家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
11 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 石橋 功
    1965 年 11 巻 3 号 p. 73-81
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    家兎307頭を川いて,種々の偽妊娠stageのものをつくり,未受精卵子の移植を行なって,偽妊娠stageの受精に及ぼす影響を検討した。
    1.Native ovaの黄体数に対する採卵率(採卵は偽妊娠stage+12時間で行なう),偽妊娠1/2~1日,11/2日,2日において,それぞれ92~94%,59%,43%であり,子宮を結紮した偽妊娠2日から6日のものでは,ほぼ一定して60~70%の割合で採卵される。また11/2日では約半数,2日で約80%,以後殆んどすべての卵子は子宮から採卵された。
    2. Alien ovaの採卵率は(採卵は移植後12時間で行なう),偽妊娠stag1/2~1日,11/2日,2日のもので,それぞれ94~95%,83%,49%1であり,移植前子宮を結紮した2日から6日までのものでは,ほぼ一定して70~80%の割合で採卵出来た。しかしながら,子宮から得られる卵子の割合は1日まで0%,11/2日で23%,2~3日で70%前後と増すが,4日では34%と減少し,5~6日では殆んどすべての卵子は再び卵管から採卵された。
    3.偽妊娠の1/2日,1日, 11/2日,2日で卵子を移植したときの受精率は,それぞれ89, 86, 71, 44%であり,移植前子宮を結紮した2日,3日,4日,5日及び6日のものでは,それぞれ26~33%,12~14%,18~22%,4及び2%であった。受精卵子の発育stageは,接近又は融合した前核の状態,2-ce11及び4-cellstageであったが,11/2日以後のものにおいて,4-cell stageのものがみられず分割卵子の割合が低かつた。
    4.以上の結果から,偽妊娠のstageがすすむと共にみられる急激な受精率低下の原因は精子の上走困難と,急速な卵子下降に基ずくものであると考えられる。また過排卵処置牛における低受精率の原因も,ほぼ同様の理由に基ずくものであろうと推測される。
  • 山内 昭二, 中間 実徳
    1965 年 11 巻 3 号 p. 82-85
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1. A morphological study was carried on testes of four goats which had been affected with lumbar paresis (cerebrospinal filariasis) in their history. When autopsied, the macroscopic changes were observed rather likely normal in the testes of three goats, except possible few slight changes in weight, size, and color. However, in one case a deposition of crystalline material was found macroscopically. In the histological examination four goats had seminiferous tubules ranging from 184μ it to 219μ it in diameter. The crystalline material was proved to be calcium and the deposited area was found to be a seminiferous tubule itself.
    2. Spermatogenic destruction was commonly observed in four cases though a degree of degeneration seemed to be variable from area to area even in one case. Beside the exfoliation of germ cells, karyolytic and multinucleate spermatids were frequently observed and binucleate spermatocytes were also encountered. Many tubules which lost the germinal epithelium completely were found.
    3. An increased quantity of lipid material was found in many seminiferous tubules especially in those containing cell debris. The lipid in Sertoli cell seemed to be also increased than the normal. The interstitial tissue was found to be little changed from the normal. Those changes enumerated are fibrosis of connective tissue and an increase of lipid material.
    4. Whether the destruction of spermatogenesis described here should be regarded as sequelae originating from the lumbar paresis (cerebrospinal filariasis) or the sequence of the side effects originating from piperazine-derivative and/or antimony agent which had been administered for treatment is not clarified.
