照射食品に誘導されたフリーラジカルの不対電子の緩和時間は,ラジカル相互作用の指標となる。連続波(CW-)ESRを用いる場合,1本線のピークではLund法のシミュレーションを用いる事ができる。複数ピークからなるCW-ESRスペクトルから緩和時間を求めるため,ピーク分離を行った。緩和時間はパルスESRで直接測定可能である。CW-ESRで複数ピークとなるスペクトルに対して,そのままLund法のシミュレーションを適用して,照射アミノ酸の緩和時間を求めたところ,パルスESRの測定結果とは全く異なっていた。複数ピークをもつ照射アミノ酸のスペクトルに対してGaussianピークとしてフィッティング後,それぞれのピークに対してLund法を適用して求めた緩和時間
T2は,パルスESRで測定された値とよく一致していた。CW-ESRによる測定で,複数ピークをもつESRスペクトルが得られた場合,ピーク分離後にLund法を適用する解析法は,緩和時間を求める際に有効と考えられる。パルスESRで複数ピークが同じ
g値をもつ時,CW-ESRでラジカル構造を踏まえたピーク分離を行うと,簡単に緩和時間を求められると考えられる。
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