日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
33 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 周 維統, 藤田 正範, 伊藤 敏男, 山本 禎紀
    1996 年 33 巻 4 号 p. 221-229
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本実験では,鶏の体温調節性生理反応と起立行動に及ぼす周期性高温順化の効果を明暗条件を加えて検討した。鶏を32°Cの温度に未経験あるいは1から3回経験させてから,36°Cに8時間暴露した。測定した反応は,腹腔内温,背部皮膚温,脛部皮膚温,心拍数,呼吸数,起立時間及び起立横臥回数である。32°C経験により,腹腔内温,背部皮膚温,脛部皮膚温および心拍数は,経験第3日のほうが第1日より低くなり,消灯後いずれも低下した。呼吸数は経験第3日のほうが早く増加し始め,数も多くなり,消灯後再び増加する傾向が認あられた。36°C感作による腹腔内温,背部皮膚温および脛部皮膚温については,32°C未経験が経験鶏より高くなり,いずれも暴露時間の経過とともに上昇する傾向を示した。心拍数も未経験鶏で高かった。呼吸数は暴露初期には同じように増加し,その後,経験鶏でやや低下し消灯後に一時増加する傾向が認あられた。通常に消灯すると減少する起立時間は,32°Cでは減少せず,36°Cでは未経験鶏で減少した。起立横臥回数は未経験鶏で増加し,消灯しても休息状態に入れず不安や覚醒状態にあることを暗示し,頻繁な起立横臥行動が認められ,これらに対応した心拍数の増加も認められた。未経験鶏の体温の上昇は,これらと関係しているものと思われた。本実験の結果から,高温順化の効果は3日で認められ,その順化は生理反応だけでなく,高温に対する不安の解消や,安定した起立時間の延長などと関連しているものと思われた。
  • 橋口 峰雄
    1996 年 33 巻 4 号 p. 230-234
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    クラッチ内の卵の位置が産卵鶏の卵殻質に及ぼす影響を調べるため,クラッチの長さが異なる卵の卵殻の強度と厚さを測定した。卵殻強度は2卵のクラッチでは第1卵と第2卵の間に差がなかったが,3卵のクラッチでは第1と3卵が第2卵より強かった。4と5卵のクラッチでは,第1卵と最終卵の強度が最終卵の前の卵より強い傾向にあった。卵殻厚は2卵のクラッチでは卵の位置によって差がなかったが,3卵以上のクラッチでは第1卵と最終卵の卵殻厚が最終卵の前の卵より厚かった。また,第1卵と最終卵の卵殻の強度と厚さはクラッチの長さが長くなるに伴い高くなる傾向にあった。これらの結果から,産卵鶏の卵殻質はクラッチの長さとクラッチ内の卵の位置に関係して変化するものと考えられる。
  • ルック キイウミン, 三好 俊三, 口田 圭吾, 光本 孝次
    1996 年 33 巻 4 号 p. 235-241
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,産卵鶏の系統間でのクラッチ形質と予測産卵数を比較することである。放卵時間のデータは初産後120日から330日までの4つの期間について2年間観察した。各期間での観察日数は30日である。実験に用いた系統はH, L, JおよびXの4系統である。HとLは長期間にわたって卵黄•卵白比に対しそれぞれ高および低方向に選抜された系統であり,JおよびXは市販系統である。クラッチ形質は,LAG(クラッチ内放卵間隔と日長との差),DELAY(休産日の長さと日長との差),卵墜率(IP),クラッチ数(CN),クラッチ長(CL)およびクラッチサイズ(CS)である。
    全てのクラッチ形質では系統間および期間の間に有意差が認められた。LAGはJ系統(0.28時間)およびX系統(0.22時間)がH系統(1.04時間)およびL系統(1.32時間)に比較して有意に短かった。ゆえに,CLおよびCSはJおよびX系統で長く,CNは小さく推定された。DELAYは,J系統を除き,系統間に有意差が認められなかった。IPはH系統(9.94%)およびL系統(7.75%)が,J系統(4.22%)およびX系統(5.54%)より高く推定された。
    最初の観察期間から推定されたクラッチ形質を用い,multiphasicモデルで270日間の産卵数(EP270)および360日間の産卵数(EP360)を予測した。4系統における平均の予測値と実測値との相関係数は,EP270で0.72,EP360で0.67が推定された。また,高産卵を示したJおよびX系統(360日間で300個以上)の相関係数は0.75~0.88が推定されたのに対し,低い産卵を示したHおよびL系統(360日間で240個)のそれは0.60~0.75であった。
  • 宗近 功, 岩崎 師寿江, 渡辺 誠喜
    1996 年 33 巻 4 号 p. 242-248
