本論文は, 移動体の位置の把握や誘導を自動化するのに必要な, 移動体の位置と方位を計測する新しい方法を提案している.この位置と方位は, 移動体上に置かれた3つの点の方位角を計測し, 三角法にもとつく計算をすれば決定できる.
この方法を実現するために, 一定速度で回転するレーザ灯台と移動体のレーザ受信器及びマイクロコンピュータで構成される計測システムを提案している.このシステムにより, 移動体の位置と方位はオンラインで自動的に決定される.
このシステムを用いて, 静止している移動体の位置と方位の計測実験を行ったところ, よい結果を得た.移動体の方位及び移動体と基準点との距離の計測値の標準偏差は, その距離に比例して大きくなる.移動体上の3点の配列は正三角形状が良い.移動体の移動による位置と方位の誤差はレーザ灯台の回転速度を増せば少なくなり, またレーザ灯台からの距離が遠くなるほど小さくなる.
実験と誤差の考察結果から, このシステムは移動体の位置と方位の計測に有効であることが明らかとなった.このシステムによると, 一つのレーザ灯台で同時に多数の移動体の位置と方位が決定できる.したがって, 海峡や港を通過する船舶, 空港内で走行, 滑走中の航空機, 工場や農場の移動作業機械等の監視や誘導に応用できるであろう.
抄録全体を表示