産卵鶏卵殻腺部のカルシウム結合蛋白質(CaBP-D28K)誘導におけるビタミンDの役割を検討した.1, 25-ジヒドロキシビタミンD
3 [1, 25 (OH)
2D
3投与区]または生理的食塩水(対照区)を放卵3時間後(卵殻非形成期)または卵殻形成初期である8時間後(卵殻形成期)に卵殻腺部管腔内へ直接投与し,その2時間後に卵殻腺部内のCaBP-D 28Kの局在と量的変化を免疫組織化学的検索及びウエスタンブロット法で解析した.また,この時,十二指腸CaBP-D28K量及び血清中総カルシウム濃度の変化も測定し,これらに及ぼす卵殻腺部管腔内への1, 25 (OH)
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3投与の影響も調べた.全ての供試鶏でCaBP-D28Kは卵殻腺部の管状腺に局在することが認められた.卵殻形成期では,1, 25 (OH)
2D
3投与区で対照区より濃いCaBP-D28Kのバンドが認められたが,卵殻非形成期ではCaBP-D28Kのバンドの濃さは両区の間で同程度であった.十二指腸CaBP-D28Kのバンドの濃さ及び血清中総カルシウム濃度は,卵殻形成期と非形成期の両時期とも,1, 25 (OH)
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3投与区と対照区との間で差を示さなかった.以上の結果から,1, 25 (OH)
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3は卵殻腺部を直接刺激してCaBP-D28Kを誘導するものと考えられた.
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