本稿では, マニピュレータの障害物回避法を提案する.まず, 各障害物と障害物の中間となる面上で0となる様に障害物回避のためのポテンシャル場を定義する.次に, このような面上で, エンドイフェクタの目標軌道の候補となるグラフを求める.我々は, これを安全第一グラフと呼んでいる.このグラフ上での経路は, Aアルゴリズムによって決定する.このようにすると, 障害物を回避するためのポテンシャルによる効果と目標に到達するためのポテンシャルによる効果との相互干渉が非常に小さくなるので, 停留や障害物との衝突による解の探索の失敗が起こりにくくなる.また, この目標軌道という大局的な情報に基づいて, 解の探索の再試行も可能になる.本方法は, 対象とするマニピュレータの機構学的な特徴によらず適用可能であり, 実現可能な動作に対して制約を加えない.本方法の有効性は, シミュレーションにより確認されている.
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