家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
33 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 松本 和也, 三宅 正史, 内海 恭三, 入谷 明
    1987 年 33 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1987年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ラット,ヤギおよびウシの胚盤胞を眼科用メスの先端をさらに研磨し改良した金属刃を使って切断2分離を行い,体外培養後0.5時間から3時間にその分断胚の発育状態を検討した。
    1.ラット,ヤギおよびウシのいずれの胚も高率に切断2分離することができた。しかし,ヤギの初期胚盤胞は透明帯が硬く,均等分断が困難であった。
    2.ヤギにおいては透明帯が柔軟になる後期胚盤胞の時期に分断した場合,内細胞塊を著しく損傷させることなく切断2分離できることが明らかになった。
    3.培養後の2分離胚の発育率は,ヤギ(6/6,100%),ウシ(10/13,77%)の胚にくらべてラットでは低かった(29/62,47%)。
    以上の結果より,本実験に用いた金属刃による透明帯上からの切断2分離は,透明帯除去および胚の吸引保定の必要性がなく,簡易で再現性の高い方法であって,ヤギやヴシ胚で透明帯が軟化した時期に適用する場合良好な結果が得られることが示唆された。
  • 新村 末雄, 今村 憲吉, 後藤 信男, 石田 一夫
    1987 年 33 巻 1 号 p. 6-10
    発行日: 1987年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ハタネズミの卵母細胞と胚の細胞質と透明帯は常にアクロレイン•シッフ反応陽性のタンパク質を含んでいた。過沃素酸•シッフ反応陽性唾液消化試験抗性の中性多糖類は細胞質には検出されなかったが,透明帯にはいずれの時期のものにも観察された。胞状卵胞の卵母細胞と胚の細胞質はアルシアンブルー好性の酸性多糖類を含んでいた。この物質は卵母細胞の透明帯にはみられなかったが,胚のものには含まれていた。卵母細胞と胚の細胞質は常に少量のグリコゲン穎粒を含有していた。胞状卵胞の卵母細胞と胚は少量の脂質小滴を含有していた。
  • 藤原 昇, Roger B BUCKLAND
    1987 年 33 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 1987年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    精子の耐凍性を指標に選抜した雄鶏および通常の雄鶏から採取した精液を,-70°Cまで1°C/分ならびに6°C/分の冷却速度で凍結した場合の精子の受精能力を比較検討した。選抜した雄鶏の精液を1°C/分の速度で-70°Cまで凍結した場合に,最も高い受精率が得、られた。一方,6°C/分の速度で冷却した場合には,二つの雄鶏精液間に受精率の差は認められなかった。
    これらの結果から,精子の耐凍性を指標にして雄鶏を選抜することができること,また鶏精液の凍結の際は,冷却速度は1°C/分が適正であることが推定された。
  • 中村 公章, 角田 幸生
    1987 年 33 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 1987年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    CD-1系マウスの受精卵を体外で培養すると2細胞期で発生を停止する。一方この2-cellblockの現象は,F1マウスの受精卵では見られない。このような差が何に由来するのかを検討するために,卵子の前核と細胞質に注目し,両系統間で前核置換および細胞質の融合を行なうことによって2-cellblockを制御している要因について検討した。
    その結果,体外での2-cell blockを支配する要因は,前核よりもむしろ細胞質内に存在することまた2-cellblockを克服するための細胞質因子は2細胞期に出現することが明らかとなった。
  • 加藤 泰之, 角田 幸生
    1987 年 33 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1987年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    本実験ではマウス細胞期胚の割球融合を指標に電気融合の処置条件を検討した。得られた結果の概要は次の通りである。
    最も高い割球融合率(238/328。73%)ならびに胚盤胞への発生率(193/238,81%)は,1.0kV/cmの電圧を150~200μsec2回通電した場合に得られた。融合率および発生率は,用いた反応液•反応液の温度ならびにマウスの系統によって大差がみられなかった。融合処置によって1細胞期状となった2細胞期胚は無処置胚に比較して1ステップずつ遅れて分割し,4細胞期でコンパクションを生ずることが明らかとなった。
