豚の胚移植のための発情同期化方法として,離乳時雌豚にPMSG•hCGを投与(処置I),PGF
2αにより流産させた妊娠初期未経産雌豚にPMSG•hCGを投与(処置II),未経産雌豚にAltrenogestを投与した後にPMSG•hCGを投与(処置III)した3処置について検討した。
発情の確認は1日2回,成熟雄豚を用いて行った。発情(許容)は処置I,IIではDay0~1,IIIではDay1で開始するものが多かった。卵巣嚢腫は処置Iで3頭認められたが,IIおよびIIIでは認められなかった。
発情を発現した雌豚は2~3回の人工授精を行い,day 5~8に胚を回収した。正常胚の割合は処置I,IIおよびIIIで,それぞれ81.8%,81.0%,52.5%となり,処置I,IIとIIIとの間に有意差が認められた(P<0.05)。
処置I,II,IIIにより発情を同期化した受卵豚に対して13~22の正常な胚を移植した結果,受胎率は処置Iで高く,IIIで低い傾向が認められたが有意な差ではなかった。
以上の結果から,処置IIは発情誘起率,正常胚の回収率ともに優れており末経産豚の発情同期化方法として有効と思われた。処置IIIについては,発情発現のコントロールは正確であるが正常胚の回収率が低く,正常胚の回収率を高くするための検討が必要と思われた。処置Iは卵巣嚢腫の発生は認められたものの経産豚のための発情同期化方法として応用可能と思われた。
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