乾燥プロセスの省エネルギを考えるには, 先ず理論的限界値としての最少エネルギを求めておく事が重要である。穀物等の吸湿性物質の乾燥に必要なエネルギも水分分離仕事としての有効エネルギとエントロピの増加による無効エネルギに分けうる。穀物水分の周囲への最少分離仕事としては穀物中水分の部分エクセルギê
w相当を, 無効エネルギとしては穀物中水分と周囲水分との固定エネルギ差T
u(s
w-s
wu) 相当を, また総エネルギとしては部分エンタルピ差î
wî
wu相当を供給する必要がある。加熱乾燥においては供給熱流のエクセルギが水分分離仕事に対応している。さらに本研究では含水穀物を二成分系として取扱い, 含水穀物全体の状態量および穀物水分の部分量と含水率・温度との関係を, 湿潤熱と平衡相対湿度をパラメータとして求め, 具体的な最少エネルギ値を籾乾燥の場合について計算した。
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