  • 星 雅樹, 二宮 隆, 斉藤 康成, 結城 惇
    1987 年 33 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 1987年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ヒトアデノウイルス12型EIA遺伝子を含むpSV2-gpt-gElADNAおよびcharono110-gElA-2DNAをマウス受精卵に注入し,合計6匹のトランスジェニック(Tg)マウスを得た。サザン法によるDNAの解析の結果,4匹は注入されたDNAが2コピー以上tandemにhead-to-tailの形でマウス染色体に組み込まれていた。3匹のTgマウスは,その子孫へ注入DNAを伝達したが,伝達のパターンはそれぞれ異なっていた。一部のTgマウスの臓器タンパク質を二次元電気泳動によって解析した結果,EIA遺伝子によるマウス遺伝子の発現制御を示唆する結果が得られた。
  • 森 裕司, 武富 敏郎, 溝本 佳史, 星野 邦夫
    1987 年 33 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 1987年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    外生的ステロイドホルモンのプログラム投与によるシバヤギ排卵前期様内分泌動態の誘起••森裕司•武富敏郎•溝本佳史•星野邦夫(東京農工大学家畜臨床繁殖学教室)一皮下インプラント処理によりプロゲステロン(P)とエストラジオール(E2)を10日間前感作させた卵巣摘出シバヤギに対して,頸静脈カテーテルよりE2溶液を60時間にわたって漸増投与(毎時0.5-5.0μg)し,黄体退行からLHサージ成立にいたる間の血中ステロイドホルモン動態を再現した。その結果,正常性周期中と同様なLH分泌動態および発情行動が誘起され,生殖内分泌機構研究における実験モデルとしての有用性が示された。
  • 三宅 陽一, 金田 義宏, 金川 弘司
    1987 年 33 巻 1 号 p. 41-43
    発行日: 1987年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    無形無心体と共に生れた雌牛3頭の血液を培養して,細胞遺伝学的な検索を行った。その結果, 2頭に性染色体キメラ(XX/XY)が認められ, 臨床的な観察はできなかったが, フリーマーチンと診断された。他の1頭は雌型の染色体構成(XX)のみを示し, のちに子牛を分娩したことから正常雌と判定された。
    これらのことから, 牛では異性双胎, 異性多胎および単胎雌でのフリーマーチンの発生に加えて, 無形無心体と共に生れた雌牛にもフリーマーチンが存在することが明らかとなった。更に, 性染色体キメラの出現は, 1)無形無心体が一卵性双胎から派生したものではなく, 卵性に起因していること,および2)無形無心体内に血球原基細胞群が存在していたことを示した。
  • 福井 豊, Andrew M GLEW, Robert M MOOR
    1987 年 33 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 1987年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    Cheng (1985)の精子処理法における温度と時間の関係を明確にするたあに以下3種の方法(A, B, C)で体外受精を行なった。方法Aでは修正199+羊血清液(pH7.8)で2×108精子/mlに希釈し,同液(pH 7.4)で最終精子濃度(1×109/ml)まで再希釈後39°Cで1時間放置した。方法BとCでは,2×108/mlの精子濃度(培養液:pH 7.8)で室温(20°C)または39°Cで40分放置後,方法Aと同様に最終希釈し,媒精に供した。卵子は未成熟卵子(卵母細胞)を体外成熟させて実験に供した。体外成熟率は92.7%(153/165)であった。受精率は方法A, B, Cでそれぞれ85.2%,74.5%,80.4%で3種間に有意差はなかった。本実験より,高pHの精子処理は温度(20°Cまたは39°C)に影響されないこと,また,最終希釈精子を培養液(pH 7.4)で1時間放置すれば,高pHによる処理(40分間)は必要ないことが示唆された。
  • 浦野 浩司, 片桐 成二, 菱沼 貢, 高橋 芳幸, 金川 弘司
    1987 年 33 巻 1 号 p. 48-50
    発行日: 1987年
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    2種類の牛胚回収用フィルターの有用性について検討を加えた。供試卵を一定量の灌流液とともにフィルターを用いてろ過した結果,いずれのフィルターでも98.3%の供試卵を回収することができた。しかし,少数(7.6%)ではあるがフィルターを洗浄した液からも供試卵が回収され,フィルター内を洗浄する必要のあることが示唆された。
feedback
Top