日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
35 巻, 2 号
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  • 大平 洋美, 吉村 幸則, 田村 達堂
    1998 年 35 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏卵殻腺部のカルシウム結合蛋白質(CaBP-D28K)誘導におけるビタミンDの役割を検討した.1, 25-ジヒドロキシビタミンD3 [1, 25 (OH)2D3投与区]または生理的食塩水(対照区)を放卵3時間後(卵殻非形成期)または卵殻形成初期である8時間後(卵殻形成期)に卵殻腺部管腔内へ直接投与し,その2時間後に卵殻腺部内のCaBP-D 28Kの局在と量的変化を免疫組織化学的検索及びウエスタンブロット法で解析した.また,この時,十二指腸CaBP-D28K量及び血清中総カルシウム濃度の変化も測定し,これらに及ぼす卵殻腺部管腔内への1, 25 (OH)2D3投与の影響も調べた.全ての供試鶏でCaBP-D28Kは卵殻腺部の管状腺に局在することが認められた.卵殻形成期では,1, 25 (OH)2D3投与区で対照区より濃いCaBP-D28Kのバンドが認められたが,卵殻非形成期ではCaBP-D28Kのバンドの濃さは両区の間で同程度であった.十二指腸CaBP-D28Kのバンドの濃さ及び血清中総カルシウム濃度は,卵殻形成期と非形成期の両時期とも,1, 25 (OH)2D3投与区と対照区との間で差を示さなかった.以上の結果から,1, 25 (OH)2D3は卵殻腺部を直接刺激してCaBP-D28Kを誘導するものと考えられた.
  • 河南 保幸, 原山 洋, 加藤 征史郎
    1998 年 35 巻 2 号 p. 108-116
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ビタミンAの過剰摂取がニワトリの骨組織形成に及ぼす影響を究明するため,白色レグホン種で1週齢の雄ニワトリを用い,市販の幼雛飼料を給与しながら1日につき体重g当たり300または600単位のビタミンAを連日10日間経口投与した場合の脛骨について,軟X線吸収像の観察を行うとともに骨幹中央部の横断標本を組織学的および組織形態計測学的に検索した。その結果,ビタミンA過剰投与鶏の脛骨では,対照鶏に比べて,骨幹の幅が明らかに狭く,全般の骨質において軟X線吸収の低下が認められた。一方,骨幹の組織構造の観察では,骨膜が薄く,大部分の骨芽細胞は扁平で紡錘形をなしていた。そして,髄腔側の骨質でみられるオステオンは,中心管の広いものが多かった。このような組織形態の変化は,ビタミンAの投与量の増加によって,さらに顕著となった。破骨細胞の形態や細胞内空胞の大きさなどは,対照鶏の場合とよく類似していた。また組織形態計測学的には,緻密骨形成の遅延と骨芽細胞の減数萎縮が認められた。しかし,破骨細胞の大きさや数などの計測値については,対照鶏との間で差が認められず,骨吸収に対するビタミンA投与の影響は極めて少ないことが察知された。これらの結果からみると,ビタミンAの過剰摂取は,骨芽細胞の機能を低下させ,骨形成を抑制するものと考えられる。
  • 大谷 滋, 田中 桂一
    1998 年 35 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    断続照明がブロイラー雛の点灯時における活動性にどの様な影響を及ぼすか検討するために2回の実験を行った。2週齢まで連続照明下で飼育したブロイラー雄雛を,実験1では連続照明と,0.5時間点灯1時間消灯,1時間点灯2時間消灯,2時間点灯4時間消灯を繰り返す断続照明,実験2では連続照明と,0.5時間点灯1.5時間消灯,1時間点灯3時間消灯,2時間点灯6時間消灯を繰り返す断続照明のそれぞれ4照明条件下で3週齢から8週齢まで飼育した。4,6及び8週齢時に各処理区から5羽の雛を選び,立位姿勢の全持続時間,摂食行動の頻度及び全持続時間を,連続照明下で飼育した雛については実験1では3時間おきに1時間,計8時間,実験2では4時間おきに1時間,計6時間,断続照明下で飼育した雛については点灯時のみ測定した。これら全ての測定値は,4週齢では断続照明下で飼育した雛の方が連続照明下で飼育した雛よりも高かったが,週齢に伴い低下し,8週齢では,低いままで推移した連続照明区とほぼ同様の値となった。断続照明は育成初期では点灯時における雛の活動性を充進するが,育成後期では活動性に与える影響は小さいことが明らかになった。
  • 小川 博, 桑山 岳人, 田中 克英
