家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
26 巻, 2 号
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  • 原田 利幸
    1980 年 26 巻 2 号 p. 61-64
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    直腸検査による卵巣の触診ならびに腔検査による子宮頸管の状況と腔粘液などの所見から,黄体遺残症または黄体のう腫と診断した牛に対し,PGFanalogue (ONO1052) 800μgを臀啓部筋肉内に注射し,発情の誘発を試み,誘発された発情期に授精を行いつぎの成績をえた。
    1.処置頭数は72頭で,発情誘起率は93.1%であった。誘起された発情期に65頭が授精できたが,受胎率は70.8%であった。
    2.発情徴候の悪いもの(C区)の受胎率が90.9%で最も高く,ついで良好なもの(A区)が875%,A区よりやや劣るが良好なもの(B区)が62.2%であった。
    処置後初回の授精時の卵胞の大きさと受胎率の関係では,直径約5mm以下の小卵胞のものでは93.3%で最も高く,ついで10mm前後の中卵胞では62.5%,約20mmに近い大卵胞では44.4%であった。
    3.処置から排卵までの日数と受胎成績の関係では,5日のものが27頭で最も多く,このうち21頭(77.8%)が受胎した。4日のものは19頭でこのうち13頭(68.4%)が受胎した。6日のものは8頭でこのうち6頭(75.0%)が受胎した。ついで3日のものは2頭とも受胎した。以上のほか8日のもの1頭は不受胎,9,10,12日の各1頭はいずれも受胎した。
  • 金田 義宏, 百目鬼 郁男, 加茂前 秀夫, 中原 達夫
    1980 年 26 巻 2 号 p. 65-68
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    授精後207~356日において,子宮内にミイラ変性胎児が確認された4頭の牛に,prostaglandin F。(PGF)を投与して胎児の排除を試みた。その結果,PGF。10mgを48時間間隔で2回分割子宮内注入した1頭では,処置後73~96時間の間に胎児が自然排出された。また,PGF15 mgを1回または2時間間隔で2回分割筋肉注射した3頭のうち,PGFを単独投与した1頭では処置後61時間,PGF投与時あるいはその24時間前にestriol 50 mgを投与した2頭では,いずれも処置後54時間に用手法により胎児を摘出することができた。
  • 三宅 陽一, 石川 恒, 河田 啓一郎
    1980 年 26 巻 2 号 p. 69-73
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    牛のフリーマーチンの臨床的早期診断法の精度を知る目的で,末梢血中の白血球細胞の性染色体キメラの有無と腟の長さおよび外陰部の形状について比較検討した。用いた材料は出生後2週間以内の33例の牛の異性双児の雌で,同性双児の1例および5例の単胎雌をその対照群とした。
    腟長が7.5cm以下の異性双児雌の24例では,たとえ外陰部の形状が正常に近いものであったとしても,染色体分析の結果ではXX/XYキメラを示すことが認められた。しかしながら腟長が10~15cmの異性双児雌の9例のうち5例ではキメラが認められず,分娩が確認された。しかし残りの4例ではXX/XYキメラが認められた。対照群の膣長は11.5~16.5cmで,染色体分析の結果,XX/XYキメラは認められなかった。
  • 泉 徳和
    1980 年 26 巻 2 号 p. 74-76
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    牛陰茎の末梢神経線維や終末を染色するために瀬戸氏鍍銀染色法を改良した。
    この改良染色法は牛陰茎の末梢神経線維や終末の検出に優れた方法であることが示されたが,豚への応用は不可と判定した。
  • 定免 昌臣, 中尾 敏彦, 角田 修男, 河田 啓一郎
    1980 年 26 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    豚の血清中PのEIAを行った。測定i操作はP標準液(メタノール)より,0,25,50,100,200,500および1,000pgを小試にとり乾涸後, bufferを0.1ml加える。別に可検血清0.05-0.1mlを小試験管にとり20倍量の石油工一テルで抽出し,エーテル層を別の小試験管に移して乾澗後,buffer 0.1 mlを加える。次にAPS(×7,500)0.1mlを加え,室温で3時間放置後,P-β-Gal (×100)を0.1 ml加え,室温でさらに3時間放置後,ARGS(×40)を0.1ml加え,4°Cで一夜放置する。3,500rpmで20分間遠心し,上清を捨て沈殿物をbufferで1回洗浄後2mlのbufferに浮遊させ,酵素活性を測定する。
