1977年, 北海道農業試験場 (札幌, 43°N) に, 冬期でも人工的補助熱源を使用しない, 経済的な太陽熱利用温室を建設した。その試験内容は, (1) 寒地での太陽熱利用温室の施設装置の設計, 施工及び性能向上, (2) 寒地温室としての利用試験, (3) 熱源としての多目的利用, の3相からなり, 本報は第1相に関するもので, 装置システムの内容と冬期における集熱効果を中心に述べた。本装置は, 太陽熱をアクティブ及びパッシイブに捕捉する機構を持つ。床面積10.8m×10.8m, 高さ3.5mで, 保温性を考慮したプラスチックハウスを外覆とする。比較的高い壁面を持ち, 77m
2の集熱と放熱防止の機能を持ったコレクターを天井部に配し, 29m
3の石蓄熱槽 (ポリスチレン系断熱材, 10cmにて断熱) を作土層下に設置したもので, ハウス及び蓄熱槽からの損失熱の活用もはかる太陽熱利用装置である。集熱効率は冬期で水平面日射量の30%であった。
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