日本スティミュレーションセラピー学会誌
Online ISSN : 2760-893X
Print ISSN : 2435-7596
ISSN-L : 2435-7596
1 巻, 1 号
日本スティミュレーションセラピー学会誌
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 鬼頭 伸輔
    2020 年1 巻1 号 p. 3-10
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国でも,薬物療法に反応しないうつ病に対して,反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)と深部経頭蓋磁気 刺激療法(dTMS)が承認された.本稿では,精神神経疾患におけるニューロモデュレーションとして,うつ病への 非外科的脳刺激のネットワークメタ解析の結果を紹介し,つぎに,うつ病へのシータバースト刺激,強迫性障害へ のdTMS,双極性障害抑うつエピソードへのrTMSに関する最新の知見をまとめた.また,rTMSの普及には,そ の適正使用および均てん化が肝要であり,費用対効果に関する検証も併せて行われるべきである.
  • 角田 亘
    2020 年1 巻1 号 p. 11-18
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    急性期,回復期,生活期のいずれのリハビリテーション医療においても栄養管理は重要である.急性期患 者に対するprehabilitation,Enhanced Recovery After Surgery(ERAS)などでは,リハビリテーション訓練と適切な 栄養管理の両者が必要不可欠である.回復期リハビリテーション病棟入院患者については,入院中の適切な栄 養管理によって退院時の機能予後が改善すると報告されている.生活期にみられるサルコペニアやフレイルの対 策としても栄養管理は欠かせない.最近では,ビタミンB 群などの栄養素の投与が,認知症を予防したり脳の可 塑性を高めたりする可能性も検討されている.
  • 奥村 栞, 落合 俊輔, 會見 美穂, 前田 陽子, 古溝 聖, 原 辰成, 山田 尚基
    2020 年1 巻1 号 p. 19-25
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    脳卒中後片麻痺に対する低頻度反復性経頭蓋磁気刺激(以下,rTMS)と集中リハビリテーションの併用療 法(以下,NEURO-15)を同一患者へ2 回施行すると上肢麻痺の改善に有用との報告がある.今回,当院で2 回 以上NEURO-15 を実施した患者を対象に,1 回目のNEURO-15 実施後と複数回NEURO-15 実施後のFugl- Meyer Assessment(以下,FMA)上肢項目の検証を行った結果,複数回NEURO-15 を実施するとFMA 重症度が 中等度群において上肢機能の改善に有用であることを示し,さらに上肢中枢部は利き手麻痺で,上肢末梢部は 非利き手麻痺で上肢機能が改善することを示した.このことから,長期的に複数回NEURO-15 を行うと,上肢機 能の改善に有用であると示唆された.
  • 角田 純子, 坂本 龍一, 門脇 俊輔, 酒井 泰朋, 大村 慶樹, 小林 一成
    2020 年1 巻1 号 p. 26-33
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/04
    ジャーナル オープンアクセス
    反復性経頭蓋磁気刺激と集中的作業療法の併用(NEURO)は,上肢機能を改善させることが知られてい るが,複数回の実施による有効性は示されていない.NEURO-15 は2 週間の治療期間であるが,1 回の治療終 了後にも麻痺側上肢の使用が継続できていると長期的な上肢機能改善に繋がり,さらに2 回目のNEURO-15 でも効果があるかもしれない.そこで本研究は,NEURO®を複数回実施したときの効果を明らかにするため, NEURO-15 を複数回実施した18 名を対象に調査した. JASMID 使用頻度とARAT を用いて後ろ向きに調査を 行ったところ,多くの患者でJASMID 使用頻度は初回入院時から2 回目入院時の差分が大きいほど,ARAT の 改善度が高い傾向があった.NEURO-15 を複数回実施し,日常での麻痺側上肢の使用が増える程,麻痺側上肢 機能は向上することが示唆された.