    測定結果は回収率89.47±9.82%(mean±S.D.),測定内および測定間変動係数は共に10%以下,またRIAとの相関も良好(γ=0.96)であった。さらに本法はRIAに比べ設備面の制約も少ないので豚においても実際的日常的測定法として十分応用できるものと考えられる。
  • 湊 芳明, 豊田 裕
    1980 年 26 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    JCL-ICR系の17,19,21,23,25または27日齢の幼若マウスにPMSG-HCG投与またはPMSG単一投与によって排卵を誘起し,排卵卵子の成熟分裂の段階を調べた。さらに,体外受精法によって受精能力を検討した。排卵卵子の中には第2成熟分裂中期に達しない段階,すなわち,卵核胞期,第1成熟分裂の前中期,中期または終期の段階で排卵された未熟卵子が認められ,特に,これらの未熟卵子の出現は21日齢区に集中していた。授精後4~5時間の受精判定の時点で,いずれの日齢においてもほぼ100%近い卵子において透明帯への精子侵入が認められたが,未熟卵子では卵細胞質と精子との融合が起こらない(卵核胞を有する卵子)か,精子頭の雄性前核への発達が起こらず(第1成熟分裂前中期から終期の卵子),これらの卵子を含めて,雄性前核の発達が不十分な受精卵が,17,19及び21日齢区において23日齢以上の区に比して有意に高い割合で観察された。
  • 新村 末雄, 石田 一夫
    1980 年 26 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1細胞期から胞胚期までのマウス,ラット及びモルモットの卵子について,Δ5-3β-HSD(基質DHA,pregne-nolone),17β-HSD(基質estradiol-17β),NADH2-DH,NADPH2-DH及びG-6-PDHを組織化学的に検出した。得られた成績の概要は次の通りである。
    マウスとモルモットの卵子において,DHAまたはpregnenoloneを基質としたΔ5-3β-HSDとestradio1-17βを基質とした17β-HSDの活性は4または8細胞期に低下したが,1細胞期から胞胚期まで常に観察された。ラットの卵子において,DHAまたはpregnenoloneを基質としたΔ5-3β-HSDの活性は1細胞期から胞胚期まで常に見られたが,桑実期と胞胚期で弱くなった。estradiol-17βを基質とした17βHSDの活性は1細胞期から4細胞期までは認められなかったが,8細胞期に初めて出現し,その活性は胞胚期まで持続していた。NADH2-DHとNADPH2-DHの活性は,いずれの動物においても1細胞期から胞胚期まで常に認められた。G-6•PDH活性はマウスとモルモットでは1細胞期から胞胚期まで常に見られたが,ラットでは検出されなかった。
  • 宮野 隆, 佐藤 英明, 入谷 明
    1980 年 26 巻 2 号 p. 94-97
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    マウス胎盤の特異抗原とその抗体の妊娠におよぼす影響を調べた。妊娠14~15日の成熟雌マウスから胎盤を摘出し,ガラスホモジナイザー及びソニファイアーによりホモジナイズした後遠沈し,上清を同量のフロイント完全アジュバントとともに10日間隔で6回にわたって雌ウサギに免疫注射し,最終免疫注射の10日後に採血して抗マウス胎盤血清を得た。この抗血清を用いて,胎盤抗原の他の臓器抗原との共通性及び特異抗原性を免疫電気泳動法を用いて調べた結果,胎盤中には多数の他の臓器との共通抗原の存在することが明らかにされた。抗血清を腎臓及び肝臓で吸収させたところ,胎盤中には少くとも3種の特異抗原の存在することが明らかにされた。未吸収及び腎臓•肝臓吸収抗血清より抗体を精製し,妊娠マウスに受動免疫し,妊娠におよぼす影響を調べたところ,標準ウサギ血清を注射したものでは正常な妊娠を示したが,抗胎盤抗体を注射したものでは,妊娠はその初期段階で顕著に阻害された。
  • 堀内 俊孝, 高橋 寿太郎, 菅原 七郎, 正木 淳二
    1980 年 26 巻 2 号 p. 98-99
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ラット受精過程のうち,精子頭部が卵細胞に接触後,卵細胞質突起で覆われるまでの過程を走査型電顕で観察した。精子頭部は卵細胞に接触後,線維状に伸びた卵子微絨毛によって巻き込まれていた。微絨毛は規則正しく糸巻き状を示し,特に赤道域中央付近で多く認められた。その後,微絨毛によって捕獲された精子頭部は卵細胞質突起によって覆われる。
  • 小野 浩臣, 重盛 正彦, 若藤 靖匡, 上松 嘉男, 今道 友則
    1980 年 26 巻 2 号 p. 100-102
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
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