不安症研究
Online ISSN : 2188-7586
Print ISSN : 2188-7578
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8 巻 , 1 号
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巻頭言
原著
  • 岸田 広平, 石川 信一
    8 巻 (2016) 1 号 p. 2-11
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,中学生の抑うつと不安,および社会的スキルの横断的および縦断的関連を検討することであった。中学生248名について,3ヵ月の期間をあけて,調査1(T1)と調査2(T2)の合計2回の縦断的調査を行った。まず,T1における階層的重回帰分析の結果,引っ込み思案行動から抑うつと不安に有意な正の回帰係数が確認された。一方で,向社会的スキルからは抑うつには有意な負の関連が示され,反対に,不安には有意な正の関連が確認された。次に,T2の抑うつと不安に縦断的影響を与えるT1の変数を検討するために,T1の抑うつや不安を統制した階層的重回帰分析を行った。その結果,T1の不安はT2の抑うつを悪化させることが示唆された。さらに,T1の引っ込み思案行動はT2の不安を悪化させる可能性が示された。最後に,中学生の抑うつと不安に対する社会的スキルの今後の研究と実践の課題が議論された。

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  • 富田 望, 今井 正司, 山口 摩弥, 熊野 宏昭
    8 巻 (2016) 1 号 p. 12-21
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー

    Post-event processing (PEP) とは社交状況の回顧を意味し,社交不安の維持要因とされる。近年,反芻や心配と注意制御機能の関連が報告されているが,同様の反復的思考であるPEPとの関連は明らかでない。また,PEP時の観察者視点を測定する指標も作成されていない。本研究では,PEP時における想起視点機能尺度の作成とともに,実験的な社交状況で生じるPEPと注意制御機能の関連性を明らかにした。大学生を対象に,注意制御に関する質問紙と認知課題,スピーチ課題を行った。翌日にPEPを測定し,PEPと注意制御との相関分析を行った。その結果,想起視点機能尺度の下位尺度を用いてPEPの観察者視点を測定できることが示唆された。また,PEPおよび回避的な観察者視点と選択的注意との間に有意な相関が示された。したがって,PEPを低減するためには特に選択的注意に着目することが有用であると考えられた。

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  • Hisanobu Kaiya
    8 巻 (2016) 1 号 p. 22-30
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー

    Patients with anxiety and/or depressive disorders often experience sudden intense feelings of distressing emotions, including sadness, anxiety, loneliness, gloom and so on, without any apparent psychological reason. Tearfulness often precedes or accompanies such emotional outburst. In addition to these emotional symptoms, mild physiological symptoms similar to those seen in a panic attack, such as palpitations, dizziness, trembling and so on, may appear. Immediately after this emotional outburst, distressing trains of thought or images related to recent or past unpleasant events are experienced and ruminated on repeatedly. They are often manifested as flashbacks with or without visual images. Since these conditions are the bitterest experiences for most patients, they may cope with them in various ways such as deliberate self-harm. These patients generally have a more or less depressive mood. These conditions are considerably different from a panic attack, in that the emotional and cognitive storm dominates the physical one. The author named this condition as an Anxious-Depressive Attack (ADA). In this study, we present five cases of ADA and discuss their psychopathology and differential diagnoses. To the author's knowledge, this is the first report proposing the term ADA, which is a unique but common syndrome. Awareness regarding ADA may help improve understanding and treatment of the patient.

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総説
  • 久田 信行, 金原 洋治, 梶 正義, 角田 圭子, 青木 路人
    8 巻 (2016) 1 号 p. 31-45
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー

    わが国における,場面緘黙(選択性緘黙)の診断,治療,教育における捉え方について概観した。DSM-5から不安症群に移動したことで,場面緘黙の理解と成人例への注目が促進されるものと推察した。場面緘黙を多く診察しているK小児科の実践を基に,初診時の対応など重要な観点を示した。特に,発話以外の行動や動作に関連する諸症状について検討した。場面緘黙の出現率については,議論のあるところであるが,わが国で最近行われた大規模調査を紹介し,あわせて,学校での対応について述べた。その調査では,小学校段階で,男児0.11%,女児0.20%,全体で0.15%の出現率であった。最後に,国際保健機構(WHO)のICFと,そこから派生したWHODAS2.0を紹介し,場面緘黙の場合,生理レベルや個人レベルの問題もさることながら,社会参加のレベルの問題へ,当事者視点の研究も含めて接近していくことの重要性を論議した。

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  • 前田 駿太, 増田 悠斗, 佐藤 友哉, 嶋田 洋徳
    8 巻 (2016) 1 号 p. 46-57
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,社交不安症における心理的ストレッサーに対するコルチゾール反応についてメタ分析を用いて検討することであった。文献検索の結果,社交不安症の診断基準を満たす者と健常者の間で心理的ストレッサーに対するコルチゾール反応を比較している9報の文献が抽出された(社交不安症群:N=265;健常群:N=199)。そして,ベースライン期,ストレス期(ストレス負荷後25分まで),回復期(ストレス負荷後25分経過以降)の3つの時期それぞれにおいて,社交不安症群と健常群のコルチゾール値の差分値に基づく効果量を算出した。メタ分析の結果,いずれの時期においても社交不安症群は健常群よりも高いコルチゾール値を示すことが明らかになった。このことから,社交不安症においては直接的なストレッサーの呈示に対してのみならず,ストレッサー呈示前後の認知的処理によってもコルチゾール反応が亢進していることが示唆された。

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  • 仁田 雄介, 髙橋 徹, 熊野 宏昭
    8 巻 (2016) 1 号 p. 58-66
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー

    消去訓練を行うと消去学習が成立し,恐怖条件づけによる恐怖反応が抑制される。しかし,消去学習は恐怖記憶を改変しないため,恐怖反応の再発が起こる。消去学習を利用した技法はエクスポージャー療法と呼ばれており,不安症の治療に用いられている。エクスポージャー療法後にも不安症が再発する可能性が示唆されており,再発を防ぐ治療法が必要とされている。そこで,記憶再固定化というメカニズムが注目されている。記憶痕跡は固定化すると改変できないと従来は考えられていた。しかし近年,想起によって固定化された記憶痕跡が不安定になり,その後再固定化することが明らかになった。再固定化が進行している間は,想起した恐怖記憶を改変できることが示されている。そして,再固定化進行中の消去訓練は恐怖反応の再発を防ぐことが,近年の研究によって示唆されている。今後,不安症に対する再固定化を利用した介入の有効性の検討を進める必要がある。

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