消毒剤の使用説明書に記載された範囲の希釈倍率及びその範囲外の低希釈倍率(高濃度)の消毒液を散布し,消毒液の希釈倍率が細菌数の減少に及ぼす影響を検討した。実験に使用した消毒剤は塩化ジデシルジメチルアンモニウム10g/100m
lを含有する製剤(逆性石〓),1.75%の沃素を含む製剤(ヨードホール)及び70%のオルソジクロールベンゼンを含む製剤(オルソ剤)で,供試した希釈倍率の最低は各消毒剤とも無希釈,最高は1:1,000(逆性石〓),1:500(ヨードホール)及び1:150(オルソ剤)の範囲内とした。鶏舎に放置し汚染したベニヤ板を水洗して検体とし,所定の倍率に希釈した消毒液500m
l/m
3を霧状にして散布した。散布3及び24時間後に検体から検出される細菌数を測定した。
1)水洗後の検体から検出された菌数は1cm
2当たり10
5.7-10
6.8の範囲にあった。説明書に記載された範囲の希釈倍率液の散布24時間後の菌数は10
4.7-10
6.0の範囲にあり,水洗後の菌数に対する菌数の減少比が10
-2以下となることはなかった。
2)説明書に記載のない低倍率液を散布すると検出される菌数が顕著に減少した。無希釈の場合はいずれの製剤でも菌は検出されなかった。倍率1:1の逆性石〓では菌の検出がなく,ヨードホールとオルソ剤では10
1/cm
2以下の菌が検出された。倍率1:25の液を散布し24時間後に検出された菌数は逆性石〓及びヨードホールで10
1/cm
2以下,オルソ剤では10
2/cm
2以下で,菌数の減少比はそれぞれ10
-5.8,10
-6.1及び10
-4.8であった。
従来,消毒剤の効力は石炭酸係数や最小発育阻止濃度などに基づいて評価されているが,これらに加えて養鶏施設における効果も併せて評価し希釈倍率を決定する必要があると考えられる。
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