日本のPlant & Machinery Industry業界では、技術者の高齢化、生産拠点のグローバル化、省エネ、ライフサイクルの延命化、などへの対応が検討される中で、Engineering Knowledge and Technology Transferシステムの構築も重要なテーマとして上げられている。此れに対して、従来の紙ベースの技術マニュアル、製造マニュアル、サービスマニュアルや、ビデオシステムでは、必ずしも十分とは言えず、より効率的に技術・技能が伝承できる新しいシステムが望まれている。筆者は、ビジュアル・ヒューマンインタフェースに着目して、機器の3次元形状モデルとMulti-media情報を組み合わせたEngineering Knowledge 3D Visual Systemの開発を進めた。本講演では、このシステム概要と、その応用事例としてDigital 3D Training system for Pumpを紹介する。また、Engineering Knowledgeについても、論議を進めたい。
設計品質向上に貢献する不具合情報を不具合文書群から検索する手法の開発を目的とする。係り受け関係に注目して不具合の情報をデータベースに蓄積する。このデータベースに対し、製品の部品構成オントロジーによる網羅的な不具合事例の検索、生産現場作業を細分化したオントロジーにより作業別に分類された不具合事例の検索を実行する。9604件の不具合文書に適用したところ、文字列一致検索では発見出来ない不具合情報の検索が可能なことを示した。
昨今問題視されている地方自治体の知識・技能伝承問題を考察し、製造業(造船業界)の設計現場向けに、知識・技能伝承を目的として開発した、設計プロセスに基づく文書管理手法を実装した文書管理システム「ShareFast」を用いて地方自治体業務の知識・技能の伝承に有効的であるかを検討した上で、地方自治体熟練職員の知識記述手法を提案する。
知的障害を有する児童生徒を支援するにあたっての意思決定は、いわゆる「名人芸」にあたる部分が多く、知識の伝承が極めて難しいものである。障害の種類や程度、生育歴、環境、個体差などの条件で、類似するケースもきわめて少ないため、過去の成功事例を閲覧するだけでは、ほとんど役に立たない。経験知を再利用可能な形式知として伝えるだけではなく、意思決定のヒントを蓄積・提示し、利用者自身が最適解を導き出すための発想支援システムを提案したい。