    1998 年 35 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    真珠斑のホロホロチョウ(GF)と白色レグホーン種のニワトリ(WL)とについて,初生時から10週齡までの期間における体重,卵管重量,血漿エストラジオールー17β(E2)濃度を1週間ごとに測定した。体重は3週齢以降,卵管重量は4週齡以降においてGFの方がWLよりも大であった。体重100g当たりの卵管重量はGFもWLもともに2週齡以降ほとんど変化せず,両者間の差違も認められなかった。血漿E2濃度はGFでは8週齡まで顕著な増加を示さなかったが,WLでは4週齡以降増加した。5週齡のGF及びWLにジエチルスチルベストロール(62.5~1,000μg/羽/日)を連続5日間筋肉内注射し,最終注射の24時間後における卵管重量の増加率を比較したところ,GFはWLよりも小さかった。また,4週齡のGFに同様な注射を行った場合の増加率も5週齡のWLよりも小さかった。従って,10週齡までの期間における卵管重量がGFの方がWLよりも大であることは体重がGFの方が大きいことに関連することであって,血漿E2濃度や卵管のエストロジェンに対する反応性に起因するものではないものと考えられた。
  • 大塚 彰, 尾辻 由貴, 林 國興
    1998 年 35 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    焼酎粕(SDBP)にはブロイラー成長促進因子が含まれているが,本研究ではSDBPには血漿α-トコフェロール濃度を上昇させる作用もあることを示した。SDBPを遠心分離し,得られた上清画分を凍結乾燥したもの(DSN)を飼料に添加(0.00, 0.05, 0.10, 0.20, 0.40および1.60%)して,5日齢のブロイラーヒナに6日間与えた。増体量,筋肉重量および飼料摂取量はDNS添加により増加し,1.6%添加区では全てに有意差が見られた。飼料要求率(飼料摂取量/増体量)に変化はなかった。血漿α-トコフェロール濃度はDSN添加量の増加に伴い,0.05%以外の全ての添加区で有意に上昇した。筋肉のα-トコフェロール含量はDSN添加により増加する傾向を示した。以上の結果はSDBPにはブロイラーの血漿α-トコフェロール濃度を上昇させる因子が存在することを示している。
  • 曹 兵海, 唐澤 豊, 神 勝紀
    1998 年 35 巻 2 号 p. 138-141
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    日本飼養標準のCPおよびMEのそれぞれ65%および80%を給与した2週齢のニワトリヒナの成長および窒素の利用性に及ぼす飼料中のセルロース含量の影響を調べた。体重増加量,飼料効率,窒素蓄積量,窒素蓄積率および見かけの窒素消化率は,いずれも,飼料中のセルロース含量が0%から3.5%まで増加してもほとんど変化しなかったが,5%以上になると減少し始めた。飼料効率,窒素蓄積量,窒素蓄積率および見かけの窒素消化率はセルロース1.5%区と3.5%区が10%区や20%区より有意に高かった(P<0.05)。体重増加量はセルロース1.5%区と3.5%区が20%区より有意に高かった(P<0.05)。一方,吸収窒素の蓄積率は1.5%および3.5%セルロース区が0%区と比べ有意に高く(P<0.05),5%区から減少しはじめ10%区と20%区では1.5%区,3.5%区の両区より有意に低くなった(P<0.05)。本実験は,CPとME要求量の充足率がそれぞれ65%と80%のとき,ニワトリヒナにおける吸収窒素の蓄積率は飼料セルロース含量が1.5-3.5%のときもっとも高く,同様の傾向は成長および窒素の利用性についても認められることを明らかにした。
  • 大谷 滋, 田中 桂一
    1998 年 35 巻 2 号 p. 142-145
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    断続照明の開始時期がブロイラーにおける脂肪蓄積に及ぼす影響について検討した。2週齢まで連続照明下で飼育したブロイラー雄雛を4区に分け,(1)連続照明(CL), (2) 6週齢まで連続照明,7週齢から断続照明(IL 7), (3) 4週齢まで連続照明,5週齢から断続照明(IL 5), (4) 3週齢から断続照明(IL 3)の4照明条件下で8週齢まで飼育した。断続照明は0.5時間点灯1.5時間消灯を繰り返して行った。IL 5区およびIL 3区では断続照明に変更した直後の週齢において飼料摂取量が制限され,増体量も低下したが,IL 7区では飼料摂取量の低減は小さく,増体量も他の区との有意な差は認められなかった。8週齢において測定した肝臓および腹腔内脂肪重量と肝臓中の粗脂肪含量には処理による影響は認められず,肥育後期に断続照明を行ってもブロイラーの脂肪蓄積は低減されなかった。
  • 1998 年 35 巻 2 号 p. 146-147
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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