日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
7 巻, 1 号
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  • 兼松 重任
    1970 年 7 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1970/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    家禽の視床下部は体温, 食欲, 水分, 下垂体前葉ホルモン分泌などを調節していて, 家禽の生理機能に大きな役割を果している。体温は前視床下部の前交連の前腹部にある放熱中枢とその後腹部にある産熱中枢によって調節されているようである。食欲は Nucl. hypothalamicus inferior にある飽満中枢と Nucl. hypothalamicus lateralis を中心とする視床下部外側にある摂食中枢によって調節され, これらの体温あるいは食欲などの促進または抑制をする2つの中枢のうちいつれかを破壊するとその機能が失われて, どちらかに片寄った著しい生理状態を呈する。水分調節については視索上核などの前視床下部の大型神経細胞やその下垂体路を破壊すると, 下垂体後葉ホルモンは減少して大量の尿を排出し, 異常な渇きを示す。しかし視床下部の外側核を破壊すると水を飲めなくなる。下垂体前葉ホルモンのうち, 性腺刺激ホルモン (GTH) の分泌は光によって刺激されるが, この光刺激は視床下部を経由して行なわれる。GTH分泌の支配部位は視索前野および灰白隆起後部にあって, その部位の破壊によって生殖腺は著しく萎縮する。視床下部と下垂体前葉の間を機能的に結ぶのは視床下部に含まれる放出因子であって, これによって下垂体前葉ホルモンの放出が行なわれる。家禽のプロラクチンの分泌は哺乳類と異り, プロラクチン放出因子 (PRF) によって放出される。甲状腺刺激ホルモン (TSH) の分泌支配は前視床下部の前交連の後腹部から灰白隆起前部によって行なわれる。この部位の破壊によって下垂体のTSH分泌機能は減退し, 甲状腺機能は低下して甚しい場合には萎縮する。副腎皮質刺激ホルモンの分泌は視床下部によって調節されているが, しかし副腎は下垂体に依存しない傾向にあり, 幾分自律的である。
  • II. 秋季に換羽を誘起した場合
    中沢 稔, 古田 賢治, 冨家 武男, 下司 一
    1970 年 7 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 1970/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    採卵を目的としてケージで飼養されている初産後1か年以上を経過した鶏に, 秋季に換羽を誘起しその影響を調べ春季に誘起した場合と比較検討した。
    群1と群2の各40羽の鶏に1967年10月18日より3日間飼料と飲水の給与を停止し, 引続き2日間飼料給与を停止して強制的に換羽を誘起せしめた。群3は無処理で対照群とした。飼料給与を再開した日より群1は日長時間が14時間となるよう点燈し, 以後毎週15分宛延長し日長時間を17時間とした。群2と群3は日長時間を15時間一定とした。点燈は36m2当り40W白熱電燈3個を地上約1.8mの高さから試験期間を通じて実施した。
    1) 換羽誘起処理をして48時間以内に産出された卵は大部分が正常卵であったが, 48時間以後に産出されたものは卵殼の沈着の少ないものか, 全く沈着のない異常卵であった。96時間以後の産卵は皆無であった。羽毛の脱落は処理後10日頃より盛んとなったが, 多くの鶏はいわゆる部分換羽にとどまり, 全部の主翼羽が脱落しないうちに産卵を回復した。換羽誘起後の休産日数は群1が31.4日で群2より約1週間短かった。
    2) 換羽誘起処理後1か年間の産卵は処理群が高く, 群2と群3の間に1%水準で有意差が認められ, また誘起処理後の休産日数とその後の産卵については一定の傾向が認められず, 春季に強制換羽を誘起した場合と結果が異なった。
    3) 飼料摂取量, 生存率, 卵重, 卵殼の厚さには群間に差が認められなかったが, 卵黄と卵白の高さおよびハウ単位は処理群が有意に高かった。
  • 田中 文夫, 須知 光夫
    1970 年 7 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 1970/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ミカマイシン添加飼料給与が雌鶏の下垂体前葉の性腺刺激ホルモン含量に及ぼす影響を明らかにするために, ミカマイシンを1ppmおよび10ppm添加した飼料を白色レグホーン種雌鶏に給与して, 3, 4, 5月齢に殺して下垂体前葉の性腺刺激ホルモン力価を中条•今井5,6) の chick assay 法により測定した。
    その結果, ミカマイシン添加飼料を給与した雌鶏においては下垂体前葉の性腺刺激ホルモン力価が, 4月齢および5月齢において増加していることが明らかになった。
    また下垂体前葉重量もミカマイシン給与によって増加することが明らかになった。
    各月齢の体重増加を考慮すると, 以上の性腺刺激ホルモン力価, 下垂体前葉重量の増加はミカマイシンの成長促進効果に由来するものではないと考えられる。
    従ってミカマイシン添加飼料の給与は雌鶏の下垂体前葉の性腺刺激ホルモンの含量を増加するものと推察される。
  • II. 液体窒素による新急速凍結法について
    渡辺 守之, 三浦 雅彦, 茂田 洋史
    1970 年 7 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1970/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    これまで著者らの行なって来た Dry ice alcohol および液体窒素 (LN2) による鶏精液の凍結保存においてはすでに報告した如く, 融解後かなり活発な運動力を示しているにもかかわらずその受精率は30%を越えず, 融解後の精子を顕微鏡下で詳細に観察すれば頸曲り現象を呈するものが非常に多いことがわかった。凍結過程において生ずると思われるこれら頸曲りを含む異常精子を少なくすることが受精率向上の一因と考えられるので, 若し鶏精子にDE SILVA (1961), 突永 (1968) らの報告している如く採取直後約15分間は温度の急激な変化にあってもショックを受けにくい前段の時期所謂 pre-shocking があるとすれば, この時期に凍結処理操作を完了することが必要であり, さらに渡辺 (1966) の成績ではグリセリン平衡時間は15分間の場合に64.2%と最高の蘇生率を示していることから, ここに以下のような新急速凍結法による保存試験を試みた。
