ここに提案する汎・農業用二サイクル機関は筆者の一人が考案したものでピストンの上下速度を自由に変えることができる。この可変機構をもつ二サイクル機関を通常型に対して偏心型と呼び, 通常型 (160cc) と同一シリンダ容積をもつ機関を試作し, 出力の増大を主眼とし, 同時に燃料消費率および排気ガス公害 (窒素酸化物, 炭化水素, 一酸化炭素) の軽減対策等についても検討を加えたので報告する。研究の結果, 性能の改善ができ, かつ燃料消費率, 排気ガス中の炭化水素および一酸化炭素等の軽減のできることがわかった。なお, 排気ガス中の窒素酸化物はある程度高まる。第1報では偏心型機関の作動機構, 偏心型と通常型における掃, 排気孔の時間面積の比較, 性能の実測例の比較等を述べ, 第2報ではPV線図, すなわち図示平均有効圧の算出方法について述べ, 第3報ではクランクケース圧縮によるポンプ仕事および機械損失等について述べ, 第4報では実験装置とその方法, ならびに実験結果および理論結果の総合的な比較検討について述べる。
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