日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
35 巻, 5 号
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  • 喜多 一美, 柴田 貴子, M.AMAN YAMAN, Michael A. CONLON, 佐々木 健, 斉藤 昇, 奥村 純市
    1998 年 35 巻 5 号 p. 263-270
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1週齢および2週齢のニワトリヒナを用いて,1日間の絶食が筋肉の蛋白質合成,肝臓のインスリン様増殖因子-(IGF-I)遺伝了発現および血漿中のIGF-I濃度にどの様な影響をおよぼすか調査した。浅胸筋における蛋白質合成速度(Ks)は,L-[2, 6-3H]フェニルアラニンの大量1回投与法により測定された(実験1)。肝臓のIGF-ImRNAは,リボヌクレァーゼプロテクションアッセイにより測定され(実験1),血漿中のIGF-I濃度はラジオイムノアッセイにより測定された(実験2)。筋肉蛋白質のKsは,1週齢から2週齢の間に有意に低下した。絶食によりKsおよび蛋白質合成量は有意に減少した。肝臓におけるIGF-ImRNAレベルは,1週齢から2週齢にかけて上昇する傾向を示し,絶食により有意に低下した。血漿中IGF-I濃度は,1週齢から2週齢にかけて有意に増加し,絶食により有意に減少した。肝臓におけるIGF-ImRNAレベルと筋肉における蛋白質合成量の間には有意な相関関係が認められた。以上の結果より,孵化後初期のニワトリヒナにおいて,絶食および加齢にともなう筋肉蛋白質合成の変化には,肝臓IGF-ImRNAレベルおよび血1漿中IGF-I濃度の変化による制御が関与している可能性が示唆された。
  • 高畠 俊弘, 谷川 雅俊, 清水 高正
    1998 年 35 巻 5 号 p. 271-277
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    フィルター免疫結合(FIB)法によるマイコプラズマの同定における鶏免疫血清の利用性を検討した。15種のマイコプラズマ基準株に対する鶏免疫血清を液体培地で吸収し,ブロッキング液で適切に希釈してFIB法に供した時,同種の抗原と明瞭な特異反応を呈した。吸収済鶏免疫血清を用いてのFIB法によるMycoplasma gallisepticumM. synoviae分離株の同定結果は,従来の生化学的性状検査と兎免疫血清を用いての発育阻止試験による結果と一致した。鶏免疫血清は発育阻止試験や代謝阻止試験には利用できないが,FIB法によるマイコプラズマの同定に利用できることが判明した。
  • 稲福 桂一郎, 前田 芳實, 岡本 新, アルディニングサシ スリムルニ, 橋口 勉
    1998 年 35 巻 5 号 p. 278-284
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    インドネシアにおける在来鶏の卵白タンパク質多型による地域集団間の遺伝的変異を見るためにインドネシアの12の地域集団よりサンプルを採取した。卵白タンパク質多型はデンプンゲルおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分析した。多型はオボアルブミン(Ov),オボグロブリンG3(G3),オボグロブリンG2(G2),コンァルブミン(TfEW)およびリゾチーム(G1)の5つの座位において検出された。リゾチームの多型は,ウンガラン地域集団においてのみ検出された(qG1F=0.853, qG1s=0.147)。地域集団間の平均ヘテロ接合率,遺伝的分化指数および各地域集団間の遺伝的距離はそれぞれ,0.028~0.141, 0.076および0.001~0.037の値を示した。インドネシアの在来鶏の地域集団は,ウンガラン地域の集団を除いて,遺伝的距離ならびに系統分化の程度が低いものと推定される。
  • 峯木 真知子, 小林 正彦
    1998 年 35 巻 5 号 p. 285-294
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    室温(20°C±;1°C)の条件下で,0~30日間貯蔵したシェバー種の鶏卵卵黄の微細構造を観察した。卵黄を液体窒素で凍結後5mm角に割断し,30°Cに温あた固定液に浸漬した。その後は常法に従い,透過型電子顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察を行った。その結果,貯蔵によって卵黄の微細構造には以下のような変化がみられた。卵黄球間の間隙は貯蔵により広くなり,間隙には卵黄球の基質から放出された楕円球が存在した。均質であった卵黄球の基質には空胞が出現し,卵黄球内に均一に分布していた蛋白性小穎粒は偏在し,融合したものが多くなった。これらの現象は,5日貯蔵の卵黄では外層部にしかみられなかったが,20日間貯蔵したものでは卵黄のいずれの部位でも観察された
  • 仁木 隆博, 信國 喜八郎
    1998 年 35 巻 5 号 p. 295-302
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本実験では,外科的に甲状腺を除去した雄鶏(白色レグホーン系コマーシャル:ハイセックス)を用いて,前肢,体幹および後肢の3部位における主な個々の筋肉の重量に及ぼす甲状腺ホルモンの影響について検討した。実験区として偽手術,T4投与(甲状腺除去後,レサイロキシン投与),甲状腺自家移植(自家移植)および甲状腺除去(甲除)の4区を設定した。甲状腺は10~11日齢時に摘出し,直ちに前胸部皮下に自家移植した。移植甲状腺は一部の鶏を除いて27~28日齢時に除去した。除去した鶏の半数には毎日1回正常分泌率相当量(1.0~1.5μg/100g bwt)のL-T4を腹腔内に投与した。各区の鶏は71日齢から74日齢までの間に放血屠殺し,前肢部,体幹部および後肢部の筋肉ならびに各部位の主な個々の筋肉17種の重量を測定した。
    前肢部,体幹部および後肢部の筋肉の実重量は偽手術区,T4投与区および自家移植の間で差はなかったが,甲除区はこれら3区よりも著しく小さかった。各部位の主な個々の筋肉の実重量についても甲除区が他の3区より明らかに小さな値を示した。一方,個々の筋肉の相対重量(当該部位の筋肉100gに対する割合)については,前肢部における深胸筋,後肢部における大腿四頭筋以外は実験区間で差は認められなかった。これに対して,これら2種の筋肉では甲除区は他の3区に対し著しく小さな相対重量を示した。また,自家移植区に対する甲除区の筋肉重量の減少率においても,深胸筋および大腿四頭筋は他の個々の筋肉より大きな減少率を示した。
