日本予防理学療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-9950
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巻頭言
研究論文(原著)
  • 植田 拓也, 柴 喜崇, 鹿内 誠也, 土屋 彰吾, 畠山 浩太郎, 渡辺 修一郎
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 3 巻 2 号 p. 2-9
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    [早期公開] 公開日: 2023/11/27
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】早朝のラジオ体操会への参加による,地域在住高齢者の1 年後の身体機能,精神的健康度,社会的紐帯への効果を明らかにすることとした。【方法】ラジオ体操会に参加している地域在住高齢者(体操群)と同地域で開催した介護予防健診に参加し,傾向スコアマッチングで抽出された地域在住高齢者(コントロール群) 84 名を対象に,ベースライン及び1 年後調査で,体力測定,WHO-5 精神的健康状態表,Lubben social network scale 短縮版(以下,LSNS6)を聴取し,一般線形モデルの反復測定を用いて分析した。【結果】 5 m 最大・快適歩行時間,Timed Up and Go test, LSNS6 友人関係得点に測定時期と群間での交互作用が確認(p<.05)され,体操群で良好な結果を示した。【考察】早朝のラジオ体操会への参加は,歩行能力の維持と社会的紐帯の増加に効果があることが明らかとなった。

  • 福榮 竜也, 愛下 由香里, 宇都 良大, 小野田 哲也
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 3 巻 2 号 p. 10-17
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    [早期公開] 公開日: 2023/12/06
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】医療従事者を対象にCOVID-19流行前から流行中における運動習慣の変化と自己効力感の関連を調べた。【方法】2019年と2021年の調査に参加した77名を対象とした。月に数回以上運動習慣がある場合を運動習慣ありと定義した。COVID-19流行中の運動習慣を基に,運動習慣増加群,運動習慣変化なし群,運動習慣減少群の3群に分類した。各群,2019年度と2021年度の自己効力感を反復測定共分散分析にて比較した。(共変量:年齢,性別,医療職種)。【結果】運動習慣増加群は2021年度の自己効力感が有意に高値だった(p=0.004,F=3.750)。運動習慣変化なし群(p<0.001,F=6.122)および運動習慣減少群(p=0.008,F=3.229)は2021年度の自己効力感が有意に低値だった。【考察】COVID-19流行中に運動習慣を有することは高い自己効力感と関連する可能性がある。

  • 佐藤 瑞騎, 坂田 徳隆, 髙橋 真理子, 福岡 優佳
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 3 巻 2 号 p. 18-24
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    [早期公開] 公開日: 2024/03/09
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】急性期病院における転倒転落(以下,転倒)の特徴を経時的・診療科別の観点から明らかにする。【方法】対象は2017年から5年間に転倒した入院患者とし,性別,年齢,診療科,入院日,転倒日時,発生場所,行動目的を収集した。また転倒率,損傷発生率,転倒発生までの日数を算出した。さらに発生時間を6時から14時,14時から22時および22時から6時に分けて集計した。【結果】転倒は男性が常に過半数を占め,排泄関連で52.7%,ベッドサイドで59.6%が生じていた。また22時から6時の転倒は他の時間帯より多く発生し,緩和ケア科と整形外科は他の診療科より入院から転倒までの日数が長かった。また5年間を通じ転倒率,損傷発生率は全国平均より低く,緩和ケア科が最も高く推移した。【結論】性別,行動目的,発生場所,時間帯は先行研究を支持し,継続して転倒率の高い診療科や診療科毎の転倒時期に注意した対策が必要である。

症例報告
  • 佐藤 衛, 川口 晴美
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 3 巻 2 号 p. 25-32
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    [早期公開] 公開日: 2023/11/03
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】頻回な転倒を呈する在宅パーキンソン病(以下,PD)患者に対し,多職種による学際的アプローチが転倒回数に及ぼす効果を検討すること。【方法】X-18 年にPD と診断された70 歳代前半の女性。X 年Y 月より看護師による内服指導と理学療法士による自宅内の環境調整を行った。訪問は看護師が内服指導で週4 回,理学療法士が週3 回行った。内服や転倒状況,必要な福祉用具や適切な移動方法は多職種で情報共有を行い,転倒予防を図った。【結果】計 24 か月間の追跡期間中における総転倒回数は164 回であった。Y +11 月に台所と居間に手すりを設置した。経過とともに転倒回数が増え,Y +13 月には19 回転倒した。Y +14 月には緩下剤の内服を再開し,Y +15 月以降は転倒回数が9 回以下と約半数となった。【考察】PD 患者の在宅支援では,内服指導や疾患特性に応じた環境調整を行うなどの多職種による学際的アプローチが転倒予防に有効である可能性が示唆された。

  • ―予防を考慮したアプローチ―
    芝 寿実子, 近藤 颯人, 玉村 悠介, 吉川 創, 松浦 道子, 錦見 俊雄
    原稿種別: case-report
    2024 年 3 巻 2 号 p. 33-38
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    [早期公開] 公開日: 2024/02/08
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】閉塞性動脈硬化症により急性期病院で下腿切断に至った,非切断肢にも末梢神経障害を呈する患者に対し,理学療法を提供する機会を得た。本報告では,下肢切断症例を通して,その理学療法の治療と予防について考察することを目的とした。【症例】48歳,男性,閉塞性動脈硬化症による右下腿切断術後,回復期病院に転院となる。顕著な筋力低下や関節可動域制限はなかったが義足歩行は困難であった。【介入】小走り程度の義足走行獲得を目標としたバランス練習と歩行練習を行い,基礎疾患のコントロールと再発予防を目的とした患者教育を提供した。【結果】義足歩行と走行,一足一段での階段昇降が可能となり,自宅退院された。【考察】循環障害による下肢切断者の予後改善には,退院後も健康的な生活習慣の継続が必要であり,義足歩行獲得はその出発点と考えられた。 患者教育は,ヘルスリテラシーや予防のアドヒアランス向上を促進する可能性がある。

症例研究
  • 森田 智之, 横山 修, 村田 知之, 松田 健太
    2024 年 3 巻 2 号 p. 39-44
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    [早期公開] 公開日: 2024/03/16
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】片麻痺者と四肢麻痺者を対象として歩行の運動強度を特定することと,市販の活動量計が示す運動強度と呼吸代謝計測装置の値を比較して,活動量計が示す値の妥当性を検証することである。【方法】対象は屋外歩行が自立している片麻痺者と四肢麻痺者の計2名で,呼吸代謝計測装置と市販の活動量計を用いて快適歩行の運動強度を計測した。【結果】片麻痺者では,歩行速度0.54m/s,運動強度は呼吸代謝計測装置で3.8METs,活動量計で2.2METsだった。四肢麻痺者では,歩行速度0.66m/s,運動強度は呼吸代謝計測装置で3.0METs,活動量計で2.3METsだった。両者とも活動量計の運動強度は有意差に低かった。【考察】今回の対象者では健常者の通常速度よりも遅かったが,自覚的には快適歩行だったため同等の運動強度が得られた可能性がある。また市販の活動量計では障害特性に応じた歩容のため低値だったと考えられる。

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