トラクタと作業機の大型化は, 作業の高能率化をもたらした。しかし, トラクタが正確な作業速度の計測機構を持たないため, 合せて作業の高精度化が進んでいるとは言いずらい。最近, 電子技術を応用した作業モニタが開発され, 従来表示できなかった刻々の真の作業速度, 資材流量, 作業能率や効率を表示し, 運転者に最適の操作を促して作業精度の向上に役立たせる機器が登場した。本研究は汎用の作業モニタを開発する過程で, 市販のスプレーヤ作業モニタを用いて防除作業をしたときの利用効果と, その利用限界を検討したものである。実験の結果は, 1100
lタンクを有する大型ブームスプレーヤに作業モニタを装備すると, 10%程度の散布むらを数%以内に低減して作業精度を大幅に改善した。また, 人間の応答能力から, この精度が限界と推定されるが, 農業の場で満たすべき性能の許容範囲に入ると判断した。波状地など速度変化を増幅させる環境でも, 同様な作業精度を維持できると考えられ, 価格面を含めて実用性があると考える。しかし, 運転者が頻繁に・正しく応答しないと宝の持腐れになり, 装置の利用意義が薄れるから注意すべきである。
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