本稿の目的はカナダ在住の非英語母語話者が語りを通してある種の規範を作り出すときに,カナダにおける適切な言語行動を一緒に判断し合意に至るまでの実践を示すことである.使用したデータはカナダ在住者のリンガフランカとしての英語による語りである。半構造化インタビュー法を用いて現在の職業や将来のキャリアについて語ってもらった。収録は二人一組(いずれも初対面)でzoomの録画機能を使って行った。なお参加者らが母語と認識している言語は以下の通りである(参加者A: Swedish,B: Yoruba, Bekwara, Mbe,C: Nepalese, D: Persian,E: Arabic, French, F: Thai)。本稿では参加者らが,欧米文化を背景とする白人が一般的に持つと考えられる規範に基づき,語りの評価を共同構築すること,また,その談話が社会的に共有可能なナラティブになることを示す。
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