わが国水田作農業の生産効率向上のためには, 土地の高度利用と生産規模の拡大, 生産規模に適応した機械装備の導入とその有効利用が求められ, そのためには, 具体的な生産現場の生産活動を検討評価することが必要になる。そこで, ここでは栃木県河内町田原地区農業の中核的担い手として数戸の農家から成る営農集団を設定し, その生産活動をシミュレーションにより把握した。その結果に生産コスト分析や収益分析を施して, 生産規模拡大や機械装備の内容, 作付体系, さらには, 借地料, 生産物販売単価, ライスセンタ利用料金, 労賃が生産コストや収益に与える影響を把握することにより, 生産作業の遂行が可能な範囲で機械装備を削減し, 良質米や裏作麦の作付を増やして, 地代負担をいとわず生産規模を拡大することが低コスト生産や収益増になることを明らかにした。
抄録全体を表示