家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
2 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 藤本 胖
    1957 年 2 巻 3 号 p. 85-89
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    以上の成績を総括すると次の通りである。
    1)臨床上大半不妊の故を以つて廃用とされた,比較的臨床経歴の詳しい牝牛生殖器87例(A群)を基とし,屠殺牝牛286例(B群)を対照として計373例につき病理形態学的立場より不妊原因を検討した。
    2)器質的疾患としてはA群に於て慢性カタール性子宮内膜炎(44.8%),卵巣嚢腫(40.2%),慢性カタール性膣炎(36.9%),卵巣の小嚢胞性変性(26.4%),慢性カタール性頸管炎(24.1%),輸卵管水腫(9.2%),子宮周囲炎(6.9%),子宮内膜嚢胞性増殖(6.9%)等が高頻度に認められた。
    3)B群に於ては膣炎(43.4%),卵巣嚢腫(18.5%),膣の嚢胞形成(11.8%),子宮内膜炎(10.8%),頸管炎(9.8%),卵巣の小嚢胞性変性(8.0%),輸卵管周囲嚢腫(7.1%),子宮内膜の嚢胞性増殖(5.2%),黄体嚢腫(4.5%),膣嚢胞性腺腫(3.9%)等が高頻度病変として確認された。
    4)特に興味を惹いたのは比較的高頻度に認められた卵巣の小嚢胞性変性で,不妊牛(A群,26.4%)に多く,性周期を乱す不妊の一因子と考えられた。
    5)次に卵巣嚢腫と子宮内膜炎を除くと,輸卵管病変が不妊の重要因子と考えられ高頻度に認められた。臨床上癒着と見做された子宮周囲炎は又臨床病理学的に重要と考えられる。
    6)子宮内膜の嚢胞性増殖は卵巣嚢種と関係があると解されたが,慢性カタール性子宮内膜炎については今後の検討を必要とする。
    7)膣炎及び頸管炎が予想以上に高頻度であつた。
    8)不妊症解明に当つては今後器質的疾患はもとより,広く臨床,病理,細菌,化学,卵巣を中心とした内分泌学及び遺伝学的に検討を必要とする。特に非伝染性疾患にもとずく全身性栄養不良,全身性内分泌機能障碍,全身性疾患の部分症,素因等の問題を深く掘下げて追求する必要があると考えられる。
  • 清水 寛一, 鵜上 三郎, 山本 泰, 大久保 瑛一
    1957 年 2 巻 3 号 p. 90-92
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
  • 森 彰
    1957 年 2 巻 3 号 p. 93
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
  • 森 彰
    1957 年 2 巻 3 号 p. 94-97
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1) ドブネズミ雄の性成熟は,体重84~95g,体長14.3~16.6cm,精巣重量0.3~0.4g,同長径1.1~1.3mの頃からはじまる。クマネズミではドブネズミよりも少くて,各々について71~87g,13.0cm,0.4g,1.3cmの頃にはじまる。ラツトでは同じく50~90g, 13.7~14.3cm, 0.3~0.4g,1.2~1.3cmの頃に開始され,ドブネズミよりも少い。
    2)体重と精巣重量との関係では,体重に比した精巣重量はクマネズミ最も多く,ラツト之に次ぎ,ドブネズミが最も少い。
    3)ドブネズミ雌の性成熟は体重73~128g,体長14.7~17.8cmからはじまる。クマネズミでは夫々65~107gと12.7~15.9cmからはじまり,ラツトでは各々74~92g,13.7~15.4cmからでドブネズミよりも少い。
    4)雄雌における之等性成熟における諸差異は,ドブネズミとクマネズミでは種的差異によるものであり,ドブネズミとラツトでは環境並に栄養条件等の差によるものと考える。
  • 森 彰
    1957 年 2 巻 3 号 p. 98-100
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    山羊•和牛及びRattus属の着色副精巣を観察し次の様な結果を得た。
    1)低栄養による繁殖障害と考えられる成牡山羊で「着色副精巣頭部」を観察した。
    2)このものの精巣と着色副精巣頭部の頭毛上皮細胞は共に退化し,この頭部内に「微小運動体」が見られ,又上皮細胞内には「eosin好染性穎粒」が存在した。
    3)これらの諸現象は低栄養による繁殖障害において特に伴う現象と考える。
    4)しかしこれらの現象の由つて起る原因,夫々の性状と意義並に相互の関連等については何等明かにしえなかつた。
    5)正常若牡山羊でも着色副精巣頭を見たが,この場合は「melanin性色素体」によるもので,生殖腺の退化はない。
    6)同様に和牛でも見たが組織の退化はなかつた。しかし着色頭部内には「微小運動体」があつた。
    7)Rattus属においても性腺の退化を伴わない着色副精巣頭を有する多くの個体を見た。
  • 丹羽太 左衛門, 瑞穂 当, 副島 昭彦
    1957 年 2 巻 3 号 p. 101-102
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    精子数の算定と異常精子検査用の簡易染色液としては,0.7~0.85%食塩水,または3.0~3.5%クェン酸ソーダにゲンチアナ•バイオレット(Gentian violet)を飽和(大体0.05%見当)に溶解し,これに極く少量のアルコールを添加した染色液が最もよい。
  • 丹羽太 左衛門, 瑞穂 当
    1957 年 2 巻 3 号 p. 103-104
    発行日: 1957/03/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    豚精液に18種のアミノ酸を加えて,精子の生存時間,生存率並びに運動力に及ぼす影響を試験した結果は次のようである。
    1)精清を除去した濃厚精液及び分離採取した濃厚精液について行つた試験では,dl-バリン,グリシン,タウリン等がすぐれ,l-グルタミン酸,dl-アラニン,l-アルギニン等がこれについでよかつた。
    2)精液に卵枸糖液を混合したものについて行つた試験では,タウリンが最もよく,dl-バリン,dl-アラニン,dl-メチオニン,グリシン,l-アルギニン,味の素等がこれに次いだ。しかし,卵黄及び糖類を含まないものに比べると,対照との差は著しくなかつた。
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