家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
33 巻, 2 号
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  • 富樫 守, 鈴木 宏志, 宮井 達也, 岡本 道生
    1987 年 33 巻 2 号 p. 51-57
    発行日: 1987/06/26
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    簡便でかつ効率良く一卵性双生仔を作出する目的で,マウスの2および4細胞期胚をピペッティングにより2分離し,それぞれの胚の胎仔への発生能について検討した。
    その結果,ピペッティングによって分離された胚は,透明帯を除去された状態で体外培養した場合でも高率に胚盤胞へ発生した。また,胚分離後の培養時間と移植時期(子宮日齢)との関係においては,1/2および2/4胚ともに48時間培養後,偽妊娠2日目の子宮角に移植した場合に最も高い胎仔生存率が得られた。
    実際に一卵性双生仔作出にあたっては1/2胚を対象として偽妊娠あるいは妊娠雌の子宮角への移植を行なった。その結果,偽妊娠雌への移植では1組,妊娠雌への移植では6組,計7組の一卵性双生仔マウスを得ることができた。
    以上のことから透明帯を除去したマウスの2および4細胞期からの分離胚は,体外培養を経た後でも胎仔への発生能力を十分保持していること,ならびに2細胞期胚からの一卵性双生仔の作出が可能であることが明らかとなった。
  • 堤 義雄, 吉田 康則, 佐守 登喜恵, 前田 照夫
    1987 年 33 巻 2 号 p. 58-63
    発行日: 1987/06/26
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    妊娠23日目の家兎の片側卵巣除去(ULO)で3羽中2羽に正常分娩がみられたので、更に他側残存卵巣(RO)の卵胞破壊を試みた。ULOの処理時にRO中の直径1mm以上の全卵胞を焼灼または穿刺(及び卵胞液の吸引)した時には前例流産した。RO中の黄体数が2個以下の場合,RO中の1.5mm以上の卵胞を10個以下に制限した場合,またはROを1/3以上切除した場合には前例流産した。妊娠23日目の家兎の妊娠維持に必要な血漿中の最低プロゲステロン濃度は約5ng/mlと考えられた。
  • 及川 大, 中尾 敏彦, 森好 政晴, 河田 啓一郎
    1987 年 33 巻 2 号 p. 64-72
    発行日: 1987/06/26
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    脱脂乳中progesterone測定用EIAキット(帝国臓器製薬)の実用性について検討を行った。本キットによる測定感度は0.225ng/ml(11pg/tube)であった。測定内および測定間変動係数は,それぞれ5.9~9.2%および7.3~13.1%であった。脱脂乳中progesteroneの回収率は,25~1,000pg/mlにおいて80.0~109.4%,平均92.6%であった。二抗体法EIAと本キットの測定値の相関は,Y=0.959X+0.054, r=0.939(p<0.01)と良好であった。本キットにより,授精後21~24日目に1回脱脂乳中progesteroneを測定し,早期妊娠診断の精度を求めたところ,90.2%(120/133)であった。本キットは,測定値の信頼性も高く,操作も簡便であり,臨床的応用価値が高い脱脂乳中progesterone測定キットであると考えられる。
  • 小島 敏之, 相馬 正, 小栗 紀彦
    1987 年 33 巻 2 号 p. 73-76
    発行日: 1987/06/26
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    本試験では,ヨウ化銀を用いた氷晶形成誘起法を牛胚の凍結保存に応用し,受卵牛への移植後の生存性を検討した。凍結に用いたストロー内の各層の構成は,7日目胚を含む10%v/vグリセロール溶液(70mm),気泡(3 mm),ヨウ化銀層(10 mm)で,常法に従い冷却したが,外部からの植氷は行なわなかった。急速融解後,0.75Mあるいは1.OMショ糖溶液に胚を10分間浸漬してグリセロールを除去した後,それらを移植に供した。7個の胚を延べ7頭の受卵牛に移植し,うち2頭がそれぞれ正常な雄子牛を分娩した。
  • 河野 友宏, 角田 幸生
    1987 年 33 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 1987/06/26
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1細胞期から胚盤胞までのマウス初期胚をVS1液を用いたガラス化超急速凍結法により凍結し,融解後の生存性並びに移植後の産子への発生能について検討した。
    1. 融解後の生存性は,8細胞期胚(86%)並びに桑実胚(77%)で高く,A法で凍結された1細胞期卵(0%)で最も低かった。