    以上の結果から,鶏において甲状腺ホルモンが欠如すると個々の筋肉の重量の増加は著しく抑制され,このことが各部位の筋肉重量の増加抑制をもたらすことおよび個々の筋肉の中では深胸筋と大腿四頭筋が他の筋肉よりさらに強い欠如の影響を受けることが明らかとなった。
  • 脇田 正彰, 橋口 公恵
    1998 年 35 巻 5 号 p. 303-308
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの血清中の成長ホルモン(GH)とインスリン様成長因子(IGF)-IおよびIGF結合タンパク質(IGFBP)に対するデキサメタゾン(DXM)の影響を明らかにする目的で,ニワトリにDXM (20μg/100gB.W)を腹腔内注射して経時的に血液と大脳,肝臓,脾臓および腎臓を採取した。血液中のグルコース,GH, IGF-I濃度を測定するとともに,血清および各器官抽出液のIGF-I結合活性とIGFBPを分析した。DXM投与90分後(最終採血時間)までにはグルコース濃度に変化は認められなかったが,GH濃度は30分後に,IGF-I濃度は60分後に共に著しく減少した。IGF-I結合活性は60分後に著しく増加した。腎臓と脾臓の抽出液のIGF-I結合活性は血清と同様な経時的変化で増加したが,大脳と肝臓の抽出液では変化しなかった。血清および腎臓抽出液のIGFBPはDXM投与によって約34KDaのIGFBPが消失し,それよりも分子量の小さい2つのIGFBPが新たに検出された。
    以上の結果より,ニワトリにDXMを投与するとGH-IGF-I軸に影響を及ぼし,血清と腎臓および脾臓のIGFBPの種類が変化することが明らかとなった。
  • 脇田 正彰, 片岡 真由美
    1998 年 35 巻 5 号 p. 309-313
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの血清中のグルコース,成長ホルモンインスリン様成長因子IGF-I結合活性および結合タンパク質(IGFBP)に及ぼすグルカゴンの影響に関する知見が少ないことから,本実験でこれらについて検討を行なった。
    6週齢の白色レグホーン種雄鶏に体重100g当たり0, 5および10μgのグルカゴンを腹腔内注射して,経時的に翼下静脈から採血し血清を得た。血清中のグルコース,GHとIGF-Iの濃度とIGF-I結合活性を測定するとともにの検出を行なった。
    グルカゴン投与30分後には顕著なグルコース濃度の増加と濃度の減少が認められたが,濃度とIGF-I結合活性には変化が認められなかった。しかし,グルカゴン投与60分後に顕著なIGF-I濃度の減少とIGF-I結合活性の増加が認められた。投与60分後と90分後の血清から,他の時間の血清では検出されない新たなIGFBPが検出された。
    これらの結果は,グルコース濃度の変化を除いてインスリンを投与した時およびデキサメタゾンを投与した時の結果(投稿中)とほぼ類似したものであった。グルカゴンをニワトリに投与すると血液中のGH濃度が著しく減少し,その後にIGF-F濃度が低.ドして新たなIGFBPが出現することが明らかとなった。
  • 吉村 幸則, 岡本 敏一
    1998 年 35 巻 5 号 p. 314-318
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    The aim of this study was to determine whether the follicular cells phagocytose foreign agents in hens. White Leghorn laying hens were intravenously injected with carbon solution 22 hr before the expected time of ovulation. Then the ovarian stroma containing primary follicles (PF), white follicles (WF), the largest and third largest preovulatory follicles (F1 and F3, respectively), the largest postovulatory follicle (POF) and spleen were collected 20 hr after the injection. Tissues were processed for histolog-ical examinations. Carbon particles were observed in the cytoplasm of the theca interna fibroblasts of WF, F3, F1 and POF in the carbon injected birds. The population of cells containing carbon particles was significantly greater in F1 and F3 follicles than in the other follicles, and was greater in WF than in PF and POF. Carbon particles were also accumulated in the spleen. These results suggest that the fibroblasts in the theca interna of preovulatory follicles phagocytose foreign particle substances, and this activity is likely to be stronger during the rapid growth phase than the other phases.
  • 1998 年 35 巻 5 号 p. 319
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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