国内4社で炭化水素に培養した酵母4種類および1社で亜硫酸パルプ廃液に培養した酵母2種類の有効エネルギーを, 肉用種雄および雌ヒナ計560羽を用いて生物定量法により測定した。この場合, 標準物質として, セルロース, 大豆油, 黄色トウモロコシおよび大豆粕を用いたが, その代謝エネルギーは, 風乾物1gあたり, それぞれ, 0, 9.21, 3.48および2.28kcal/gであった。
また, 26日齢から2日間, 排泄物を採取して, これらの酵母の代謝エネルギーと粗蛋白質の消化率を測定した。
4週齢および8週齢時の飼料効率, すなわち, 単位飼料摂取量あたりの増体量から計算した有効エネルギーと排泄物の化学的分析にもとずく代謝エネルギーとはよく一致していて, 両者の測定方法がいずれも信頼できるものであることを示した。
最高のエネルギー価は, 炭化水素酵母Aが示していて, 3.38kcal/g乾物であった。炭化水素酵母のエネルギー価は種類により異なっているが, 亜硫酸パルプ廃液酵母より高かった。
炭化水素酵母の粗蛋白質の消化率は, ほぼ一定のすぐれた値であって, 平均84%であった。
供試した6種類の酵母については, エネルギー価と粗蛋白質含量との間に高い相関が認められたが, エネルギー価と総エネルギーとの間には相関が認められなかった。この知見は, 酵母の蛋白質の消化率が高いという知見とあわせて, 酵母の栄養価を大まかに判断する指標として, 蛋白質含量が有効であることを示している。
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