船舶を設計・運用する際には、船舶のライフサイクル全体における利益を最大化することが重要となる。本研究では、船舶の運用コストの大部分を占めている燃料費に大きく影響を与える原油価格をはじめとする、船舶の運賃決定に必要な指標の市場変動を考慮し、船舶の船型・エンジン・プロペラからなる船舶設計案についてのNPV(Net Present Value)の算出・評価を行う。また、得られた結果より、どのように船舶設計案を選出すればよいかの考察を行う。
船舶運航の安全に不可欠な推進機関の健全性の確保には、日常の巡回点検が不可欠である。一方、少子高齢化の影響で熟練した機関部員不足が深刻化している。このため、初心者、中級者が的確な点検作業を行えるよう支援するシステムを設計、開発した。本システムは、手順書に従って作成した作業シナリオに基づいて、順次、点検対象機器・項目の確認を促し、これに対応した点検作業ガイダンスを提供するものである。本発表では、本システムの概要と、知識・技術・技能の伝承への応用について述べる。
組織知識継承の身近な方法として様々な組織で実践されているのが共有フォルダである。共有フォルダには組織活動に関する様々な資料が蓄積される。しかしながら長期間使うことにより共有フォルダ内の構造は混沌とし、蓄積資料を十分に活用できなくなる問題がある。そこで、研究現場での利用状況を踏まえて、組織知識継承に効果的な共有フォルダの整理手法と活用方法について述べる。
2012年から知識・技術・技能の伝承支援研究会(SIG-KST)では討論会を実施し,SIG-KSTで扱う「知識・技術・技能」の定義・体系化を進めている.本稿では,SIG-KST第24回研究会(2015年3月5日実施)で考察された「暗黙知と形式知との関係」に対して,日常生活における具体的事象の実例として「登山」を適用し,健康と運動の側面から考察を加えた.また登山動機を題材にして「形式知から暗黙知への変換」を検討し,さらに「暗黙知の弱体化・無力化」による危険回避行動の阻害が山岳遭難に至るケースが多い点を論じた.