食品照射
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50 巻, 1 号
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報文
  • 菊地 正博, 小林 泰彦
    2015 年 50 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/01
    ジャーナル フリー
    照射した牛生レバーからDNAを分離し,DNA中の酸化的塩基損傷である8-oxoGを抗8-OHdG抗体を用いてELISA法で検出した。その結果,冷蔵状態で照射した牛レバーの100 ng DNAに対するELISAの発光シグナル強度は,吸収線量の増加とともに増加した。一方,冷凍状態で照射された牛レバーを試料とした時,分離精製されたDNAに対するELISA法では,線量増加による8-oxoGの増加は見られなかった。このことは,凍結状態では照射によるDNA損傷の誘発が抑えられることを意味する。冷蔵状態で照射された牛レバーについてELISA反応のシグナル強度を非照射と比較することにより,照射の有無を判別できる可能性がある。
  • 菊地 正博, 小林 泰彦
    2015 年 50 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/01
    ジャーナル フリー
    生の牛レバーを氷上でガンマ線照射した後,牛レバーに残存する照射誘導ラジカルを液体窒素温度の電子スピン共鳴法で計測した。その結果,328±7.5 mTの磁場範囲で吸収線量に応じてピーク強度が変化するシグナルを見出した。メインピークの線量応答曲線は,5 kGy程度まで直線的に増加し,その後増加率は小さくなった。メインピークの低磁場側と高磁場側に存在するサイドピークは,約8 kGyまで直線的な線量応答を示した。動物の骨以外の組織から,照射誘導されるラジカルを直接検出できた。液体窒素温度でのESR法は,面倒なサンプル処理が不要で,すぐにESR計測が可能であるため,照射直後の牛レバーでは,照射の有無を判別する検知法として利用できる可能性がある。
  • 菊地 正博, 永田 夏樹, 菰田 聖一, 亀谷 宏美, 鵜飼 光子, 小林 泰彦
    2015 年 50 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/01
    ジャーナル フリー
    照射食品に誘導されたフリーラジカルの不対電子の緩和時間は,ラジカル相互作用の指標となる。連続波(CW-)ESRを用いる場合,1本線のピークではLund法のシミュレーションを用いる事ができる。複数ピークからなるCW-ESRスペクトルから緩和時間を求めるため,ピーク分離を行った。緩和時間はパルスESRで直接測定可能である。CW-ESRで複数ピークとなるスペクトルに対して,そのままLund法のシミュレーションを適用して,照射アミノ酸の緩和時間を求めたところ,パルスESRの測定結果とは全く異なっていた。複数ピークをもつ照射アミノ酸のスペクトルに対してGaussianピークとしてフィッティング後,それぞれのピークに対してLund法を適用して求めた緩和時間T2は,パルスESRで測定された値とよく一致していた。CW-ESRによる測定で,複数ピークをもつESRスペクトルが得られた場合,ピーク分離後にLund法を適用する解析法は,緩和時間を求める際に有効と考えられる。パルスESRで複数ピークが同じg値をもつ時,CW-ESRでラジカル構造を踏まえたピーク分離を行うと,簡単に緩和時間を求められると考えられる。
Note
  • 亀谷 宏美, 萩原 昌司, 等々力 節子
    2015 年 50 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/01
    ジャーナル フリー
    電子スピン共鳴(ESR)法による照射香辛料の検知には,照射セルロース由来のサイド信号が利用される。サイド信号は,有機フリーラジカル由来の1本線信号(g≒2.00)の両サイドに観測される2つの信号である。サイド信号は信号強度が微小なため,1本線信号の線幅が広いと覆われて観測できない。本研究では7種の香辛料(オレガノ,バジル,パセリ,コリアンダー,クミン,白コショウ,黒コショウ)を対象に, 1本線信号の線幅が狭く,サイド信号を明瞭に観測できる条件を選定した。その結果,マイクロ波パワーは,バジル,パセリ,オレガノ,コリアンダー,クミンは4 mW,白コショウ,黒コショウは8 mWが最適条件であった。また,すべての香辛料で磁場変調 4 G,時定数 20 msが最適な条件と結論した。
総説
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