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    4種ヤケイの卵白蛋白質をポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE),ミクロ2次元電気泳動法(2 DE)により分析し比較検討した。PAGEによりヤケイの卵白蛋白質はプレアルブミン(Pa),オボアルブミン(Ov),コンアルブミン(TfEW)及びオボグロブリン(G2~4)に分画され,TfEWを除く他の画分において,それぞれ多型が認められた。セイロンヤケイのG2分画には新しい変異型(C型)が見出された。また,PAGEで1本の泳動帯として認められたTfEWは2DEでは3~4個の連続的なスポットに分離され,TfEWに等電点の僅かに異なる分子の存在することが確認された。アオエリヤケイをのぞくヤケイ卵白のTfEWには明瞭な3~4つの連続的なスポットが存在した。また,アオエリヤケイ卵白のTfEWのスポットは不鮮明であった。
  • 山崎 信, 村上 斉, 山崎 昌良, 武政 正明
    1996 年 33 巻 4 号 p. 249-255
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ブロイラーヒナにおいて,増体量を減少させないで排泄窒素量の低減の可能性を検討するために,2つの試験を行った。試験1では,CP含量が,23, 21, 19および17%の4飼料を7日齢のヒナに14日間給与した。試験2においては,試験1よりもさらにCP水準を低下させた飼料(19, 17および15%)を14日齢のヒナに14日間給与した。両試験飼料とも,必須アミノ酸は日本飼養標準(1992)の要求量を満たすように単体アミノ酸を用いて調整した。
    試験1の結果,CP19%の低CP飼料を給与したヒナの増体量および飼料効率は,CP21%の対照飼料を給与したヒナとの間に有意差は認められなかったが,CP17%飼料を給与したヒナでは増体量が有意に低下した。試験2では,CP19%とCP17%飼料を給与したヒナの増体量および飼料効率に差はみられなかった。4日間の排泄窒素量は,試験1のCP23, 21,19および17%飼料給与区でそれぞれ3.93, 3.26, 2.35および2.19g,試験2のCP19, 17および15%飼料給与区でそれぞれ4.07, 3.71および3.33gとなった。しかし,両試験において,飼料の低CP化にともない,腹腔内脂肪が有意に増加した。
    以上の結果より,飼料のCP水準は必須アミノ酸添加により発育成績に影響を与えることなく21%から19%に低下させることができ,排泄窒素量を10~20%低減できるが,腹腔内脂肪の増加をともなうことが示された。
  • 古瀬 充宏, Remedios T. MABAYO, 奥村 純市
    1996 年 33 巻 4 号 p. 256-260
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリに中鎖脂肪を含む飼料と長鎖脂肪を含む飼料を同時に与えると後者の飼料を好んで摂取することが知られていた。そこでその選択摂取において味覚がどのように関与しているかについて調査した。
    ニワトリヒナの舌に局所麻酔剤であるoxethazaineを塗布した後に両飼料を選択摂取させた。対照区にはvehicleを塗布した。その結果,対照区においては長鎖脂肪に対する嗜好性が強いものの,試験区においては逆に中鎖脂肪を含む飼料の摂取量がわずかに高まり,油脂選択性が消失した。これらの結果より,ニワトリの油脂選択性には味覚が関与していることが示唆された。
  • Ekurem EDAR, 矢吹 良平, 高山 耕二, 中西 良孝, 萬田 正治, 渡邉 昭三, 松元 里志, 中釜 明紀
    1996 年 33 巻 4 号 p. 261-267
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    合鴨農法における家鴨類の適性品種を選定するため,マガモ,チェリバレーおよびF1(マガモ×チェリバレー)の3品種の行動および除草•防虫能力について比較検討した。試験田を3つの放飼区(マガモ,チェリバレーおよびF1)に分け,田植え1週間後にそれぞれ3品種の0日齢の雛を放飼し,放飼期間は稲の出穂期までの11週齢とした。結果を要約すると以下のとおりである。
    1. 水田内における労働時間(摂食行動と移動時間の合計)は,マガモが最も長く,次いでチェリバレー,F1の順であった。
    2. 水田内における休息時間は,F1,チェリバレーおよびマガモの順に長い傾向を示した。
    3. 1時間当たりの摂食行動回数は,マガモがF1およびチェリバレーに比較して多い傾向を示した。
    4. 水田内の発生状況調査から見た家鴨類の除草および防虫能力には,3品種間に有意な差は認められなかった。
  • 駒井 亨
    1996 年 33 巻 4 号 p. 268-272
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
feedback
Top