本論文では, テレオペレーションに適したワールドモデルの構成法を示し, それを用いたテレオペレーション支援機能を示す.ワールドモデルは, 物体の操作知識を核とし, 対象指向型システムを利用して構築されている.
ワールドモデルには, 物体のベースフレーム, アプローチや把持点, 物体間の結合関係などの情報とともに, 物体の操作知識が物体毎に階層的に集積されている.操作知識としては, 教示方法, モデルと実環境との整合を確認するための手続, それに物体固有の利用手順などが含まれている.
ワールドモデルの情報のうち, 物体固有の情報はあらかじめ与えられるが, 実環境との整合が必要なデータは, マスタースレーブによる作業の実行中にインタラクティブに取りこまれる.
ワールドモデルを利用した作業法として次の2つのものが用意されている.
(1) モデル先導型作業法は, モデルに問いかけることで作業を実行する方法である.その際, 物体を把握する位置や指の開閉幅はモデルに格納された情報が利用される。その物体自身, あるいはその物体が結合している物体の移動に対しても正しく管理される.また, 物体の操作知識は, 継承機能により必要なものが集められ, かつその時点での環境に適合した形で操作者に示される. (2) 動作先導型作業法はマスタスレーブマニピュレータを操作して作業を実行しながら, そのスレーブマニピュレータの動作の意味をシステムに言語によって知らせることによって, 作業の実行を先行させながらモデルの作成を行なう方法であり, ワールドモデルにあらかじめ登録されていない物体を操作する場合に利用するものである.
これらの作業方法によって可能となったワールドモデルによる自律的な機能, および操作手順指令機能は, 操作者のテレオペレーション支援効果のあることが実験によって示された.
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