日本スティミュレーションセラピー学会誌
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最新号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 二村 元, 柏木 秀基, 井畑 知大, 福村 匡央, 矢木 亮吉, 亀田 雅博, 古瀬 元雅, 鰐渕 昌彦
    2026 年7 巻1 号 p. 3-9
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    脳神経外科における頭蓋底手術では,三叉神経心臓反射(trigeminocardiac reflex:TCR)または迷走神経反射による徐脈・心停止を時に経験する.突然の徐脈・心停止は患者の生命に関わるとともに,術者の心理的負荷にもつながる.頭蓋内でTCRが惹起される部位は眼窩先端部,海綿静脈洞部,小脳テントであり,迷走神経反射は頚静脈孔部である.誘因となる手技は物理的圧迫や神経同定時の電気刺激であるが,時に双極凝固子による止血操作中に起こることもある.多くの場合は物理的・電気的刺激を休止することで徐脈は回復するが,再刺激により再燃する場合は手術を途中で中断せざるを得ない場合もある.徐脈・心停止に至った10例のうち,TCRと考えられた5例について検討し,TCRの病態やその対策につき考察する.
  • -長期的な上肢機能向上に関連する要素の検討-
    門脇 俊輔, 角田 純子, 小林 一成
    2026 年7 巻1 号 p. 10-15
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    rTMSと集中的リハビリテーションを組み合わせた治療であるNEURO®は上肢機能に有意な改善をもたらすといわれている.当院にて15日間の入院で治療を行うNEURO®を実施した延べ126名に対して,治療成績を後ろ向きに調査した.結果,FMAやARAT,WMFTなどの上肢機能評価,JASMIDやVASといった主観評価において,有意な向上を認めた.また,複数回実施者の初回退院時から2回目開始時まで機能は維持されており,NEURO®を通して,上肢機能改善のみならず主観的な上肢機能の改善を実感することが,NEURO®後の長期的な上肢機能の維持または向上に重要であることが示唆された.
  • 渡邊 匠, 藤井 琢磨, 玉代 浩章, 漆谷 直樹, 岡本 隆嗣
    2026 年7 巻1 号 p. 16-24
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,慢性期脳卒中後片麻痺患者25名を対象に,NEURO-15(NovEl intervention Using Repetitive TMS and intensive Occupational therapy-15 days protocol)が痙縮および脳活動に及ぼす影響を検討した.介入後,肘・手・手指関節屈筋群の痙縮は有意に軽減し,Fugl-Meyer Assessmentスコアが改善した.近赤外線分光法解析ではBrodmann Area 6のLaterality Indexが有意に変化し,患側優位の賦活が認められた.これらの結果から,皮質—脳幹—脊髄経路の機能的再調整を介してNEURO-15が痙縮軽減に寄与する可能性が示唆された.
  • 向當 由奈, 小原 健輔, 山田 実李, 中山 恭秀, 安保 雅博
    2026 年7 巻1 号 p. 25-32
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    生活期の重度失語症患者に対し反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)治療と集中的言語聴覚療法を施行した.対象は標準失語症検査(SLTA)にて重度失語症と判断された4例である.検討方法として,入院時と退院3ヶ月後のSLTA得点をZ得点に変換し,その得点を前後比較した.結果は,全例で全Z得点平均が変化し,言語モダリティ別では聴覚的理解に変化を認めた.重度失語症患者に対するrTMS治療は聴覚的理解力の向上に寄与する可能性がある.rTMS治療と集中的言語聴覚療法の併用は,生活期の重度失語症患者に対する治療選択肢の一つになると考えられた.
  • 玉代 浩章, 漆谷 直樹, 田中 貴史, 久保山 有紗, 三尾 仁人, 岡本 隆嗣
    2026 年7 巻1 号 p. 33-41
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,回復期脳卒中後上肢麻痺患者に対して,AI統合型筋電図駆動能動型手指屈曲・伸展装置(MELTz)を導入し,その重症度別の治療効果を検証した.対象は当院回復期病棟入院中の脳卒中後上肢麻痺患者10名であり,2週間のMELTz訓練を実施した.介入前後での上肢機能評価および脳血流動態(fNIRSによるLI指標)を比較し,さらに麻痺の重症度により群分けして効果の差を検証した.その結果,上肢麻痺中等度~軽度の群において有意な機能改善がみられた.MELTzは手指機能および脳血流動態の改善が期待される一方,効果は重症度に依存する可能性がある.したがって,上肢中枢部の機能改善を可能な限り図った上での導入と,適用患者の慎重な選定が重要である.
  • 髙橋 忠志, 岸 綾郁, 尾花 正義
    2026 年7 巻1 号 p. 42-47
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    脳卒中後の痙性運動障害(Spastic movement disorder:SMD)は,安静時に痙縮を認めずとも動作時に異常筋緊張を呈し,ADLに影響を及ぼす.本症例は被殻出血後の内反足に対し,Botulinum neurotoxin type A(BoNT-A)を用いたボツリヌス治療と電気刺激治療を併用し改善を認めた30歳代女性である.BoNT-Aを用いたボツリヌス治療により異常筋緊張を抑制し,電気刺激により適切な運動を再学習させることで,歩行中の内反が軽減した.SMDの病態である運動と感覚のミスマッチに対し,BoNT-Aを用いたボツリヌス治療と電気刺激治療を組み合わせる戦略が有効である可能性が示唆された.