  • 木村 実成, 渡辺 重人, 宮村 紘平, 原 寛美
    2020 年1 巻1 号 p. 34-42
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    当院回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)における脳卒中後運動麻痺に対する反復性経頭 蓋磁気刺激治療(以下,rTMS)の適用状況と治療成績,適用方法について検証した. 治療対象は回リハ病棟に入院した脳卒中後上下肢運動麻痺患者で,rTMS とリハビリテーションの併用療法を 行った.治療前後で身体機能評価を行い,効果を検証した. 対象期間内に入院した49 名の脳卒中患者の約30 %が治療対象となった.下肢麻痺に対しては回リハ病棟入 院後早期に高頻度rTMS を適用することが効果的であり,上肢麻痺に対しては良好な治療成績が得られたが, 脳活動パターン等を評価することでより効果的な治療になる可能性が示された.
  • ―ジェントルスティム導入前後での嚥下機能の変化について―
    松尾 翼, 窪田 正大, 大津 龍馬, 瀬戸山 弘貴, 本松 逸平, 八反丸 健二
    2020 年1 巻1 号 p. 43-49
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,嚥下訓練時に電気刺激療法を併用することで嚥下機能改善に有効であるとされている.今回,経管 栄養から離脱を図ることを目的に干渉波電気刺激療法であるジェントルスティム(GS)に間接的訓練と直接的訓 練の併用を試み,嚥下機能の変化を検討した.対象は経鼻経管栄養患者を,GS 群と対照群に分類し,介入前後 の反復唾液飲みテスト,改訂水飲みテスト,フードテスト(FT)にて比較した.結果,GS 群と対照群ともに介入前後 で有意な改善を示した.また,GS 群と対照群の比較では,FT で有意差を認めた.さらに,3 食経口摂取獲得割合 も増加したことから,GS を併用することで経管栄養からの離脱が促せる可能性があると示唆された.
  • 鬼塚 沙織, 鹿野 純平, 児玉 万実, 垣田 清人
    2020 年1 巻1 号 p. 50-56
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,手指運動機能を測定できるThe Southampton Hand Assessment Procedure(SHAP)日本語版を 用いて,加齢に伴う成績の変化を把握することを目的とした.健常成人男女132 名を対象としてSHAP を実施 し,被験者の利き手・非利き手のIndex of Function(IOF)と機能別プロフィールの点数を8 群の年齢層別に解析 した.その結果,利き手のIOF で20・30・40 代群は70 代以上の群よりも有意に高点数であった.非利き手のIOF で20・30 代の群は60 代以上の群よりも有意に点数が高かった.また,機能別プロフィールの点数は,把握形態 によって年齢層別に異なった.本研究の結果より,利き手・非利き手の運動機能は加齢に伴って減少し,把持機 能別プロフィールは個人の加齢性変化や生活環境などの様々な要因により影響を受けることが示唆された.
  • 田中 智子, 大熊 諒, 藤田 吾郎, 木下 翔司, 渡邉 修, 安保 雅博
    2020 年1 巻1 号 p. 57-64
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    Action Research Arm Test(ARAT)の成績分類別にARAT の改善に影響する因子を明らかにする.脳卒中 患者184 名を開始時のARAT 合計点数で3 群に分類し,最終評価時と開始時のARAT の変化量を算出し,平 均値以上を改善群,以下を非改善群とした.この 2 群を目的変数としたロジスティック回帰解析を行った. 重度 群はARAT の改善にFMA-A,C 項目が抽出された.中程度群,軽度群はいずれの因子も有意な影響を認めな かった.重度群の改善にはFMA のA,C 項目の改善が影響し,「肩・肘・前腕」「手指」の改善を目的とした治療選 択が有用と考えた.一方,中程度群では運動機能と動作レベルの改善に乖離がある可能性が考えられた.
  • 落合 俊輔, 奥村 栞, 會見 美穂, 前田 陽子, 古溝 聖, 原 辰成, 山田 尚基
    2020 年1 巻1 号 p. 65-70
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    脳卒中後遺症に対する,反復性経頭蓋磁気刺激(以下,rTMS)の臨床応用での治療効果は多数報告され ている.進行性多巣性白質脳症(以下,PML)で片麻痺が残存した患者に対して,低頻度rTMS と集中的リハビリ テーションの併用療法を行った.入院期間は15 日間で,健側大脳半球の一次運動野における手指領域に40 分 間の低頻度rTMS,個別リハビリテーションと自主トレーニングを各1 時間ずつのセットとし,午前と午後に2回実 施することで1 日1 セッションとし,計11 セッション行った.入退院時の評価結果を比較したところ,麻痺側上肢 運動機能の改善を認めた.今回,片麻痺を呈したPML 患者に対して,低頻度rTMS と集中的リハビリテーション の併用療法を行い得た知見を報告する.
