日本人の水産物消費量の減退が著しいと言われている。各世代のうち,最も少ない消費金額を示しているのが若い世代である。これらの若い世代における,現在の水産物消費の動向をより理解するために,ミレニアル世代と言われる世代(18歳から30歳)を対象に調査研究を実施した。すなわち本研究の目的は,第1にミレニアル世代の水産物消費の動向を明らかにし,第2にそれを踏まえて水産業界が若い世代における水産物消費促進のために何ができるのかを考察することである。
アンケート調査では,一般的な食料や水産物の選好,食習慣,購買行動について,全国422人のデータを収集した。また,6つの要素について,これらが水産物の購入にどれぐらい重要な影響を及ぼすのか,という点についても調査を実施した。
分析の結果,ミレニアル世代は他の世代に比べて,環境認証を除き,各変数の重要度は低くなることが明らかとなった。ミレニアル世代は,水産物に対して他の世代と同様に古典的な価値観を共有しているが,味覚に関係なく彼らには水産物を求める要求がないことから,このような低い評価となっていると推測される。
さらに,ミレニアル世代は水産物購買において環境認証の重要性を高く評価しており,他の世代と比較した場合,認証取得に対する消費者負担の割合が高いことが明らかになった。ミレニアル世代においては,環境認証のような社会的な要素を訴求した水産物販売によって,消費を促進させることができる可能性が示唆された。
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