    方法: 精液の採取に使用した雄鶏は7内至9ケ月令のWhite Leghorn 種の若雄5羽で, 採取法は山根ら (1962) の腹部マッサージ法により朝7時から8時の間に行なった。採取精液は直ちに含グリセリン7%稀釈液Aで4倍に稀釈して5°Cに15分間保持し, この間にストロー管に移して同管の閉封も行なう。その後LN2気化蒸気中に2分間予凍した後LN2中に浸漬して凍結を完了する。すなわち採精より凍結完了まで約17分間で処理完了するようにした。かような新急速凍結法と従来の旧凍結法により7日から62日間にわたる6回の凍結試験後それぞれ各サンプルを融解してその活力, 頸曲りを含む異常精子の出現状況につき500ケの精子について算定した。さらにこの新急速凍結法によって35日から95日間にわたって保存した精液を用いて授精実験を実施した。人工授精に使用した雌鶏は9内至10ケ月令の産卵成績良好な White Leghorn 種11羽である。
    結果: 上述の実験結果は次の如く要約される。
    1) 精液採取から凍結完了までわずか17分で完了する新急速凍結法によって7, 41, 46, 55及び62日間凍結した精子の融解後の平均活力は88.3%で, これは同じ操作を完了するのに約87分もかかった従来の方法により同期間凍結した精子の融解後の平均活力80.7%にくらべるとより活発である。
    2) 上述の融解精子の実験で本急速凍結法による neck-bending spermatozoa の平均出現率は14.9%で従来の凍結法による平均出現率29.0%にくらべると明らかな差異が認められた。
    3) 本法による1週目受精率は60.0%で従来の凍結法による30%以下の受精成績にくらべると飛躍的な向上を示し人工授精への実用化が期待される。
    4) 本法による受精卵の持続日数は平均6日, 最長10日であった。
  • 最近のデータによる再検討と短期検定記録利用の可能性
    西田 朗, 山田 行雄
    1970 年 7 巻 1 号 p. 30-38
    発行日: 1970/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1965年から1967年までにわが国の公立試験研究機関において行なわれた卵用鶏経済能力検定成績の分析からつぎのような情報が得られた。
    (1) 各形質の年次別平均値をみると, 270日, 300日齢までの産卵率, 飼料要求率の向上が顕著であるにもかかわらず, 500日齢までの産卵率, 飼料要求率および総生産卵重量については改善の傾向が認められず, 産卵のパターンが変化していることがわかった。
    (2) 各形質の相対的な経済的重要性は, 最も高いのが飼料要求率で以下, 産卵率, 生存率, 卵重, 育成率の順であった。この順位を前回の結果と比較すると, 産卵率と卵重の重要性が高まっている。初産日齢と体重との収益の分散に対する寄与は, ほとんど無視してよい程度のものであった。
    (3) 500日齢までの収益を推定するのに, 300日齢, 270日齢までに得れらた記録をもってしても, かなりの精度が得られる。しかし, もし部分記録のみを用いて, 500日収益の高い鶏群をえようとする時には, 強い淘汰は危険であるから, 実用上は, 1/2程度の比較的ゆるい淘汰が有効であろう。そうすることにより, 能力の低い鶏群を, 早い日齢で除外することができ, 鶏舎などの施設や労力, 飼料などをより有効に利用しうることとなろう。
  • 木村 正雄, 龜山 憲雄
    1970 年 7 巻 1 号 p. 39-41
    発行日: 1970/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏血漿エステラーゼ変異を支配する2つの遺伝子座位, Es-1Es-2の連鎖について検討した。その結果この2つの座位は同一の常染色体上に位置し, その距離は雄では0.0358, 雌では0.0047であった。出現することが予想される2つの交叉型の内の1つは検出することが出来なかった。
  • 吉田 実
    1970 年 7 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 1970/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Laying hens of 51-week-old and chicks of 3-week-old were frozen and chopped into homogenious chicken-burger. An aliquot of the sample was taken for chemical analyses of moisture, fat, protein and gross energy.
    The components of variance due to sampling error, σ2 and due to between-lot error, σL2 were estimated statistically from the data. The sampling error σ2 was found to be comparable to or somewhat larger than that of the error variance in chemical analysis of finely ground feed4). Therefore, the procedure of preparing the sample of carcass described in this paper is almost satisfactory.
    Average of gross energy in carcass fat of 35 estimates and in dry lean carcass of 28 estimates were 9.33 and 4.74kcal/g, respectively. Difference between carcass energy determined directly by bomb-calorimeter and that calculated from carcass fat and dry lean carcass was -0.0003kcal/g in average, suggesting that the calculation from carcass fat and dry lean carcass with caloric value mentioned above is quite reliable.
  • 1970 年 7 巻 1 号 p. 47-56
    発行日: 1970/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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