生ごみなどの有機性物質は微生物による嫌気性分解過程において, 代謝産物として水素も生成することが知られている.本研究では生ごみの嫌気性消化における酸生成段階からの水素回収に及ぼす温度の影響について検討することを目的とした.実験の基質として実際に排出される生ごみを想定した組成の擬似生ごみを用い, 回分実験は15~35℃の温度領域で, 連続実験は水理学的滞留時間12時間, pH6.0の条件で25, 30, 35℃の温度領域について検討した.その結果, 30℃においてメタン生成が急激に低下するとともに, 最大の水素生成速度 (1570ml/L/day) を得た.これにより培養温度の制御によりメタン生成細菌の活性を低下させることでメタン生成細菌による水素消費を抑制するとともに水素回収量を増大できることが示唆された.
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