  • 新林 恒一, 小笠 晃
    1965 年 11 巻 3 号 p. 86-90
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.精管結紮,非結紮牛にestradiol berzoateを投与した場合,精漿中遊離アミノ酸がいかなる影響をうけるかを検討した。ホルモン処置をしない場合の精漿中遊離アミノ酸パターンは血漿中のそれとかなり異なっており,とくにグルタミン酸が多く,グリシンはそれ程多いアミノ酸でない点が異なっていた。結紮によって,大部分のアミノ酸濃度は著しく減少した。
    2.結紮牛におよぼすホルモンの影響については,E.B.1mgでは一般的に増加,2mgでは減少,6mgではアラニン,バリン,アルギニンは著しく減少したが,他のアミノ酸はほとんど変化しないか,増加の傾向を示した。
    3.非結紮牛にっいては,E.B.6mg投与を行なったが,一般に1/2~1/3に濃度が減少した。個々のアミノ酸についてみると,必須アミノ酸の減少が著しく,非必須アミノ酸の減少は軽度であった。
    4.去勢牛2頭に一定量のtestosteroneを注射しながら,E.B.のアミノ酸レベルにおよぼす影響を調べた結果,E/T=1/20量のE.B.(5mg)によってアミノ酸レベルが低下することが明らかになった。したがって,アミノ酸レベルもandrogenとestrogenの量的関係によって影響されるように思われた。
  • 花田 章, 広江 一正, 富塚 常夫
    1965 年 11 巻 3 号 p. 91-94
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1)各DNA量の異なる3頭のホルスタイン牛精子を,in vitroで老化促進ないし死滅させた場合の精子核DNA量に現われる影響を調べた。対照として同一一射精液の5°C保存精子を用い,顕微分光測光法により測定した。
    2)50°C,5時間の加温で死滅した精子のDNA量は明らかに減少したが,低温衝撃による死滅精子では変化がみられなかった。
    3)37°C,3~5時間の嫌気的および好気的処置による,老化精子のDNA量は個体によって異なる変動を示した。3頭の中で,最高のDNA量を有する牛Aの精子では老化による変動がみられなかったが,最低のDNA量を有する牛Cの精子では,両処置により減少した。これら2頭の中間に位するDNA量を有する牛Bの精子では,好気的処置により減少がみられた。
  • 広江 一正, 富塚 常夫
    1965 年 11 巻 3 号 p. 95-99
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1.牛精漿中の化学成分含量の測定を行なった。果糖713±246.0,総窒素813±167.0,アスコルビン酸8.6±1.52,酸溶性総リン35.3±6.34,カルシウム30.9±11.05.ナトリウム267±39.8,カリウム124±61.1,および塩素154±26.9mg/100ml精漿。また同時に山羊,馬,豚,兎についても測定を行なった。
    2.牛精漿中の総窒素,アスコルビン酸,酸溶性総リン,カルシウム,ナトリウム,カリウムでは果糖と同じく季節的な量的変化は見られなかった。
    3.3回続けて精液採取を行なったある1頭の牛の例では,果糖および総窒素は次第に増加の傾向を,アスコルビン酸,酸溶性総リン,カルシウムは次第に減少の傾向を示した。
    4.尿導球腺液および精のう液についてその化学成分含量の測定を行なった。尿導球腺中の成分含量は精液に比べて非常に少なかったが,精のう液中の成分含量は精液中の含量よりも若干多かった。このことは電気刺激射精法で採取した精液中には尿導球腺液が混入していることを示すものと考えられた。
  • 三宅 勝, 小野 斉, 西根 時雄, 高橋 正一, 鈴木 純, 堀内 英雄, 今井 勝美
    1965 年 11 巻 3 号 p. 100-102
    発行日: 1965/11/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    北海道上士幌町において2ケ年にわたり主として低受胎牛を対象に巻牛による受胎試験を実施した所,昭和38年は88頭中67頭(76.1%),39年は77頭中62頭(80.5%)が受胎した。この成績はほぼ同じ頃に人工授精された含飼牛の受胎率61%及び60%に比較するとかなり良いものである。この様に巻牛による受胎試験が良好な成績を収めた理由は試験雌牛の栄養が急激に改善し,生殖器の機能が活発となり,自由交配によって適期種付けが行なわれたためである。
feedback
Top