家兎307頭を川いて,種々の偽妊娠stageのものをつくり,未受精卵子の移植を行なって,偽妊娠stageの受精に及ぼす影響を検討した。
1.Native ovaの黄体数に対する採卵率(採卵は偽妊娠stage+12時間で行なう),偽妊娠1/2~1日,11/2日,2日において,それぞれ92~94%,59%,43%であり,子宮を結紮した偽妊娠2日から6日のものでは,ほぼ一定して60~70%の割合で採卵される。また11/2日では約半数,2日で約80%,以後殆んどすべての卵子は子宮から採卵された。
2. Alien ovaの採卵率は(採卵は移植後12時間で行なう),偽妊娠stag1/2~1日,11/2日,2日のもので,それぞれ94~95%,83%,49%1であり,移植前子宮を結紮した2日から6日までのものでは,ほぼ一定して70~80%の割合で採卵出来た。しかしながら,子宮から得られる卵子の割合は1日まで0%,11/2日で23%,2~3日で70%前後と増すが,4日では34%と減少し,5~6日では殆んどすべての卵子は再び卵管から採卵された。
3.偽妊娠の1/2日,1日, 11/2日,2日で卵子を移植したときの受精率は,それぞれ89, 86, 71, 44%であり,移植前子宮を結紮した2日,3日,4日,5日及び6日のものでは,それぞれ26~33%,12~14%,18~22%,4及び2%であった。受精卵子の発育stageは,接近又は融合した前核の状態,2-ce11及び4-cellstageであったが,11/2日以後のものにおいて,4-cell stageのものがみられず分割卵子の割合が低かつた。
4.以上の結果から,偽妊娠のstageがすすむと共にみられる急激な受精率低下の原因は精子の上走困難と,急速な卵子下降に基ずくものであると考えられる。また過排卵処置牛における低受精率の原因も,ほぼ同様の理由に基ずくものであろうと推測される。
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