日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
36 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 前田 照夫
    1999 年 36 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本実験では生殖原基に移動した直後(ステージ17-20の胚)の鶏始原生殖細胞(PGCs)おける分裂期の割合とDNA量を共焦点レーザー顕微鏡で解析した。
    分裂期の割合は胚の発育にともなって8.0から21.6%に有意に高くなった。PGCsの核内DNA量をヒストグラムで表すと,2つのピーク(第一と第二)が全てのステージ胚で認められた。第一ピークにおけるDNA蛍光量は第二ピークのそれと比較しておよそ半分であった。分裂期のPGCsにおけるDNA蛍光量は第二ピーク近くあるいはそれ以上であった。
    以上の結果より,生殖原基に移動した直後のPGCsは核内DNA量が周期的に変化し,胚の発育にともなって急激に増殖すると考えられた。
  • 芦沢 幸二, 藤山 新, 續木 靖浩
    1999 年 36 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏精子の温度による可逆的な不動化現象に,細胞内Ca2+が関与しているか否かを明らかにするため,Ca2+調節物質を用いて精子の運動性並びに細胞内Ca2+濃度に及ぼす影響を検討した。精子の運動性は,30°CではCa2+の存否にかかわらず,75~80%の高い値を示した。これに対して40°Cでは,Ca2+無添加の精子は不動化を起こし,2mMCa2+を添加すると75%の値まで回復した。ところが40℃において,Ca2+チャンネル阻害剤であるベラパミルを1mM添加し,その後Ca2+を加えると,十分な運動回復効果は認められなかった。その時の細胞内Ca2+濃度を測定したところ,ベラパミル無添加の対照区では,2mMCa2+を加えることによって約300nMまで急上昇した。これに対してベラパミル添加区では,その上昇が著しく抑制された。また,同一の精子試料を30°Cと40°Cの温度条件下で交互にインキュベーションすると,30°Cでは活発な運動を行っており,その後40°Cに移すと,精子の運動はほとんど停止した。ベラパミル添加の有無に関係なく,この現象は可逆的であり,再び30°Cに移すと運動の回復が観察された。一方,ミトコンドリアからのCa2+放出を誘起すると考えられているSr2+を精子に添加すると,細胞内Ca2+濃度の上昇とともに,40°Cでも濃度依存的に運動促進効果が認められた。以上の結果から,鶏精子の運動調節に細胞内Ca2+が深く関与していると推察された。さらに,温度による可逆的不動化は,細胞膜を介する細胞内外のCa2+移送機構より,むしろミトコンドリアにおけるCa2+動員機構に依存しているものと考えられた。
  • 平松 浩二, 田中 伸幸, 中村 のり子, 大島 浩二
    1999 年 36 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリハーダー腺内における神経ペプチド(ガラニン,PACAP27および38)の局在について,免疫組織化学的手法を用いて研究した。検索した神経ペプチドに対する免疫陽性反応は,翼口蓋神経節と腺内の神経要素に観察された。翼口蓋神経節には,ガラニン,PACAP27及び38に免疫陽性反応を示す細胞体が含まれていた。ガラニン免疫陽性細胞は,比較的大型の細胞でもっとも多く観察された。免疫陰性細胞体の周囲にPACAPに対する免疫陽性反応が点状に観察された。ハーダー腺において神経ペプチドに免疫陽性反応を示す神経線維は,間質に分布していた。これらの陽性線維は,密な網目状構造を形成していた。しばしば被膜下から腺房間を走行する細かいペプチド含有神経線維が観察された。導管上皮に接する神経線維は認められなかった。本研究の結果は,ガラニン及びPACAPを含有する神経がニワトリハーダー腺の免疫機能の調節に関わっていることを示唆する。
  • 喜多 一美, 奥村 純市
    1999 年 36 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    飼料蛋白質レベルの異なる飼料(CP0, 10, 20, 40および60%)をニワトリヒナに10日間自由摂取させた後,血漿中のグルコース,遊離脂肪酸,トリグリセライド,コレステロール,アルブミン,蛋白質およびインスリン様増殖因子-I(IGF-1)濃度を測定した。血漿中のグルコース濃度は,飼料蛋白質レベルが10%から40%まで増加するのにともなって減少した。飼料蛋白質レベルが0%から60%まで増加すると血漿中のコレステロールは飼料蛋白質レベルの増加にともなって減少した。血漿中のIGF-I濃度は,飼料蛋白質レベル20%までは飼料蛋白質レベルの増加にともなって上昇したが,飼料蛋白質レベルが20%を越えると血漿中のIGF-Iは徐々に減少した。飼料蛋白質レベルの変化にともなう体重変化は,血漿中のIGF-I濃度の変化によってその一部が制御されている可能性が示唆された。
