造精機能障害のある雄緬羊3例についてヨードカゼインの投与を行なつたが,そのうち第1例の精子希少症に対してはヨードカゼイン単用のみで著しい効果を認めた。他の2例はともに精子欠如症であつてヨードカゼイン投与は全く効果なく,さらに性腺刺戟ホルモンを併用しても同様無効に終つた。今回の試験において睾丸のBiopsyを行なつて組織学的所見を明らかにしえなかつたのは遺憾であるが第1例のように性欲減退,精子活力不全,崎型率の増加などを伴なつて精子数希少となり種付供用不能となつたものが速やかに回復し繁殖への供用可能となつたことは示唆にとむものと考えられる。
また,野外で繁殖に用いていた種雄緬羊が交尾欲不全,精子希少に陥つて授精能力が低下し,受胎率7%,43%となつた2例について試みた結果では性欲,乗駕欲とも旺盛となり精液性状も回復してそれぞれ83%,87%の受胎率に達することができた。
以上の結果から造精機能減退をきたした緬羊に対してヨードカゼインを投与することにより繁殖能力を回復させうることがわかつた。
将来この種の症例治療に際してはヨードカゼインの投与を一度は試みてもよいものと考えられる
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