分娩後30日以降に,卵胞発育障害と診断された乳用牛5頭の卵巣の変化をおよそ3週間にわたり,超音波画像で観察した.その結果,3頭の卵巣に卵胞ウエーブ様の形態学的な変化が映像化された.また,中途で黄体形成を認めた1頭を除く,4頭の血漿中P
4濃度は1.0 ng/ml以下で推移した.2~3日間の連日人工授精後,排卵障害と診断された乳用牛5頭の卵巣に直径1.0~2.0 cmの卵胞が映像化され,そのうちの2頭にはややエコー輝度の高い黄体が共存し,血漿中P
4濃度は1.0 ng/ml以上であった.しかし,超音波画像でも成熟卵胞と変性卵胞との識別は困難であった.思牡狂症状型の卵胞嚢腫と診断された乳用牛3頭の卵巣を10日間隔で30日間にわたり,超音波画像で観察した.全頭で新たな卵胞の異常発育と退縮がみられ,卵胞ウエーブ様の変化の存在を窺わせた.しかしながら,嚢腫卵胞にある顆粒層細胞の増殖,変性,消失などは映像化されなかった.血漿中P
4濃度はhCG10,000 IU投与後,2頭で上昇を認めた.
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