  • 山根 哲夫, 後藤 尚也, 高橋 大三, 武田 英嗣, 乙脇 研仁, 土田 孝雄
    1999 年 36 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏への緑茶温湯抽出物(WET)の給与が鶏の血清中成分,産卵成績,卵質,卵成分及び卵白色に及ぼす影響について検討した。市販産卵鶏用飼料(CP 18.3%, ME 2,850kcal/kg)に,カテキンを30%含むように調製したWETを0, 0.17, 0.33及び0.67%添加した試験飼料を53週齢の白色レグホン種に6週間にわたって自由摂取させた。
    その結果,WET添加量が増すにつれて1)鶏の血清中脂質濃度は減少する傾向を示し,チオバルビツール酸反応物(TBARS)濃度は減少した。2)産卵率,卵重,飼料摂取量は低下した。3)卵殻強度,卵殻厚には変化が見られなかったが,ハウユニットはWET0.17%区及び0.67%区で無添加区と比較し5~8%向上した。4)卵黄の脂質含量はWET0.17%区で無添加区と比較し約10%減少した。卵黄のTBARS含量はWET0.17%区で約16%減少した。卵黄の脂肪酸組成に変化は認められなかったが,卵黄脂質1g当たりTBARS含量は減少する傾向が認められた。5)卵白の緑黄色が消失することが認められた。
  • 社本 憲作, 山内 高円, 上曽山 博
    1999 年 36 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    絶食後の再給餌飼料の形状や栄養価が腸管絨毛の回復に及ぼす影響について調べるために,白色レグホーン種雄鶏を42日齢から10日間絶食後,米ヌカ(CP: 16.8%, ME: 3,170kcal/kg)または中雛用配合飼料(CP: 18%, ME: 2,850kcal/kg)を3, 6, 24時間再給餌し,光学顕微鏡を用いて十二指腸絨毛の高さ,上皮細胞面積および陰窩における細胞分裂数の回復の違いを,さらに絨毛の高さの変化に伴う粘膜固有層の変化を比較検討した。また,走査型電子顕微鏡を用いて絨毛頂部表層の変化についても比較検討した。
    3および6時間再給餌では,絶食により顕著に低下した絨毛高,細胞面積および細胞分裂数は米ヌカ再給餌の方が中雛用配合飼料給与よりも迅速な回復を示した。固有層の変化については,絶食処理では固有層の幅が広くなり,固有層構成組織成分が粗に散在していたが,再給餌により固有層の幅が米ヌカおよび中雛用配合飼料再給餌とも再び狭くなった。両者の比較では米ヌカ再給餌における固有層の幅の方がやや狭いが,固有層中の組織成分の回復については中雛用配合飼料再給餌の方が幾分活発であった。絨毛表面についても,絶食の滑らかな絨毛表面は米ヌカ再給餌の方が顕著な細胞隆起を示した。
    24時間再給餌では,逆に中雛用配合飼料再給餌の方が絨毛高,細胞面積および細胞分裂数の全てにおいて顕著な回復を示した。米ヌカ再給餌の固有層の幅は再び広がり,固有層中の組織成分の増殖も見られず,特に平滑筋繊維が未発達であった。中雛用配合飼料再給餌の固有層は狭く,組織成分の増殖がみられ,特に平滑筋繊維の発達が顕著で,絨毛頂部からの上皮細胞の脱落像も観察された。絨毛表面についても,中雛用配合飼料再給餌の方がより活発な細胞の隆起や細胞塊の隆起を示した。
    この様な結果から絶食後の絨毛の初期回復には,給与飼料の栄養価よりもむしろ粉状飼料のような摂食後速やかに消化•吸収されやすい形状の方が大きく関与し,その後の完全な腸管粘膜の回復には,栄養価の高い,バランスのとれた飼料を必要とするものと考えられる。
  • 藤中 邦則, 龍田 健
    1999 年 36 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    市販の産卵鶏用飼料に,卵殻強化を目的としてかき殻などのカルシウム源を添加することが行われている。本試験では,20~88週齢の単冠白色レグホーン系の産卵鶏を用い,全産卵期,産卵最盛期および後期における,市販の産卵鶏用飼料へのかき殻添加が,飼料摂取量,産卵性,破卵率および収入に及ぼす影響を調査した。
    市販飼料へのかき殻添加は飼料摂取量と産卵日量に影響しなかったが,産卵盛期での破卵•軟卵率は,やや低くなる傾向であった。61週齢以降にかき殻を増量すると,破卵•軟卵率が上昇した。収入に有意差はなかったが,かき殻の添加により減少した。
    以上の結果から,産卵鶏用市販飼料にかき殻を添加する必要はなく,特に61週齢以降にかき殻添加量を増加することは経営上得策でないことが示唆された。
  • 1999 年 36 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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