本研究ではX線光電子分光法(XPS)を用いてLa
1-xSr
xMnO
3の電子構造解析よりその導電性を評価した.まず,硬X線光電子分光法でのみ観測可能であると報告されていたMn 2
p3/2スペクトルにおける低束縛エネルギー側の肩構造(Mn
3+の遮蔽された終状態)が,実験室XPSでも観測されたことを報告する.次に,Mn
3+,Mn
4+,及びこの肩構造を多ピークフィッティングにより分離し,Sr置換量xで決まるMn
3+ ⁄ Mn
4+比を考慮した結果,上記以外の強度が存在することがわかった.このピークはMn
4+の遮蔽された終状態に由来すると考えられ,Mn
3+及びMn
4+の遮蔽された終状態のピーク強度の総和をxに対してプロットすると,LSMOの導電性のx依存性を定性的に再現することを見出した.
抄録全体を表示