  • 小川 翼, 落合 俊輔, 奥村 栞, 會見 美穂, 前田 陽子, 古溝 聖, 原 辰成, 山田 尚基
    2020 年1 巻1 号 p. 71-76
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    脳性麻痺患者に低頻度の反復性経頭蓋磁気刺激(以下,rTMS)と集中リハビリテーションの併用療法を実 施する機会を得たため報告する.本症例は脳性麻痺を呈した40 歳代の男性.車輪付きPickup Walker(以下,P. U.W)を利用し歩行され,日常生活は自立していた.4 週間の入院の中で前半2 週間は集中リハビリテーション のみ,後半はrTMS と集中リハビリテーションの併用療法を実施した.右上下肢優位に痙縮がみられた為,右大 脳へ低頻度rTMS 実施後にリハビリテーションと自主トレーニングを午前・午後ともに1 時間ずつ行った.上記の 併用療法にて上肢の痙縮が軽減し手指分離運動の向上が得られた結果,手袋の着脱や小銭の操作が可能とな った.
  • ~理学療法を行っていない事例を通して~
    林 友則, 中山 恭秀, 坂本 大悟, 安保 雅博
    2020 年1 巻1 号 p. 77-82
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    上肢機能改善を目的としたNEURO®が歩行に与える影響を検証した.症例は左被殻出血後2 年が経過した40 代男性であり,BRS はⅣ-Ⅲ-Ⅳ,歩行は短下肢装具を使用していた.歩行の特徴として,遊脚相にて歯車 様の膝関節屈伸動作が生じていた.NEURO®前後の歩行を,VICON を用い解析を行い,1歩行周期中の関節角度を比較した.結果,歩行時における体幹前傾が軽減していた.そして,麻痺側立脚終期での股関節伸展角度は拡大し,遊脚相では歯車様の膝関節屈伸動作が改善した.上肢機能改善により立脚相の安定性が向上した結 果,立脚終期での股関節伸展可動域が向上し,スムーズな下肢の振り出しが可能となったと考える.
  • ―明らかな二峰性を示した肩関節屈曲角度変化―
    坂本 大悟, 中山 恭秀, 林 友則, 安保 雅博
    2020 年1 巻1 号 p. 83-88
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    ARAT はNEURO®の効果判定に用いられており,幅広い重症度の運動麻痺に適応できる評価である. Gross movement の「手を後頭部へ」は整容動作に関連することから患者の希望にも関わる動作だが,肩関節と肘 関節の広い可動域を必要とし難易度の高い評価項目であることから,スコアの変化として機能の改善を示しにく い場合がある.今回,三次元動作解析装置を用いた評価から肩関節屈曲の二峰性の角度変化が明らかになり 「手を後頭部へ」の動作パターンの変化を捉えた.NEURO®による上肢の随意性向上と痙縮の減弱が影響していると考えられ,肩関節と肘関節の協調運動が改善したことが示唆される.
  • 重久 雅代, 厚地 正道, 山中 弘子, 佐多 裕次郎, 牧野 優典, 森畑 宣幸, 轟木 耕司
    2020 年1 巻1 号 p. 89-93
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,脳卒中発症後リハビリテーションを継続していた片麻痺者に,低頻度反復性経頭蓋磁気刺激 と集中的作業療法を行った.その結果,機能・作業能力向上し,JASMID を用いた評価では,上肢の使用頻度は 高得点で維持されていたが,動作の質は低下した.患者は,上肢運動の質の低下を訴えながらも生活上の使用 意欲は維持され,新たな作業課題に取り組むことができた.この結果は,上肢機能改善により,患者が複雑な作 業を行えるようになり,“出来なかった事”が“やりにくい事”と意識が変化したためと考えられた.実際,患者のニ ーズに近い動きが獲得できており,患者の意欲は維持され,新たな取り組みを始めていた.本研究により,麻痺側 上肢の機能が生活に活かされるには,如何にして患者がその必要性を意識して継続的に使用していくかが大きく 影響することが示唆された.