    2. 移植試験の結果,1細胞期から胚盤胞までの全ての発生段階の融解胚から産子を得ることができた。
    3. 胚盤胞において融解後の凍害保護物質の希釈を, 2.0M glycerol-0.5Msucrose-PBI液次いで0.5M sucrose-PBI液で行い,生存性を著しく向上(75%)させることができた。
  • 中村 公章, 角田 幸生
    1987 年 33 巻 2 号 p. 82-87
    発行日: 1987/06/26
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    核移植技術を用いて,BALB×BALBおよびF1×CBAの2細胞胚期間で片側割球核の交換移植を行いキメラマウスの作出を試みた。得られた結果の概要は次の通りである。
    1. BALB系の核を注入したF1胚の胚盤胞への発生率(62%)は,F1の核を注入したBALB系胚の発生率(42%)に比べて有意に高かった。
    2. 培養胚の移植により,BALB系の核を注入したF1胚で,産仔の33% (15/39)に体毛キメラが得られた。じかしながら,逆の組み合わせではキメラ個体は得られなかった。
    3. GPI-1型の比率と体毛のキメラ状態は一致したが,生殖細胞では異なっていた。
  • 木曾 康郎, 畑 幸美, 山内 昭二
    1987 年 33 巻 2 号 p. 88-95
    発行日: 1987/06/26
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    イヌ精巣上体管を,組織学的および微細構造的観察に基づき,4部位(近位側より順にI~IV部とする)に区分し,各部の形態学的特徴を明らかにした。
    1) I部は精巣輸出管とともに精巣上体頭の大部分を占め,最も高い上皮と最も長い不動毛を有し,管腔内に精子がほとんど見られなかった。主細胞はきわめてよく発達したゴルジ装置および粗面小胞体を有していた。
    2) II部は精巣上体頭と体の境界付近の背側を占め,管腔内に精子を持つ管と持たない管が混在した。主細胞は著しく多数の空胞を持っのが特徴で,空胞は綿状物質を含んでいた。
    3) III部は精巣上体体を占め,管腔内に常に精子が存在した。主細胞は細胞全域に多数のライソゾームを含んでおり,時々精子の断片および核下部に巨大な空胞を持つことがあった。
    4) IV部は精巣上体尾を占め,最も広い管腔および最も低い上皮を有し,管腔内に精子が密に貯留した。主細胞は核周囲部に多数のライソゾームを有していた。
  • 鈴木 宏志, 新谷 参郎, 富樫 守, 宮井 達也, 岡本 道生
    1987 年 33 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 1987/06/26
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    遺伝性の肥満性糖尿病を呈するC57BL/KsJ-dbmマウスを用い,雌雄共に妊孕能のない発症個体(db/db)間の体外受精•培養および産仔への発生能について検討した。db/dbにPMSG-hCG法により排卵誘起を施し,db/db、副腎摘出db/db(Adrex),db/+および(C57BL/6J×C3HeN)F1の精巣上体精子を用いて体外受精を行った。F1区の受精率に比べ,Adrex区db/db区およびdb/+区では低率であったが,体外受精率に及ぼす副腎摘出の有意な効果が認められた。また,Adrex区の2細胞期胚の移植により,移植胚の14%に相当する11例の産仔が得られた。
  • 村上 昇, 小野田 ゆり, 加藤 秀樹, 村上 隆之, 江藤 禎一
    1987 年 33 巻 2 号 p. 101-104
    発行日: 1987/06/26
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ラットの卵巣から酵素処理により未熟卵胞を分離採集し,これを各種綱目のステンレス金綱でろ過しそれぞれの発育段階(Stage)別に分離した。得られた卵胞の内,二層の顆粒層細胞からなる卵胞(Stage 2)を培養したところ顆粒層細胞細胞の増殖を伴う著しい発達が観察された。
  • 大津 昇三, 中村 松夫, 阿久沢 栄一
    1987 年 33 巻 2 号 p. 105-108
    発行日: 1987/06/26
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    黒毛和種未経産牛3頭をそれぞれ7日間絶食して,体重の推移,血中NEFA値の変動,P値の推移および繁殖性について調査し,次の結果を得た。
    1. 体重は絶食期間中3頭とも減少した。
    2. 血中NEFA値は絶食期間中3頭とも著明に上昇した。
    3. 絶食後の性周期は1頭で62日遅延し,他の1頭はやや延長がみられ,残り1頭はほぼ正常の範囲内であった。これら3頭はいずれも2回の授精で受胎した。
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