本論文では, マニピュレータの障害物回避動作計画を行うための簡単で汎用的な方法について述べる.
より柔軟な生産システムを構築するために, 産業用ロボットを対象とした多くのオフラインプログラミングシステムが開発されているが, 複雑な作業を扱うには十分ではない.さらに強力なプログラミングシステムを実現するためには, マニピュレータの作業環境内の障害物との干渉を自動的に回避する機能が不可欠である.障害物回避の問題に対しては, 多くのアルゴリズムがすでに提案されているが, どのようなマニピュレータに対しても適用できるような簡単で汎用的な方法は, まだ開発されていない.
コンフィギュレーション空間に基づく方法が有望と思われるが, コンフィギュレーション空間は多次元空間で, 自由空間のデータ量は膨大になる.しかし, マニピュレータの単一の動作を計画する際には, その大部分のデータは使われない.迷路法に基づく方法では, マニピュレータの構造とは独立に, 経路計画に使われると思われる自由空間を限定できる.このため, マニピュレータのすべてのコンフィギュレーションで干渉計算を行うことが可能になる.自由空間を計算するアルゴリズムは以下のようになる.まず, コンフィギュレーション空間における直線経路において干渉計算を行い, 干渉しないコンフィギュレーションの集合を求める。次に, 隣接するコンフィギュレーションについて干渉するかどうかをチェックする.自由空間はこういった方法で, ちょうど水面上を広がる波面のように計算される.この手順は初期姿勢からの波面と最終姿勢からの波面が衝突するまで続ける.
この方法をソリッドモデルベースのロボットプログラミングシステム上にインプリメントし, 多関節型マニピュレータに適用した.
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