  • 宮腰 弘之, 濱中 紀成, 松村 健市, 池上 勲, 中村 威彦, 木村 知行
    2020 年1 巻1 号 p. 94-99
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    慢性期脳卒中後片麻痺患者に対し,健側大脳半球下肢領域への低頻度repetitive transcranial magnetic stimulation (rTMS)と集中的理学療法を複数回試みたので報告する.対象は66 歳,発病22 ヵ月後の左片麻痺患 者で,移動に車椅子を使用.rTMS 前にfunctional MRI で健側運動野の足関節背屈支配領域をマッピングした. 1Hz,20 分間の健側大脳への低頻度rTMS 及び60 分間の個別理学療法を1 セッションとし,15 日間に計21 セッ ション行った.1 年後,2 回目治療を実施.1 回目に比べ,2 回目治療後の方がFRT,TUG,歩行時間は改善した. 角田らが示す基準に満たない歩行能力であるが,複数回治療は効果的と考える.
  • −発話困難な状態から短文レベルでの発話獲得まで−
    伊藤 実希, 山﨑 龍之介, 桑垣 祐子, 鹿野 純平, 吉田 誠, 木村 彩香, 垣田 清人
    2020 年1 巻1 号 p. 100-105
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    失語症に対する反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)と集中的リハビリテーションの併用療法(NEURO®)を,発症から5 年の間に4 回実施した結果,発話が困難な状態から短文レベルまで改善する症例を経験したので,そ の要因について検討を行った.症例は,心原性脳梗塞により重度運動性失語を呈した70 歳代男性.各回のNEURO®前後の言語評価結果,リハビリテーション記録や生活等の情報を後方視的に分析した.その結果,慢性期で広範囲の脳損傷例であっても,複数回のNEURO®実施とNEURO®を実施していない間も自主訓練を継続できれば,失語症の改善に期待できると考えられた.
  • ―脳卒中後上下肢痙縮の 1 例―
    髙橋 忠志, 佐藤 雅哉, 尾花 正義
    2020 年1 巻1 号 p. 106-112
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    脳卒中後の痙縮に対するボツリヌス療法によるQOL の効果に関しては見解が分かれる.今回,複数回の ボツリヌス療法を実施した脳卒中後上下肢痙縮の一症例における健康関連QOL(以下,HRQOL)の変化を調査 したので報告する.9 年前発症の左被殻出血であり,Brunnstrom recovery stage は上肢Ⅲ,手指Ⅱ,下肢Ⅲで,筋 緊張(MAS)は足関節背屈2 であった.10m 歩行速度は57.7 秒で,HRQOL の評価尺度としてSF-36 を評価し た.A 型ボツリヌス毒素製剤は8 回投与した.ボツリヌス療法3 回目までの身体機能に関するHRQOL は歩行速 度の向上とともに改善したが,心理的な尺度は低下傾向を示した.なお,ボツリヌス療法を重ねても,HRQOL は 変化せず,維持されていた.
  • 花岡 涼平, 継田 貴大, 山﨑 龍之介, 北川 知安紀, 鹿野 純平, 垣田 清人
    2020 年1 巻1 号 p. 113-118
    発行日: 2020年
    公開日: 2026/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    複数回のボツリヌス毒素A 型(BoNT-A)の投与と長期のリハビリテーションにより,脳卒中後の痙縮で生じ た内反尖足による立位困難から片ロフストランド杖歩行自立に至った症例を経験した.症例は50 歳代,脳出血と 脳梗塞により,左上肢と両下肢に麻痺を呈した.BoNT-A は回復期で左上肢・両下肢に,慢性期で左上肢に投与 した.左上肢・両下肢への機能訓練,歩行などの動作訓練を行い,レベルに合わせて段階的に歩行形態を変更し た.発症から4 年で歩行器歩行自立,5 年で片ロフストランド杖歩行自立となった.発症早期からの複数回の BoNT-A の投与と長期のリハビリテーションにより,長期的かつ段階的な改善の可能性がある.
feedback
Top