(1) 鶏痘予防接種の結果, 専用種と準専用種では, 発痘の状態に差を生じた。接種に際しては, 同一作業員が同一方法で行なっているので作業上の誤りとは考えられない。したがって, この差は雛の移行抗体による差であると思われる。発痘状態の悪かった準専用種においても, 実験期間中鶏痘と思われる個体は見られなかった。
(2) プログラムの違いによって, HI価は大きく異なってきた。不活化ワクチンを1.0cc接種した区は, ほとんどHI価が上昇しなかった。これに対し, スプレー方式によってB
1生ワクチンを接種した区は, 順調に抗体価が上昇し, 10週齢時においてもGM=21.4で, 高いH価を示した。またスプレーによる副作用は見られなかった。この結果, ニューカッスル病対策としては, No. 2のB
1生ワクチンスプレー方式の方が, 効果の大きいことが明らかとなった。
(3) Mg凝集反応を調査したが, No. 1, No. 2ともにすべて陰性であり, プログラムによる差を認めなかった。
(4) 育成率においては, プログラムによる差は見られなかった。これは, 病気の発生もなく比較的順調に経過したためであろう。しかしNo. 1の方にコクシジウムの症状と思われる個体が2羽でた。これはプログラムの違いによって生じた差と思われる。No. 1, No. 2ともに専用種には, ペローシスがでたが, これは, プログラムによる差ではなく, 品種によるものであろう。
(5) 飼料要求率は, 総平均で, No. 1とNo. 2の間に0.07の差があった。分散分析の結果, 統計的に有意な差とはならなかったが, No. 2の方が, 4群のうち3群まで, No.1を下廻る数値を示し, 衛生プログラムが完全に近い程, 飼料要求率も改善されるようである。これは, 雛の健康管理がうまくゆくためであろう。
(6) 10週齢体重は, No.2の方が総平均で30g多かった。体重のばらつき (変動係数) を調べたところ, すべてNo. 2の方が変動係数が小さく, 発育が斉一であることを示している。このような面にもプログラムの差がでているようである。
(7) 収支計算の結果, プログラムの違いによって1羽当りの収益には, 7.5円の差を生じた。分散分析の結果, 有意の差とはならなかったが, 薬品代の差を差引いてもなお収益が上廻ったことは事実である。
このため, ブロイラーの衛生プログラムを作成する場合は, No.1のような不完全なものより, No. 2のようにななるべく総合的なプログラムを考えるべきである。No. 1, No. 2とも比較的順調に経過しても収益に差がでたわけであるから, 万一病気が発生した場合は, プログラムによる差は, さらに大きくなるであろう。
以上のような結果から, ブロイラーの衛生プログラムとして, No. 1とNo.を比較した場合, No. 2のプログラムの方がよいことが明らかとなった。
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