今回の発表では、自然言語処理により生成される「知識」は蓋然的なものであるため、ウェブ上で公開されるならば、確実度などのメタ情報を伴わせることが望ましい、ということを論じる。さらに、自然言語処理により生成され、ウェブ上の知的な情報処理に役立つような(統計的な)知識について、その種類や、獲得および利用の方法についての議論を行う。
近年、組織内・組織間での情報システム統合が多数なされている。特に、異なる文脈(セマンティック)を有する組織間での水平的なシステム統合においては、情報の共有と連携にあたり、個人情報保護法等の要請を満たすためにさまざまな工夫が必要とされよう。本稿では、webサービス仕様等を用いたシステム統合における現状と課題を概観する。次いで、米国連邦政府のe-Authentication Initiativeの動向等を参照し、産学官をシームレスに連携させての文脈共有をめざす、次世代型のワンストップ・ポータル構築にむけた機能要件を抽出する。※ 次稿「ハイブリッド型P2Pによる産学官連携ポータルの解」においては、本稿を受け、webサービス技術と組合せたハイブリッド型のP2Pによる水平統合ポータルのモデル解を提出する予定である。
様々なネットワークに多様なサービスや情報が提供され、このような情報を携帯電話などの移動端末を介して利用することが可能になってきたが、数多くの情報・サービスを利用するためにはユーザ自身のノウハウによるところが大きい。本稿ではユーザがモバイルサービスを利用する際に必要となる知識をタスクオントロジの枠組みで表現し、簡便にサービスを提供するための記述要件および利用方法の検討内容について述べる。
情報の信頼性評価の手段として評判に基づく方法を考える.評判は,統計的な量的側面と,セマンティクスに基づく質的側面の組み合わせによる評価であると考えられる.統計的学習によって正しい評価を得るためには,文書の収集対象をWeb全体に広げ,能動的に評価情報を集めた上で,それらのセマンティクスに基づく分類が必要となる.本研究では,非定型の文書の分類問題に対して,代表的な統計的分類手法の利用可能性をいくつかの実験から考察する.とくに,理論的背景のあるブースティングによる評判の統合方法とその分類精度からその有効性を議論する.
セマンティックウェブで利用されるリソース情報の記述言語として、W3CによりRDFが標準化されているが、RDFで記述されたデータに対する検索言語はまだ標準化されていない。現状RDFの検索言語として、RQLやSquishQLなどいくつかの検索言語が提案されているが、これらの言語はデータベースの操作機能が限られており、またXMLのシンタックスを用いていないため、XMLの汎用的なツールを利用することができない。本稿ではこれらの課題を解決するために我々が設計した新たな検索言語xRQL(XML-based RDF Query Language)について紹介する。xRQLは既存のRDFの検索言語で不足していたデータベースの操作、検索結果の設定機能等を備えたXML形式の言語である。また本稿では、我々の実装したxRQLデータベースエンジンについても紹介する。
生物学分野では生命現象の分子機序を説明する"事柄間の関係の組み合わせ”などの高次知識がますます重要になってきている.多様で不均一な粒度の要素が複雑に組み合わさって構成されるこれらの知識のデータベース化にはオントロジーを強く意識した知識システムが不可欠となる.本発表では我々の構築しているシグナル伝達パスウェイデータベースについて報告する.
生物のゲノムと機能の関係を解析するためには、機能データのデータベース開発が必要であるが、これまで機能を記述する首尾一貫した形式がなかったため、データは蓄積されるものの比較や推論が不可能であった。本研究ではデバイスオントロジーを応用してシグナル伝達機能のオントロジーを構築し、これを基準とすると、機能の首尾一貫した記述が可能であることを見出した。
我々は,インターネットやイントラネット上の雑多な情報(非構造化情報)と,データベースやWebサービスのような構造化された情報(構造化情報),そして,イントラネット上の仕様書や製品カタログといったフォーマットはある程度固定されているがそれぞれの項目が明示的に構造化されていない情報(半構造化情報)をオントロジーによって統合し,利用者に必要な情報を収集・抽出して提供するシステムを開発している.本稿では,IT技術に関するイントラネットおよびインターネット上のWebコンテンツの分析に基づくオントロジー構築について説明し,開発しているシステムについて概説する.また,システム内で重要なモジュールのひとつである属性抽出処理について説明し,イベント情報の属性抽出実験について報告する.
宇宙システムに代表される大規模・複雑システムの開発・運用を成功させるにはプロジェクト内での知識共有・知識連携が鍵となる.本発表ではオントロジーアプローチによる宇宙機の信頼性を向上させるタスクに関わる知識共有・知識連携の実現への取り組みについて述べる.
2003年10月に米国で開催された第2回セマンティックWeb国際会議(ISWC2003)における研究動向について,基礎,セマンティックWebサービス,アプリケーション,セマンティックWebチャレンジを中心に報告する.さらに,2004年11月に広島で開催予定のISWC2004に向けて,今後の研究課題について述べる.