本論文では、人狼における発話をLLM(大規模言語モデル)によってBDIロジックに翻訳する手法の考案を試みる。現状、人狼発話をBDIロジックに自動で変換する手法は確立されていない。本研究では、LLMのプロンプトを工夫することでLLMによる翻訳の自動化を目指した。
アナリストレポートには、銘柄に関するアナリストの意見が根拠を伴って記載されている。特に、これらの根拠が原因・結果という因果関係で表されている場合があり、これらをつなぎ合わせることで、アナリスト達が持つナラティブを可視化することができると考えられる。本研究では、因果関係抽出とナラティブ構築技術を用いることで、アナリストレポートに含まれると考えられるアナリストが持つナラティブを可視化することを試みる。
社会的支援はメンタルヘルスとウェルビーイングを向上させ、支援を受けた人ほど他者に支援を提供しやすくなるため、社会ネットワークを通じて伝播しうる。しかし大規模なオフラインネットワークでの拡散の実証分析は困難である。本研究では交流アプリのネットワークと社会的支援のデータを用いてオンライン社会的支援の拡散を検討する。まずアプリ内の行動ログから機械学習によりユーザーの知覚支援を予測し、その予測スコアを用いてソーシャルネットワーク上の拡散パターンを評価した。ネットワーク分析の結果、ある個人が認知する支援が他者に及ぼす効果はホップ距離とともにべき乗則に従って減衰することがわかった。
データ市場は、データ収集に伴うコストと労力を削減するとして注目を集め、多様なデータセットの取引を可能にしている。一方、市場参加者・データ・規制の相互作用を理解するための議論は十分でないため、本研究では、LLM-MAS for Data Marketplaceを提案する。本手法では、大規模言語モデルで構築された買い手・売り手が目的を持ち、この達成のために検索・購入・価格設定などの戦略的行動を実行する。実験では、各データが購入された回数、各買い手による購入回数など5つを評価指標として用いた結果、実際の市場で観測される取引パターンを再現し、トレンドの出現や移り変わりも表現できることを確認した。
大規模言語モデル(LLM)の政治的バイアスは社会的影響を及ぼすが,その操作性は主に一次元的な枠組みでしか評価されてこなかった.本研究は,現実の政治的多様性を反映するため,経済軸と社会軸の二軸による政治スタンスを導入し,13のLLMに対してPolitical Compass Testを用いて操作性を分析した.結果,LLMは経済・社会の両軸が一致する場合には比較的高い操作性を示したが,相反する軸を同時に操作することは困難であった.特に社会軸では変化が小さく,経済軸よりも操作性が小さい傾向が見られた.
モデルマージは,新たなLLMを構築する上で重要であるが,微調整モデルのマージとは異なり,継続事前学習(CPT)モデルのマージはほとんど検討されておらず,その可能性は明らかでない.本研究では,CPTエキスパートを統合して金融特化LLMを構築するケーススタディを通じ,このギャップの解消に取り組む.マージ効果の分析のための評価フレームワークと全18タスクからなる金融ベンチマークを設計する.主要な3つのマージ手法を用いて評価する.実験の結果,CPT中に失われた能力は,ベースモデルとマージすることで回復する可能性や,複数CPTモデルの統合により,個々のモデルの性能を上回る可能性が確認された.
観光地におけるモビリティ導入計画には,観光客の回遊行動を事前に予測することが重要である.しかし,従来の統計的手法では,天候や同行者などの多様な文脈情報のモデル化が困難であった.本研究では,大規模言語モデル(LLM)を用いた観光客の次訪問地予測手法を提案する.提案手法ではGPS軌跡とQRスタンプラリーデータから訪問系列を生成し,ペルソナ情報や環境条件と共に構造化テキストとして表現し,Llama-3.1-8Bをファインチューニングする.和歌山城公園で収集された566人の観光客データを用いた評価において,次訪問地予測でAcc@1で49.1\%を達成し,従来手法を大幅に上回った.