埼玉県, 徳島県, 愛知県, 熊本県の養鶏試験場および岐阜県種鶏場において, 1666年春ふ化の白色コーニッシュ種雌124羽, 白色ロック種雌476羽を用い, 育成期 (8~24週齢) およびその後の産卵期にわたって, 3日のうち1日は全く飼料を与えない給与法 (1/3制限と略す) および2日のうち1日は全く飼料を与えない給与法 (1/2制限と略す) について, 種卵生産性におよぼす効果を検討した。なお, 各場所の事情で飼料給与法, 実験期間, 反復の有無など一様でなかったので, 埼玉, 岐阜を第1群, 他の3場所を第2群として分けて検討した。第1群は, 自由摂取区, 1/3制限区, 1/2制限区を設け, 各給与区2反復とし, 52週齢まで, また, 第2群は, 自由区, 1/3制限区を設け, 各給与区1群ずつで, 48週齢までの成績となっている。供試飼料は, 場所とも同一のものであり, 育成期にはCP16-TDN66 (計算値) の育成用飼料を給与し, 産卵期にはCT18-TDN66 (計算値) の産卵用飼料を給与した。その結果を要約すると, 次のとおりである。
(1) 1/2制限区および1/3制限区は, いずれも鶏の健康状態は良好であって, 産卵期の生存率は自由区に比して高かった (危険率5%で有意)。
(2) 育成期, 産卵期ともに1/2制限法で飼育すると, 自由摂取区に比して, 産卵用飼料の摂取量が9%少なく, 成熟体重 (44週齢体重) が11%低い。一方, 種卵産卵率は8%高い成績となった。体が小さく, 飼料摂取量が少なく, しかも産卵率が高いので, 1/2制限区の種卵1個あたりの飼料費は10%低いことになった。しかし, この差は, 統計的に有意とはいえなかった。
(3) 育成期, 産卵期ともに1/3制限法で飼育すると, 自由摂取区に比して, 種鶏の飼料摂取量は5%少なく, 成熟体重は7%低く, 産卵率には大差がない結果であった。一般に, 1/3制限法による成績は, 自由摂取区と1/2制限法の成績との中間であった。
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