日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
34 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 高橋 哲也
    1997 年 34 巻 2 号 p. 77-86
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 稲福 桂一郎, 前田 芳實, 石原 勝弘, 岡本 新, 橋口 勉
    1997 年 34 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    比内鶏集団において,オボァルブミンの新たな変異であるA1欠損型が発見された。この変異型は,オボアルブミン分子内の燐酸基の結合数の違いにより形成される電気泳動の結果で移動性の早い順からA1,A2およびA3と呼ばれている3本のバンドの内A1のバンドを欠いたもので,その比率は,通常鶏の85:12:3に対して,A1欠損型では0:91:9,またヘテロ接合体では41:54:5であった。また,14日間孵卵の場合のA1欠損型の胚死亡率は,通常鶏に比べて有意に高い値を示した。また,A1欠損型の雌鶏より生まれる卵の孵化率(1.5%)は同種集団の孵化率(63.2%)に比べて著しく低い値を示した。これらの結果より,A1欠損型の雌鶏より生まれる卵は高い胚死亡率を示すことが示唆された。このA1欠損型を引き起こすと考えられる遺伝子型をOVCと命名した.
  • 澤田 芳憲, 吉村 幸則, 田村 達堂
    1997 年 34 巻 2 号 p. 94-102
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    顆粒層細胞のプロジェステロンレセプター(PR)発現は卵胞成熟の過程で重要である.本実験の目的は顆粒層細胞でPRが誘導される機構を明らかにするために行った.培養顆粒層細胞(排卵20-22時間前)を黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH),サイクリックAMP(cAMP),ホーボールエステル(PMA)で刺激し,PRの誘導をウエスタンブロット解析した.ホルモン刺激を施さなかった最大卵胞及び小卵胞(第2位および3位卵胞)の顆粒層細胞にはPRは認められなかった.しかし,0.1μg/mlLH添加区では最大卵胞と小卵胞の顆粒層細胞で約70K,80K and 110K DaのPR陽性バンドが認められた.1mM cAMP添加区では最大卵胞顆粒層細胞で約70K DaのPR陽性バンドが認められ,同2mM添加区では最大卵胞で約70K,80K and 110KDaのPRが認められ,小卵胞でPRバンドは認められなかった.FSHとPMAはPR誘導作用を示さなかった。これらのことから,顆粒層細胞のPRはLHの作用の後にcAMPを第2次メッセンジャーとして誘導され,この程度は小卵胞より最大卵胞で強いことが示唆された。
  • 古瀬 充宏, 中嶋 真一, 中川 二郎, 奥村 ミサヲ, 奥村 純市
    1997 年 34 巻 2 号 p. 103-109
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    そ嚢からの飼料の流出を遅延させることが知られているグアガムが,フィターゼ添加飼料を給与したブロイラーの成績を改善するかどうかについて検討した。グアガムとその加水分解物を様々な組み合わせで飼料1kgに対し40g添加した。フィターゼは飼料1kg当たり500単位添加,あるいは無添加とし,ブロイラーヒナに2週間給与した。飼料中のCa,全Pおよび非フィチン態P含量は,それぞれ1.00,0.69および0.47%であった。増体重はフィターゼ添加により有意に増加したが,グアガムの量に比例して低下した。脛骨重量とそのCa含量にフィターゼは有意な効果をもたらさなかったが,グアガムはそれらを減少させた。脛骨中の灰分およびP含量はフィターゼ添加により有意に高くなった。
    これらの結果より,フィターゼはブロイラーの成績を有意に改善するが,グアガムはその効果を改善することなくむしろ飼料の利用性を低下させることが判明した。
  • 中前 均, 藤崎 幸蔵, 岸 茂行, 屋代 眞彦, 大城 政一, 古田 賢治
    1997 年 34 巻 2 号 p. 110-116
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    従来,ワクモの生態は夜間に鶏体から吸血し,昼間は鶏体から離脱するとされている。著者らは養鶏場におけるトリサシダニの調査に際して,昼夜を通して2種類のダニが鶏体に寄生し,繁殖している事実を認めた。ダニの形態学的特徴の観察から,寄生していたのはトリサシダニとワクモと同定された。鶏から離脱するワクモ数を2昼夜にわたって調べたところ極めて僅かであり,昼間に同じ鶏の腹域と下腿域の羽を刈り取り,ワクモの検出を行ったところ,膨大な数のワクモ卵,幼虫,第一若ダニ,第二若ダニ及び成虫が検出された。さらに,検出した卵を孵化,育成して成虫の形態を観察した結果はワクモであった。以上の結果から,昼間も鶏体を離脱しないで鶏体に常在寄生するワクモが存在することが明かになった。
    半径約50km以内にある17養鶏場で飼育されている54群の産卵鶏について常在寄生ダニ類の寄生状態を調査したところ,常在寄生ワクモまたはトリサシダニの単独寄生が4養鶏場の7群の鶏に,両ダニの共寄生が同じ養鶏場の5群の鶏に認められた。この事実は常在寄生性ワクモの存在が特殊な事例でないことを示している。
    ワクモが常在寄生する理由については明かでない。従来の研究で常在寄生性ワクモが見落されていた,或いはトリサシダニの寄生によってワクモの寄生生態に変化が生じたことなどが考えられる。これらは今後の研究課題である。
  • 藤井 信, 前田 芳實
