本報告では, とくに駆動トレーラのトラクタとトレーラ車輪に周速度差が存在する場合の登降坂性能について検討した。平地におけるトラクタおよびトレーラ車輪に作用する接線力 (けん引力, 被けん引力に相当) とすべり率の関係を求めることにより, 駆動トレーラの駆動方法および積載量別の登降坂能力を推定する方法をあみ出した。駆動トレーラの場合, 積載量を増加したリトレーラに比較して軽量なトラクタを使用すると, トレーラ車輪の駆動反力でトラクタの車輪荷重が減少し不安定な走行状態を呈する。安定走行のためには重量比 (トラクタ/トレーラ) が1.7以上必要である。また, 登降坂時の周速度比の許容範囲についても考察を加えた。
駆動トレーラの登降坂能力は, トラクタの駆動方法により著しく左右されることがわかった。例えば, 登坂限界角は4輪駆動が最も大きく (約29°), 次いで前輪駆動 (約28°), 後輪駆動 (約20°) の順となった。前輪駆動と後輪駆動とで大きな性能のひらきがみられるのは, トレーラ車輪の駆動反力に起因している。
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