  • 山本 円香, 工藤 健太郎, 大澤 侑平, 縣 樹生, 鄭 健錫
    2026 年7 巻1 号 p. 48-52
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本症例報告は,視床出血後に難治性視床痛を呈した54歳男性に対し,疼痛およびつっぱり感の知覚強度に同調させたrPMS治療を下肢へ適用した初の試みである.これまで,痙縮や運動機能改善を目的としてBoNT-A療法,体外衝撃波治療,rTMS治療,従来強度のrPMS治療を行っていた.その中でrPMS治療により副次的な視床痛改善を認めたため,先行研究に基づき同調型rPMSを施行した.症状と同調した強度で2週間実施した結果,疼痛はVAS100mmから6mmへ,つっぱり感は100mmから0mmへ低下した.さらにROMやBBSが改善し,階段昇降も1足1段で可能となった.症状に同調させたrPMS治療は視床痛に対する新たな治療戦略となり得る可能性が示唆された.
  • 鈴村 健太, 大熊 諒, 伊東 寛史, 中山 恭秀, 安保 雅博
    2026 年7 巻1 号 p. 53-58
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    今回,PCのタイピング動作の獲得を希望された若年性脳梗塞症例に対して,複数回のNEURO®を実施した結果,上肢機能改善,PCのタイピング動作の一部を獲得するに至ったため報告する.症例は20歳代の男性,診断名は右大脳半球梗塞であった.PCのタイピング動作獲得を目標に計4回,上肢近位部から手指へと段階的な作業療法を含む,NEURO®を実施した.最終評価では,FMA-UEが49点から62点,ARATは36点から44点と得点の向上を認め,仕事場面で使用するPCのタイピング動作が一部可能となった.複数回のNEURO®は,段階的な上肢機能改善,社会的役割遂行の支援に有用であったと考える.
  • -即時効果の検証-
    伊東 寛史, 中山 恭秀, 安保 雅博
    2026 年7 巻1 号 p. 59-64
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    痙縮を呈する慢性期脳卒中上肢麻痺症例に対して,1回のハンドジグリング(HJA-100)施行による即時的な治療効果を等距離間の反復動作課題の動作遂行時間を評価指標に用いて検討した.測定課題は,症例のニーズであった上肢洗体動作を設定した.非麻痺側上肢に反射マーカーを装着し,麻痺側上肢によるマーカー間の反復動作を20秒間実施した.痙縮評価にはModified Ashworth Scale(MAS)を用い,動作時筋緊張の変化の評価には測定課題の平均動作遂行時間を用いた.結果として,ハンドジグリング施行直後にMASの改善と動作遂行時間の短縮を認めた.施行前後における平均動作遂行時間の比較では伸展方向にて有意差を認め(p<0.001),多重比較検定において施行直後・5分後・10分後で有意な改善を示した.ハンドジグリングの即時効果として痙縮軽減効果と動作時筋緊張の亢進を抑制する可能性が示唆された.今後,症例を蓄積しハンドジグリング治療の対象や適応を検討する必要がある.
  • 越前 春希, 長谷川 雄紀, 田口 健介, 樋口 謙次, 安保 雅博
    2026 年7 巻1 号 p. 65-70
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    練炭自殺企図後に一酸化炭素中毒を呈した遅発性脳症症例に対して,高頻度反復性経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)と作業療法(以下,OT)の併用療法を実践して発動性が向上しADL改善に至ったため報告する.症例は27歳男性で,一酸化炭素中毒後の遅発性脳症の診断でOT開始となる.発動性低下により開始時はABMS II 10点,BI 0点であった.発動性改善目的に作業療法と併行して高頻度rTMSを実施し,ABMS II 15点,BI 30点に改善し,治療前後の脳波評価ではパワー値の増加を認めた.一酸化炭素中毒後の遅発性脳症による発動性低下に対して,高頻度rTMSが有効である可能性及び,前頭部脳波測定が症例の改善を客観的に評価する手法として有効である可能性が示唆された.
  • 藤田 晃大, 縣 樹生, 鄭 健錫
    2026 年7 巻1 号 p. 71-75
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本症例は,出血性脳梗塞後の70歳代男性に対し,身体運動と発声を組み合わせた二重課題訓練を実施した.訓練後,認知機能評価MoCA-Jは9点から20点に改善し,生活自立度を示すFIMスコアも33点から111点に向上した.発話の流暢性や明瞭度,自発性も改善し,パソコン操作技能の再獲得と趣味であった日誌作成の再開が可能となった.身体運動と発声認知課題の統合による二重課題訓練は,注意・記憶・遂行機能など認知機能の向上と複雑な日常生活活動能力の回復に有効であり,認知・身体両面に働きかける包括的リハビリテーション手法として期待される.
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