    1997 年 34 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏肝臓に存在するトリアシルグリセロール(TG)分解活性のほとんどのものは反応至適pH 6.0,至適温度40℃を示し,この分解活性は産卵鶏血清で強く阻害された。この活性は若齢期の雌鶏では高い活性を示すが,145,167日令では若齢期の雌鶏の2分の1以下へ著しく低下した。比較のため雄鶏でも検討したが,雄鶏ではむしろ日令と共に増加する傾向があった。雄ヒナにエストラジオールを投与すると,血清,肝臓の脂質含量は著しく増加したが,肝臓のTG分解活性は著しく抑制されていた。以上より,エストラジオールにより産卵のための脂質合成の充進と同時に,脂質分解の抑制が行われていると考えられた。
  • 河南 保幸, 原山 洋, 加藤 征史郎
    1997 年 34 巻 2 号 p. 124-131
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    カルシウムの給与濃度がビタミンD欠乏鶏の骨組織形成に及ぼす影響を究明するため,白色レグホン種の雄幼雛を用い,カルシウム濃度の異なるビタミンD欠乏精製飼料を4週間給与した場合の脛骨の近位骨端の変化について,組織学的および組織形態計測学的に検索した。その結果,通常濃度(1.0%)のカルシウムを含むビタミンD欠乏飼料を給与したニワトリの脛骨では,ビタミンDを補給されたニワトリに比べて,骨端軟骨が著しく拡大し,軟骨細胞の配列は不規則となっていた。さらに骨幹端の組織形態についてみた場合,骨小柱形成の遅延,骨芽細胞の萎縮や破骨細胞の増数肥大などが認められ,全般の骨組織において海綿骨の形成不全が顕著であった。一方,高濃度(2.0%)のカルシウムを含むビタミンD欠乏飼料を給与したニワトリの脛骨の骨端の組織構造は,ビタミンDを補給されたニワトリの場合と全般的によく類似していた。また骨端軟骨や骨小柱の形成状態および骨芽細胞や破骨細胞の形態などについての計測値は,ビタミンDを補給されたものとほとんど差がなかった。これらの結果からみると,高濃度のカルシウムの給与は,ビタミンD欠乏鶏の脛骨の骨端における骨組織形成をほぼ正常な状態に維持する作用をもつものと考えられる。
  • 古田 賢治, 吉沢 慎
    1997 年 34 巻 2 号 p. 132-136
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    消毒剤の使用説明書に記載された範囲の希釈倍率及びその範囲外の低希釈倍率(高濃度)の消毒液を散布し,消毒液の希釈倍率が細菌数の減少に及ぼす影響を検討した。実験に使用した消毒剤は塩化ジデシルジメチルアンモニウム10g/100mlを含有する製剤(逆性石〓),1.75%の沃素を含む製剤(ヨードホール)及び70%のオルソジクロールベンゼンを含む製剤(オルソ剤)で,供試した希釈倍率の最低は各消毒剤とも無希釈,最高は1:1,000(逆性石〓),1:500(ヨードホール)及び1:150(オルソ剤)の範囲内とした。鶏舎に放置し汚染したベニヤ板を水洗して検体とし,所定の倍率に希釈した消毒液500ml/m3を霧状にして散布した。散布3及び24時間後に検体から検出される細菌数を測定した。
    1)水洗後の検体から検出された菌数は1cm2当たり105.7-106.8の範囲にあった。説明書に記載された範囲の希釈倍率液の散布24時間後の菌数は104.7-106.0の範囲にあり,水洗後の菌数に対する菌数の減少比が10-2以下となることはなかった。
    2)説明書に記載のない低倍率液を散布すると検出される菌数が顕著に減少した。無希釈の場合はいずれの製剤でも菌は検出されなかった。倍率1:1の逆性石〓では菌の検出がなく,ヨードホールとオルソ剤では101/cm2以下の菌が検出された。倍率1:25の液を散布し24時間後に検出された菌数は逆性石〓及びヨードホールで101/cm2以下,オルソ剤では102/cm2以下で,菌数の減少比はそれぞれ10-5.8,10-6.1及び10-4.8であった。
    従来,消毒剤の効力は石炭酸係数や最小発育阻止濃度などに基づいて評価されているが,これらに加えて養鶏施設における効果も併せて評価し希釈倍率を決定する必要があると考えられる。
  • 嶋澤 光一, 真鳥 清, 荒木 勉
    1997 年 34 巻 2 号 p. 137-144
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    つしま地鶏肉用交雑鶏とブロイラーの雌雄を供試鶏に,腿肉の主要な筋肉の一つである外側腸脛骨筋M. iliotibialis lateralisにおける筋線維型構成割合と,各筋線維型の成長にともなう筋線維直径の変化を比較した。
    筋線維型構成割合は,鶏種間ではっしま地鶏肉用交雑鶏がブロイラーより明らかにIIA型筋線維を多く持っていた(P<0.01)。また,雌雄間では14週齢時において雄が雌よりも明らかにIIA型筋線維構成割合が高かった(P<0.01)。
    筋線維直径と筋肉重量の相対成長式において相対成長係数は,つしま地鶏肉用交雑鶏雄のIIB型筋線維がブロイラー雌のIIA型筋線維及びIIB型筋線維より有意に大きかった(P<0.05)。定数はブロイラー雌のIIB型筋線維がつしま地鶏肉用交雑鶏雄のIIA型筋線維及びIIB型筋線維より有意に大きかった(P<0.05)。また,生体重と筋肉重量の相対成長式および筋肉重量と筋線維直径の相対成長式から,生体重2.5Kg時のIIB型筋線維とIIA型筋線維の平均直径の差を推定すると,つしま地鶏肉用交雑鶏の直径の差はブロイラーより大きいと推定された。
    以上の結果より,つしま地鶏肉用交雑鶏はブロイラーと異なる筋線維特性を有していると思われた。
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