日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
36 巻, 5 号
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  • 沈 相俊, 鈴木 秀典, 都築 政起, 伊藤 慎一, 中村 孝雄
    1999 年 36 巻 5 号 p. 287-294
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ヒメウズラ(ヒメウズラ属),野生系ウズラ(ウズラ属)ならびにニワトリ白色ブロイラー(ヤケイ属-)各々20羽を供試し,PCR-RFLPにより,ミトコンドリアDNA(mtDNA)の1,075bpのシトクロームb(Cytb)領域の制限酵素断片長多型解析を行った。PCRにより増幅した全てのCytb領域を,10種類の制限酵素で処理し,アクリルアミド電気泳動法により泳動パターンを観察した。
    その結果,10種類の制限酵素の泳動パターンはそれぞれ同一種内においては同じ泳動像を示し,個体変異は見出されなかった。同じキジ科の3種類の違う属の集団(ヒメウズラ,野生系ウズラおよび白色ブロイラー)間には異なる電気泳動パターン,ハプロタイプならびに制限フラグメント数が観察され,ヒメウズラ,野生系ウズラおよび白色ブロイラーの各種内におけるCytb領域のPCR-RFLP特徴とキジ科内の異なる属間の遺伝的変異性,ならびに各種内の遺伝的同一性を表した。
    本研究結果は,キジ科の属間識別とキジ科のmtDNAのCytb遺伝子の物理的地図として利用できることが示唆された。
  • 家田 照子, 齋藤 昇, 島田 清司
    1999 年 36 巻 5 号 p. 295-303
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究は短期間の低カルシウム飼料が,卵殻質(比重,卵殻比率,卵殻厚)と小腸及び卵殻腺カルシウム結合蛋白質(CaBP-D28K)mRNA量に与える影響を検討した。5日間,低カルシウム飼料(0.5%カルシウム,低カルシウム給餌群)を産卵鶏に与えると,産卵鶏は卵殻質の悪い,壊れやすい卵を産むようになった。卵殻質の指標として卵殻比率(卵重に対する卵殻乾燥重量比率)を検討したところ,低カルシウム飼料を与えて2日目には有意に卵殻比率が減少した。他の比重,卵殻厚の指標も卵殻比率と同様な変化となった。低カルシウム飼料給餌後5日目には血中カルシウム濃度もコントロール群に比べ有意に減少した。5日間低カルシウム飼料を与えた後,5日間3.5%カルシウムを含む標準カルシウム飼料を与えたところ,卵殻質は改善され,血中カルシウム濃度もコントロール群と同じレベルにまで上昇した。低カルシウム飼料を5日間与えた後,次の排卵8時間後に小腸及び卵殻腺粘膜を採取し,CaBP-D28K mRNA量をノーザンブロット法によって定量した。カルシウム再給餌群は低カルシウムを5日間給餌した後,5日間標準カルシウム飼料を給餌し,最終日の排卵後8時間にサンプリングを行った。小腸では低カルシウム給餌群とカルシウム再給餌群におけるCaBP-D28K mRNA量はコントロール群に比べ約2倍有意に増加した。これは,低カルシウム飼料により血中カルシウムが減少した結果,パラサイロイドホルモン(PTH)が分泌され,腎臓における1,25(OH)2D3の合成を刺激したためと考えられる。カルシウム再給餌群では,血中カルシウム濃度はコントロール群と同じレベルに戻っていたにもかかわらず,CaBP-D28K mRNA量が高かったのは骨の再生とカルシウム貯蔵により多くのカルシウムが必要だったためと考えられる。しかし,卵殻腺CaBP-D28K mRNA量は5日間の低カルシウム飼料を与えたにもかかわらず有意な変動はみられなかった。この結果より血中カルシウム低下による卵殻質低下は卵殻腺のCaBP-D28K mRNA産生には影響しないと考えられた。
  • 高橋 和昭, 秋葉 征夫
    1999 年 36 巻 5 号 p. 304-310
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    酸化脂肪の経口投与または筋肉内注射がブロイラーの成長および生理機能に及ぼす影響を検討した。飼料中の過酸化物価を10ミリ当量とした飼料を14日間給与したブロイラーの成長,飼料利用性,血漿中のα-トコフェロールおよびアスコルビン酸濃度は低下した。一方,血漿中2-チオバルビツール酸反応物濃度および血液の偽好酸球:リンパ球比は上昇した。過酸化脂肪給与は肝臓ミクロソーム中のシトクロムP-450量とブルセラ•アボルタスに対する抗体産生を低下させたが,肝臓ミクロソーム中のシトクロムb5量と羊赤血球に対する抗体産生には影響しなかった。酸化脂肪の筋肉への注射(過酸化物価1meq/日/鶏)は成長と飼料利用性には影響を及ぼさないものの,血漿中αトコフェロールを低下させ,血液の偽好酸球:リンパ球比を上昇させた。これらの結果は,酸化脂肪のブロイラーへの経口投与または筋肉内注射が代謝および免疫応答に広範囲にわたって影響し,酸化ストレスを誘導することを示している。また,本実験条件下では,酸化脂肪の経口投与が筋肉内注射より酸化ストレスを実験的に作出しやすいことを示している。
