地域漁業研究
Online ISSN : 2435-712X
Print ISSN : 1342-7857
57 巻, 3 号
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論文
  • 浜のリーダーの役割を考える
    山尾 政博, 鳥居 享司
    2017 年 57 巻 3 号 p. 1-15
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2020/06/26
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    本稿は2016年度地域漁業学会シンポジウム「地域漁業を支える人材育成-浜のリーダーの役割を考える-」を開催するにいたった背景の説明と目的を論じたものである。水産業が構造的に衰退し,漁村の過疎化と高齢化が進む過程で,地域漁業が求める担い手やリーダーの内容は変わっている。人材育成の成功事例からは,リーダー達は狭い範囲に留まることなく,広域ネットワークをどのように形成するかに関する考えや知識を得ている。人材育成は内部支援人材とともに,外部支援人材も対象にしている。漁業者,地方自治体,水産業界の関係者がシンポジウムに参加し,こうした経験を共有することに努めた。

報告
論文
  • 阿部 覚, 林 紀代美
    2017 年 57 巻 3 号 p. 45-64
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,放課後児童クラブ(学童)に着目し,七尾市の小丸山放課後クラブでの活動実践を事例として,「食」に関わる学びや「ぎょしょく教育」を行う主体や場としての有効性,可能性を検証することを目的とする。

    その結果,実施環境の利点が確認された。学習を通じて児童には,知識・技能の獲得のほか,多様な学びの力がはぐくまれる契機としても機能していた。支援員にとっても,児童の伸びを実感することで,自身の職務の工夫や動機づけの向上につながっていた。保護者も,子から活動の報告を聞き,学びを契機とした子の変化や成長に気付いていた。多忙で親子間での調理技術の伝承や水産物・献立に関わる会話などを十分確保できないことから,保護者は学童での学びの機会やその継続に好意的評価を持っていた。

    一方で,学童での学習にもいくつか課題がある。第1に,導入・実施の方法や材料が学童関係者に十分認知されていない。第2に,一部構成員の意欲・行動力に依存せず,保護者も含めた園関係者全体で連携した活動づくりが必要である。関連して第3に,必要な知識・技能をもつ支援者を長期的,継続的に確保する難しさである。同時に,長期的に学習を展開するならば,外部講師に依存しない活動基盤,園関係者の指導力をどう構築していくかも課題となる。第4に,企画に応じた時間と場所の設定・活用や内容の構築である。

  • アンケート調査に基づく分析から
    チュウニン プレシアド ハビエル, 佐野 雅昭, 久賀 みず保
    2017 年 57 巻 3 号 p. 65-82
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル オープンアクセス

    日本人の水産物消費量の減退が著しいと言われている。各世代のうち,最も少ない消費金額を示しているのが若い世代である。これらの若い世代における,現在の水産物消費の動向をより理解するために,ミレニアル世代と言われる世代(18歳から30歳)を対象に調査研究を実施した。すなわち本研究の目的は,第1にミレニアル世代の水産物消費の動向を明らかにし,第2にそれを踏まえて水産業界が若い世代における水産物消費促進のために何ができるのかを考察することである。

    アンケート調査では,一般的な食料や水産物の選好,食習慣,購買行動について,全国422人のデータを収集した。また,6つの要素について,これらが水産物の購入にどれぐらい重要な影響を及ぼすのか,という点についても調査を実施した。

    分析の結果,ミレニアル世代は他の世代に比べて,環境認証を除き,各変数の重要度は低くなることが明らかとなった。ミレニアル世代は,水産物に対して他の世代と同様に古典的な価値観を共有しているが,味覚に関係なく彼らには水産物を求める要求がないことから,このような低い評価となっていると推測される。

    さらに,ミレニアル世代は水産物購買において環境認証の重要性を高く評価しており,他の世代と比較した場合,認証取得に対する消費者負担の割合が高いことが明らかになった。ミレニアル世代においては,環境認証のような社会的な要素を訴求した水産物販売によって,消費を促進させることができる可能性が示唆された。

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