石川県小松市を中心に集めたニホンイタチ精巣について組織学的および酵素組織化学的に検討し,その特徴を明らかにした。概要は以下の通りである。
精巣重量は繁殖期の方が明らかに重く,精巣の白膜は非繁殖期に厚い傾向を示し,精細管は繁殖期に太くなることが観察された。また非繁殖期には精子細胞や精子が消失し,精母細胞の退行変性像や小型化したライディヒ細胞が観察された。エネルギー代謝関連脱水素酵素(LDH, G-6-PDH, SDH, MDH, IDH, α-GPDH)および加水分解酵素(ATPase, AlPase, AcPase, NSE)の活性を酵素組織化学的に調べ,その活性と局在性を明らかにした。繁殖期の精巣における間質ではLDH, G-6-PDH, MDH、IDH, ATPase, AlPase, AcPase, NSEなどが強い活性を示し,精細管上皮の細胞は強いMDH活性および中等度のLDH, G-6-PDH, ATPase活性を呈した。また精子には強いLDH, G-6-PDH,α-GPDH活性が検出された。ステロイド代謝関連脱水素酵素7種について調べた結果,3α一HSDは非繁殖期,繁殖期ともに間質に強い活性が検出された。3β-HSDは繁殖期に入り活性が強まり,とくにEpiandrosteroneを基質とした場合極めて強い活性が検出された。11β-,17α-,17β-,20α-,20β-HSDの活性は非繁殖期,繁殖期ともに陰性であった。.
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