  • Prapakorn TARACHAI, Narin THONGWITTAYA, 上曽山 博, 山内 高円
    1999 年 36 巻 5 号 p. 311-318
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    トウフ粕を鶏飼料への植物蛋白質源として有効利用するために,乾燥トウフ粕を市販産卵鶏用配合飼料に0 (CP; 17.7%, ME; 2.59kcal/g), 10 (CP; 18.3%, ME; 2.14kcal/g)および20% (CP; 18.7%, ME; 2.11kcal/g)の割合で配合した。各飼料区とも16羽の単冠白色レグホン種産卵鶏を用いて自由摂食および自由飲水下で32日間飼育し,摂食量,増体量,産卵率,卵重,卵の比重,卵殻強度,卵殻の厚さおよびハウユニットについて検討した。摂食量を重量でみると,トウフ粕の配合により有意(P<0.05)に減少したが,体積で示した場合にはほぼ同量であった。増体量はトウフ粕の配合量の増加にともなって減少し,20%配合で有意(P<0.05)に減少した。産卵率はトウフ粕の20%配合でも有意差は認められなかったが,トウフ粕の配合量の増加にともなって減少する傾向を示した。卵の重さ,比重,破卵強度,卵殻の厚さおよびハウユニットについては,特定の変化は見られなかった。
    本研究では,トウフ粕は鶏飼料へ10%までは配合することができ,未利用トウフ粕の植物蛋白質源としての有効利用に貢献できるものと考えられる。
  • 豊後 貴嗣, 安東 竜一, 青 竜太郎, 下條 雅敬, 増田 泰久, 崔 洋豪, 斉藤 昇, 古瀬 充宏
    1999 年 36 巻 5 号 p. 319-324
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究は,モルヒネの中枢への投与と内因性のメチオニン•エンケファリンの放出ペプチドとして哺乳動物で認識されてるジペプチドのキョートルフィンの中枢投与が孵化後間もないヒナの摂食行動に及ぼす影響を調べるために行った。モルヒネの中枢投与により催眠作用を誘発し,ヒナの飼料摂取量は減少した。幅広い範囲(2.5~50μg)でキョートルフィンを中枢に投与されたヒナの摂食量は対照の生理的食塩水投与のものと同様であった.ヒナにおいて,キョートルフィンが摂食行動に影響する可能性は低いことが示唆された.
  • 宗 知紀
    1999 年 36 巻 5 号 p. 325-328
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    推定放卵時刻の6,4,3,2及び1時間前に0。1mlのリン酸塩溶液を卵殻腺部内に投与して誘起される放卵を観察した。卵殻表面色素の沈着が終了した個体が多くなる2及び1時間前の誘起放卵率は有意(P<0.01)に低下し,この時期に誘起放卵された数個の卵は卵殻表面色素が沈着していなかった。このことから色素沈着後はリン酸塩溶液を卵殻腺部内に投与しても放卵を誘起できない可能性が示唆された。
  • 水流 正裕, 山崎 信, 村上 斉, 石川 寿美代, 武政 正明
    1999 年 36 巻 5 号 p. 329-335
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    飼料中の油脂含量が卵黄中のβ-カロチン含量および卵黄色に及ぼす影響を調べた。24羽の21週齢の産卵鶏に28日間,大豆油を0, 1.5あるいは3%含む試験飼料を給与した。用いた試験飼料は0.1%のβカロチン製剤を含むトウモロコシ•大豆粕飼料であった。すべての試験飼料は粗蛋白質および代謝エネルギー水準が同一となるように調整した。
    卵黄中のβ-カロチン含量は試験飼料給与後に増加し,7日目から14日目にほぼ一定となった。21日目に大豆油を0%, 1.5%および3%含む飼料を給与した産卵鶏の生んだ鶏卵卵黄100g中のβ-カロチン含量は,それぞれ97, 143および225μgであった。β-カロチンの移行率,すなわちβ-カロチン摂取量に対する卵黄中に蓄積したβ-カロチン量の割合は,飼料中の油脂含量の増加とともに有意に高くなった。卵黄色(カラーファンスコア),産卵率および飼料摂取量は飼料中の油脂含量によって影響されなかった。
    これらの結果は,卵黄中β-カロチン含量およびβ-カロチンの卵黄への移行率が,飼料中の油脂含量の増加とともに高まることを示している。
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