腸結紮の影響を調べた。飼料の蛋白質窒素と添加した尿素窒素の1日当たりの摂取量は,それぞれ体重kg当たり560mg, 280mgであった。盲腸結紮は蛋白質10%飼料給与時には窒素の利用性を高める傾向があったが,同飼料に尿素を添加した場合は低下させる傾向があった。盲腸結紮によって,尿酸とアンモニアの排泄量は,両飼料群で有意に減少したが,尿素排泄量は尿素給与時では対照区の4倍以上に増加し,蛋白質10%飼料群では増加傾向を示した。血液アンモニア,尿素および尿酸濃度は両飼料群で盲腸結紮の影響を受けなかった。以上の結果から,蛋白質含量中程度の飼料給与時にも,盲腸結紮は,尿素給与時を除いて,低蛋白質飼料給与時と同様に窒素の利用と排泄に影響することが示唆された。
  • Ekurem EDAR, 矢吹 良平, 高山 耕二, 中西 良孝, 萬田 正治, 渡邉 昭三, 松元 里志, 中釜 明紀
    1996 年 33 巻 3 号 p. 198-204
    発行日: 1996/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    合鴨農法における家鴨類の適性品種を選定するため,マガモ,チェリバレーおよびF1(マガモ×チェリバレー)の3品種の成長および産肉能力について比較検討した。試験田を3つの放飼区(マガモ,チェリバレーおよびF1)に分け,田植え1週間後にそれぞれ3品種の0週齢の雛を放飼した。放飼期間は稲の出穂期までの11週齢とし,その後20週齢まで舎飼肥育して屠殺解体し,産肉諸形質について検討した。なお,水田放飼区の対照区として,それぞれの3品種につき配合飼料単一給与の舎飼区を設けた。
    1. 20週齢終了時における3品種の家鴨類の体重は,水田放飼区,舎飼区ともにチェリバレー,F1およびマガモの順に大きい傾向を示した。
    2.0~20週齢の水田放飼区における家鴨類の成長は,舎飼区に比較してチェリバレーが低い傾向を示したが,F1とマガモは舎飼区とほぼ同様の傾向を示した。
    3. 枝肉歩留りは,3品種間ならびに水田放飼区と舎飼区の間に有意な差は認められなかった。腹腔内脂肪はチェリバレーが最も多く,次いでF1,マガモの順に多い傾向を示した。
    4. 3品種の家鴨類の食味テストの結果,F1,マガモおよびチェリバレーの順に嗜好性が高い傾向を示した。
    5. 以上の結果から,3品種のうちではF1が水田放飼に最も適した品種であることが示唆された。
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